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Hidamari Kokoro Clinic
不安神経症
不安神経症
公開日: 2022.05.06 更新日:2022.05.19
[ Index ]
不安神経症とは
不安神経症とは、不安症(AD)・神経症の分類の一種です。ICD-9 での不安神経症の記載が、ICD-10では不安神経症の記載がなくなったのを境に、現在の臨床では全般性不安障害(不安神経症)として用いられることが多いのも特徴で、全般性不安障害(GAD)やパニック障害(PD)などが不安神経症として挙げられます。
不安神経症の不安とは
不安神経症とは状況や事柄に対する不釣り合いな不安症状や不安感情が強く出てしまうために、出現してしまった強い不安感情をどうにかして緩和したい、あるいは避けたいと感じて行動をしてしまいます。
またそのような強い不安症状が出ることを恐怖に感じてしまうことで、他の不安症やうつ病を合併していることも多く、治療の経過を注意深くフォローしていく事が必要な疾患なのです。
DSM-5・ICD-10にもある全般性不安障害(GAD)や不安神経症とは
不安神経症・全般性不安障害(GAD)では、日常のあらゆることが心配で不安になってしまいます。
なお不安となる事柄の対象は、“可能性が低い心配事でもずっと続いてしまう”という点が特徴的です。
「(兆候はなくても)家が壊れてしまうかもしれないと不安」「(検診結果が良くても)何か別に自分が病気にかかっているのではないか不安」「(家族が元気でも)身内が死んで一人残されてしまったらどうしよう」などの不安感情が”ふと湧いてずっと長く続いて”しまうのです。
不安神経症の症状について
精神面の症状
- 漠然とした不安がある
- 気持ちを集中させることができなくなった
- 気になったり、緊張が続いている
- 神経が敏感になった感じがする
- 落ち着きがなくなった
- イライラしたりすることが多くなった
身体面の症状
- 肩や筋肉の凝り
- 頭痛
- 動悸がする
- めまいやふらつき
- 胃部の不快感
- 疲れやすさ・倦怠感
- 発汗・ほてり
- 冷え・震え
上記のような症状が出た結果
上記のような症状が
長引くと…
-
1 . 家事や仕事など日常生活ができなくなった
不安や恐怖が継続してしまうと、外出や買い物・通勤・会議などが制限されてしまい、社会生活・日常生活が送りづらくなります。 -
2 . 集中力が下がってミスが増えた
不安や緊張が継続してしまうために、普段ならミスしないことでも間違いを起こしやすくなってしまいます。 -
3 . 周りからなかなか気づいてもらえない
不安な気持ちや恐怖の感情の強さや困り度をなかなか理解しもらえずに、“気の持ちよう”“心配しすぎだ”などと周りから説得を受けること等で、より自分の中に感情を押し込めて、心のバランスを崩してしまいがちになります。
いったん不安感情が出現すると、持続しやすいのが不安神経症・全般性不安障害(GAD)
不測の事態に対しては皆さんが日常的に心配したり、不安になる事柄ではありますが、それでも日常生活を維持するために、ある程度の不安感情を許容しながら生活をしている方も多いはずです。
しかし、不安神経症の方たちは自らの不安感情をコントロールできず持続してしまい、不安のために毎日が眠れなくなったり、不安が強くて食事や外出ができなくなったり、不安の感情がずっと付きまとって仕事に集中できないなどの、生活や身体面に影響を及ぼしてしまうのです。
不安という感情はなかなか共有されにくい
不安神経症・全般性不安障害の症状であっても、周りからは”心配性”・”気にしすぎ”と指摘されてしまうことにより、周囲に相談できずに我慢しすぎてしまったりしてしまうことも多いのです。
なかなか不安という感情は、お互いに共有されにくい面を持っていることも特徴なのです。
不安の症状は身体症状にもつながりやすい
特に、毎日のように不安や倦怠感、一方で緊張感が継続するために頭痛や肩こり、しびれや痛みなどの身体症状をも呈しやすいという点はとても重要です。
パニック障害のように、強い緊張や不安が一気に高まると、動悸や呼吸の苦しさ・息切れといった症状が強く出てしまい、そのような強い身体症状のために日常生活が送れなくなってしまったり、勤務が継続できないなどの症状が出てしまうのです。
不安神経症の治療について
不安神経症・全般性不安障害(GAD)は薬物治療だけではなく、認知行動療法(CBT)や暴露療法などにも治療効果があるとされています。しかし全般性不安障害(GAD)では不安対象が明確にはっきりしないこともあるために、様々な精神療法を組み合わせて治療を行うことが多いのです。
また、不安神経症だけでなく、合併してしまったうつ病症状に対しては、抗うつ薬などのSSRIに治療効果があるといわれており、抗うつ薬を主体とした薬物療法を併用することもあります。当院は漢方などの治療もご提案しておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
特に、不安症状の強さというのは本人にしか表現でき難い部分があり、他者から共感されづらく「心の弱さ」と周囲からも指摘されてしまう事もある為に、しばしば自己否定感が強く抑うつ状態に至ってしまっていることも多いのです。もし、不安神経症かもと感じられましたら、お早めに医療機関へのご受診をお勧めいたします。
対応の仕方について
不安神経症や全般性不安障害(GAD)でお困りの方の、ご家族様や周囲の方たちはどのように対応をしたら良いのでしょうか?
不安や心配事が、実際の現状と不釣り合いな場合、やはり過度な「不安」や「心配事」への協調のし過ぎは禁物です。
あらゆることが心配になってしまう事が不安神経症・全般性不安障害(GAD)の特徴でもありますので、心配事は次々と浮かんできてしまうからです。しかし、”それは心配のし過ぎ”、”気にしない方が良い”などと否定してしまうこともかえって孤立感や分かってくれないという気持ちを強めてしまうのです。
まずは、本人が困っていることを理解しつつ、つらく不安な毎日の中でもできていること、取り組めていることへの理解を身近な人の立場として一緒に考えてみると同時に、医療機関へも相談してみることなど、疲れやすさや気になってしまいやすさへの対応方法のアドバイスも大切です。
野村紀夫 監修
ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など