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精神疾患には男女差がある?|女性特有の病気や副作用の違いについて
抑うつ / 産後うつ病 / 統合失調症 / お薬 / うつ病
公開日:2026.09.06更新日:2026.09.12
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精神疾患と副作用における性差の違いについて
精神疾患だけにとどまらず、近年では、薬の効き方や副作用には「性差」があることが分かってきています。つまり、性別によって薬への反応が異なるのは自然なことなのです。
この記事では、精神疾患の有病率の性差やPMS・PMDD・更年期うつ病など女性に多い不調、女性と薬の副作用の関係について解説します。より副作用や疾患への理解が更に深まるかるきっかけになりますと幸いです。

女性のほうが精神疾患になりやすいのか?
精神疾患における有病率では、男性より女性のほうが多い傾向にあります。実際に、以下の精神疾患は、男性より女性の有病率が高いというのが、多くの調査で分かっています。
このような差が生じる背景には、以下のような要因が複雑に絡み合っているのです。
- ホルモンバランス
- 社会的・心理的なストレス
- 周囲との関係を重視しやすい気質や心理的傾向(認知面)
女性は、月経・妊娠・出産・更年期など、ホルモンバランスが大きく変化することが多くあります。エストロゲンやプロゲステロンの変化により、マタニティーブルーや産後うつ病のような女性特有の精神疾患を発症するのです。
また、育児と仕事、家庭の負担など、女性はライフステージの変化と同時に、多くの役割を同時に担うことがあり、多様なストレスを抱えやすい傾向があります。
ほかにも、女性はとくに周囲との関係に対する繊細さや重視しやすい気質など認知面や心理的傾向も相まり、人間関係や環境適応にストレスを感じやすく精神疾患になりやすい一因とされています。またHSPなどの繊細さ傾向から生じるこころの不調についても比較的女性の多いとされています。
女性に多いホルモンバランスが関係する心の不調
ホルモンバランスと女性の精神疾患との関係について
女性は、月経・妊娠・出産・更年期など、ホルモンバランスが大きく変化することが多くあります。女性の心の不調には、これらのホルモンバランスの変化が大きく関わっていることがあります。エストロゲンやプロゲステロンの変化により、マタニティーブルーや産後うつ病のような女性特有の精神的な変化を呈するのです。
主に、女性ホルモンの変化によって生じる心の不調は以下のとおりです。
- 月経前症候群(PMS)
- 月経前不快気分障害(PMDD)
- 更年期うつ病
エストロゲンやプロゲステロンの変化により、他にも、マタニティーブルーや産後うつ病のような女性特有の精神的な変化をもたらします。

ホルモンバランスによって生じる症状について
具体的にホルモンバランスの変化によって、以下のような症状があります。
- 睡眠の乱れ
- 疲れやすい
- 集中できない
- やる気が出ない
- 気分が沈んで涙もろくなる
- 不安感や緊張感が強くなる
- イライラして怒りっぽくなる
上記のような症状を感じてしまう時、とくに体調変化や周期的な変化を呈している時には、それは心の問題ではなくホルモンバランスの変化が原因の可能性もあるのです。
ホルモンの変化によって起こる代表的な心の不調として、次に月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)を詳しく解説します。

月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)の違いと治療法
月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)の違い
どちらも月経周期に応じて症状に変化があり、月経前に起こるつらい症状と月経がはじまると共に症状が軽快していく特徴がありますが、その程度や生活への影響には違いがあります。
とくに月経前不快気分障害(PMDD)では、イライラなどの感情のコントロールがしづらかったり、抑うつが強く出てしまうなどの、仕事や日常生活に支障が出るほどの症状を呈してしまうのが月経前不快気分障害(PMDD)です。
一方で月経前症候群(PMS)は、基本的な生活は保たれるものの、その月経前症候群(PMS)の症状はとても幅広く、食欲の変化・疲れやすさやほてり・集中できない・腹痛・頭痛といった、心の変化とすぐには関連付けにくいと思われがちな症状なども呈してしまうという特徴があります。

月経前不快気分障害(PMDD)のリスク要因やなりやすさについて
一方で、女性ホルモンの変化を受けているからと言って、すべての女性が月経前不快気分障害(PMDD)になる訳ではありません。月経前不快気分障害(PMDD)になりやすい要因として、以下のようなことが挙げられます。
ある調査では、約66%の女性が生理前に症状が悪化していると答えています。
とくに抑うつ症状が不調の主症状である場合、月経前不快気分障害(PMDD)とうつ病の区別がとても大切です。うつ病では1日中抑うつ症状を呈しているという特徴である一方で、月経前不快気分障害(PMDD)においては、生理前に抑うつ症状が悪化して、生理が開始されるとともに抑うつ症状が緩和される周期的な症状の変化があるという点がポイントです。
「生理前になると毎月つらい」と感じているならば、月経前不快気分障害(PMDD)の可能性を考慮することは大切です。

月経前不快気分障害(PMDD)の治療
月経前不快気分障害(PMDD)の代表的な治療法は、抗うつ薬による薬物療法とホルモン療法です。
まず、抗うつ薬であるSSRIが第一選択薬となります。SSRIが、直接的にプロゲステロンの代謝を促し、脳内に働きかけることで月経前不快気分障害(PMDD)による気分の不安定さに働きかけるともされていますが、まだはっきりと詳細については分かっていません。
SSRIの他にも、低用量ピルを用いたホルモン療法も有効です。排卵に関わるホルモンの動きに働きかけることで、結果として月経前不快気分障害(PMDD)の症状を落ち着かせます。
更年期うつ病と薬の反応にも男女差はある?
40代後半から50代にかけて、なんとなく気分が沈みやすくなったり眠れなかったり、イライラが続くような心の不調が続くと、「更年期障害かな」と不安になることも少なくありません。更年期は45~55歳ごろの時期を指しますが、日本人女性の平均的な閉経は49.5歳と言われており、その後の人生は平均寿命86歳を考えると、約3分の1を閉経後に過ごすことにもなるのです。
更年期障害の治療のために受診したほうのうちの約56%に精神疾患が認められ、そのうちの約26%がうつ病だという報告もあります。
また、うつ病は女性の有病率が高く、生涯有病率は男性の約2倍と言われています。なかでも、更年期の女性のうつ病の有病率はとくに高く、閉経前と比べると約14倍にも及ぶのです。
更年期で変化するホルモンと心の関係
更年期の特徴として、以下のホルモン変化があります。
- 女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌低下
- 下垂体からの卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンの上昇
エストロゲンが低下する産後や更年期は、とくにうつ病の発症率が高まると言われています。ただし、すべてがホルモンの変化によるものではありません。
更年期の女性は、心理学的に成人期から老人期へ移り変わる中年期と重なる時期なのです。多くの方たちにとって、人生の転換期となる時期と重なる特徴もあります。
たとえば、子どもが成人して老後について考え始めるのもこの時期です。また、更年期うつ病は男性もなります。更年期の精神的ストレスもまた、更年期うつ病の発症に関係していると言われる要因なのです。
更年期うつ病の治療効果の差
更年期うつ病に対して、医師の判断のもとで抗うつ薬のSSRIが処方されることがあります。ある調査で、SSRIの抑うつ症状への効果を高齢女性・若年女性・男性で比較したところ、若年女性への効果が高く、次いで男性、高齢女性という結果になりました。
高齢女性に対する抑うつ症状の治療には、SSRIと併用してホルモン療法を用いると有効です。ほかにも、セロトニン再取り込み作用以外があるSNRIやミルタザピン、TCA(三環系抗うつ薬)は効果が期待できるとされています。
女性のほうが薬の副作用が出やすい?
実は、女性は身体のつくりや代謝の違いから、薬の作用を強く感じやすい傾向があると言われています。
女性が薬を強く感じやすい理由として、以下のようなことが挙げられます。
- 体脂肪率が高い
- 胃酸の分泌が少ない
- 体重・血液量・体内の水分量が平均的に少なめ
- 肝臓の代謝に関わる酵素の働きが男性と異なる場合がある
男性と比べると体脂肪率が高く、脂に溶けやすい薬(脂溶性薬剤)は、体内に長くとどまりやすくなることがあります。
女性は胃酸の分泌が男性に比べて少なく、薬の分解に時間がかかり身体に吸収されやすい状態で小腸に届くことがあるのです。
また、平均的に男性よりも女性のほうが体重・血液量・体内の水分量が少ないため、同じ量の薬でも濃度が高くなりやすくなります。ほかにも、肝臓の代謝が関係している酵素の働きが男女で異なるため、薬の分解速度に差で副作用の出方が変わるのです。
その為、副作用かなと思うことがあっても、自己判断なさりすぎずに医師や医療機関までご相談されることをお勧めいたします。

男女差が出やすい精神科の薬
精神科で使われる薬の中には、性別によって感じ方に差が出やすいとされるものがあります。これは、薬そのものの性質というよりも、身体の構造やホルモンの変化、代謝の違いが関係していると考えられています。
ここでは、精神科の薬の「抗うつ薬」や「向精神薬」について紹介をしています。
抗うつ薬
抗うつ薬は、うつ病や不安障害などの治療に使われる精神薬です。代表的なものに、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などがあります。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、男性よりも女性に効果が出やすいと言われています。薬の効果を12週間、追跡調査した研究では、女性は男性に比べて1.5倍寛解したと報告があります。
ほかにも、血中濃度に性差が出やすい抗不安薬は以下のようなものが挙げられます。
- フルボキサミン
- ミルタザピン
- セルトラリン
- パロキセチン
フルボキサミンでは、成人では性差は見られないものの児童(6~11歳)を対象にした調査では3倍ほどの差が見られたと報告があります。ミルタザピンも同様に女性と男性で比べると、女性が約2倍、血中濃度が高くなったとされています。
セルトラリンでは、身体の中に取り込まれる割合に性差はありません。ただ、18~45歳の健康な人を対象にした検査では、女性が男性と比べ血中濃度が高かったという報告があります。
パロキセチンは、治験データや性別の違いも含まれる専門的な薬の情報書類には、性差に関する記載がないものの、うつ病の方を対象とし20mg(1日1回)を2週間投薬した後の血中濃度を測定した調査では、女性のほうが高くなっています。
このように、抗うつ薬の種類によっては性差に配慮して処方する必要がある薬があります。とは言っても、治療の経過や効果の感じ方には、性差だけではない個々の状態も影響しているので、自己判断なさりすぎずに医師へ相談されることをお勧めいたします。

向精神薬
向精神薬とは、不安や幻覚・妄想などの症状を落ち着かせる薬です。
血中濃度に性差が出やすい向精神薬は以下のようなものが挙げられます。
- オランザピン
- クロザピン
- アリピプラゾール
オランザピンの血中濃度に関係する要因は、喫煙です。女性より男性に喫煙率が高いことが、性差が出る要因となります。
クロザピンを日本人の統合失調症の方に経口投与した調査では、女性の血中濃度より男性のほうが1.7倍高く、アリピプラゾールは女性に高い数値がでていますが体重によって緩和されると考えられています。
心身の状態は人それぞれです。性差という自然な個人差があることも知っておくことが大切です。
まとめ
薬の効き方や副作用の出方には、性別による違いがあることが分かってきています。女性は、ホルモンの変化という身体面の変化も大きく、社会的・精神的ストレスも相まって精神疾患になってしまうことが多くあります。そして、事実、男性よりも女性の方が有病率の高い精神疾患も多いため、心の不調を感じた時には、ホルモンの変化だけではなく、性別に伴う薬の効き方など、個人差を配慮したきめ細やかな治療と配慮が大切です。




