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双極性障害・躁うつ病

双極性障害
躁うつ病

公開日: 2025.01.20 更新日:2025.02.14

双極性障害について

双極性障害(Bipolar Disorder)は、気分の極端な変動を特徴とする精神的な障害で、躁状態と呼ばれる非常に高揚した状態と、うつ状態と呼ばれる非常に沈んだ状態が交互に現れてしまう疾患です。

気分の変動のために、個人の感情や行動、思考に大きな影響を及ぼし、日常生活における機能に支障をきたしてしまうのが双極性障害です。

そして意外にも、躁状態を良い状態・気分が安定していると自覚的に捉えてしまうこともあるので注意が必要です。

双極性障害の症状とは

双極性障害の主な症状(躁状態/うつ状態)とは

双極性障害は、以下のような2つの状態が交互に現れることが特徴でもあります

躁状態(そう状態)

  1.  強いエネルギーや自信にあふれ、活動的になりすぎることも。ときに思考が非常に速く湧く感じがして、話すペースも早くなり、言葉を次から次へと発して多弁となっていることもあります。
  2. 睡眠時間が少なくても疲れを感じにくく、突飛な行動・無謀な行動(無計画な買い物、過度な社交行動など)が見られることもあります。
  3. 自分の能力を過信してしまい、現実離れした計画を立てることや、リスクを顧みず行動することがある。

うつ状態(うつ状態)

  1. 気分が沈んで無気力、あるいは何事にも興味を感じなくなってしまいます。思考が遅くなり、物事を判断するのが困難と感じるようになってしまいます。
  2. 食欲や睡眠に変化が見られ、エネルギーが欠如したように感じてしまいます。自己評価が低くなる、無価値感や絶望感・罪悪感にとらわれてしまうこともあります。
  3. 深刻な場合には、自傷行為や自殺を考えてしまうこともあります。

このような状態の変化は、周囲から気が付かれやすい変化である時もあれば、なかなか他者からは明確には分かりづらいこともあるので注意が必要です。

双極性障害のタイプとは

双極性障害の3つのタイプ

双極性障害にはいくつかのサブタイプがあります。DSM5においては、双極Ⅰ型障害・双極Ⅱ型障害・気分循環性障害などがあります。

  1. 双極I型障害
    ■躁状態が7日以上続き、深刻なうつ状態も見られることが特徴です。
    躁状態は重篤となり、易怒性・見境のない行動などといった社会生活の急激な破綻を伴い、入院を必要としてしまう場合もあるのです。
    ■うつ状態も、ほとんど毎日において生活に大きな影響を与えてしまうくらい継続してしまうことがあります。このタイミングではうつ状態だけでは、双極性障害の診断には至りにくいこともあります
  2. 双極II型障害
    ■軽度の躁状態(軽躁状態)と長期的なうつ状態が特徴です。
    特に軽躁状態については本人が気分が良い・調子が良いと感じてしまっていることも少なくなく、双極Ⅱ型障害であったとしても、最初はうつ病との双極性障害の診断には至りにくいこともあります。
  3. 気分循環性障害
    ■少なくとも2年間、軽躁・あるいは抑うつ状態を呈している期間があり、その症状の程度は双極性障害I型またはII型の症状における躁エピソード・軽躁エピソード・抑うつエピソードの基準は満たしていません。

診断においては、少し期間と症状の経過への観察を要することがありますので、自己判断は禁物と言えます。

双極性障害の原因について

双極性障害の原因

双極性障害の原因は完全には解明されていませんが、複数の要因が影響していると考えられています

  • 遺伝的要因:家族に双極性障害を持つ人がいる場合、発症するリスクが高まります。
  • 生物学的要因:脳内の神経伝達物質の不均衡が障害の発症に関与していると考えられています。
  • 環境的要因:生活の変化やストレス、トラウマが発症や再発を引き起こすことがあります。

双極性障害の診断について

双極性障害の診断

双極性障害の診断は、精神科医が行います。患者の症状や病歴、発症時期やその持続期間をもとに診断が下されます。診断には、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)を基にした基準や国際疾病分類(ICD-10)を参照して判断します。以下に、診断における重要な要素を説明します。

1. 症状の評価とDSM-5の診断基準

DSM-5に基づいて、これらの症状の持続期間や日常生活への影響が評価されます。

双極性障害は、躁状態(過度に活発な気分やエネルギー)と、うつ状態(気分の落ち込みや無気力)を交互に経験するのが特徴です。診断時には、これらの状態がどの程度現れるか、またその影響がどれほどかを見極めます。

アメリカ精神医学会が定めたDSM-5を基に診断されることが一般的です。双極性障害の診断においては、以下の要素が重視されます:

  • 躁状態:過度に高揚した気分やエネルギーの増加、行動の衝動性、日常生活に大きな支障をきたす。
  • うつ状態:深い悲しみや無力感、自己評価の低下、社会的・職業的な機能の低下。

そしてSDSM-5に於いては、双極Ⅰ型障害と診断するためには、躁病エピソードについての基準が該当することが重要です。また双極Ⅱ型障害の診断では、現在または過去の軽躁病エピソードを満たすこと、および現在および過去の抑うつエピソードの基準を満たすことが必要となっています。

2. 症状の持続期間と重症度

双極性障害の診断では、躁状態とうつ状態の症状がどれくらい続いたかも重要な要素です。

  • 躁状態は通常、7日以上続く必要があり、場合によっては入院が必要なほど重篤になることもあります。
  • うつ状態は、2週間以上持続することが多く、症状が生活全般に影響を与えることが求められます。

これらの状態が一時的に現れることもありますが、診断時には症状が持続する期間とそれによる影響の大きさが重要な指標となります。

3. 他の疾患との区別

双極性障害の症状は他の精神的な疾患と似ていることがあり、これらと区別することが重要です。例えば、うつ病や注意欠陥多動性障害(ADHD)、統合失調症などと似た症状が現れることがあるため、患者の症状や病歴を詳しく調査し、診断を確定させることが求められます。

診断する上で大切な情報とは

問診と評価

診断には、患者との面接を通じて、以下のような情報が収集されます:

  • 症状の詳細(躁状態と自覚しているか、うつ状態の期間や程度など)
  • 生活や仕事への影響(職場や家庭での支障)
  • 家族歴や過去のエピソード
  • 心理的・社会的な背景(ストレスや過去のトラウマ)
  • 現在の薬物使用状況や健康状態

また、場合によっては、心理的評価や血液検査、脳の画像診断が必要になることもあります。

双極性障害の診断は、精神科医が患者の症状や生活状況を詳細に評価し、DSM-5の基準に基づいて行われます。適切な診断が行われることで、患者は効果的な治療を受け、症状を管理しながら安定した生活を送ることができます。

双極性障害の治療方法について

治療方法

双極性障害は適切な治療を受けることで症状のコントロールが可能ですが、治療は長期的な管理が求められます。主な治療方法は以下の通りです:

  1. 薬物療法
    • 気分安定薬(リチウム、バルプロ酸など):躁状態とうつ状態を予防し、気分を安定させる役割を果たします。
    • 抗精神病薬:躁状態や幻覚、妄想などの精神症状を抑えるために使われます。
    • 抗うつ薬:うつ症状を軽減するために使用されますが、躁状態を引き起こすリスクがあるため、慎重に使用されます。
  2. 認知行動療法(CBT)
    • 認知行動療法は、思考や行動パターンを改善し、気分の波を管理するために効果的です。特にうつ状態の際には、思考の歪みを修正するために役立ちます。
  3. ライフスタイルの調整
    • 規則正しい生活、睡眠の質を向上させ、ストレス管理を行うことが症状の改善や予防に効果があります。また、運動も重要です。
  4. サポート体制
    • 家族や友人からの支援が、患者の回復に大きな役割を果たします。治療に対する理解と共感が重要です。

双極性障害の経過と予後について

経過と予後

双極性障害は適切な治療を受けることで症状をコントロールできますが、完全に治ることは難しい場合があります。治療を続けることで、生活の質を保ちながら症状の波を抑えることができます。再発のリスクはありますが、薬物療法や心理療法、ライフスタイルの改善によって予防が可能です。

長期的な治療とサポートを通じて、患者は安定した生活を送り、社会生活や仕事を維持できるようになることを目指して、双極性障害の治療に取り組んでいきます。

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よくあるご質問

FAQ

”双極性障害抑うつエピソード”とは、何ですか?

気分が極端に高揚する「躁状態」と、気分が沈み込む「抑うつ状態」の2つの波が繰り返し現れるのが特徴の病気です。かつては「躁うつ病」と呼ばれていました。

抑うつ状態の症状は、一般的なうつ病とよく似ているため、双極性障害と最初は気づかれずにうつ病として初回診断をして治療を介入することも少なくありません。

【双極性障害抑うつエピソードとは】

双極性障害抑うつエピソードとは、双極性障害(躁うつ病)の一部として現れるうつ状態のことを指します。双極性障害は、気分が大きく変動する精神疾患で、「躁(または軽躁)」と「うつ」のエピソードを繰り返す特徴があります。

双極性障害の種類と抑うつエピソード

双極性障害には主に以下の2つのタイプがあり、それぞれの抑うつエピソードに特徴があります。

双極Ⅰ型障害
強い躁状態(躁エピソード)と抑うつエピソードを繰り返す。
躁状態は極端に活動的になり、睡眠が減っても元気、浪費や攻撃的な行動が見られることもある。
その後、エネルギーが枯渇したように強い抑うつ状態に陥る。

双極Ⅱ型障害
軽躁(軽い躁状態)と抑うつエピソードを繰り返す。
軽躁は、気分が高揚し、活動的になるが、社会的に大きな問題は起こしにくい。
しかし、うつエピソードは長く、通常のうつ病と同じような症状が現れることが多い。

双極性障害における抑うつエピソードの特徴

双極性障害の抑うつエピソードは、通常のうつ病(大うつ病)と似ていますが、以下の点で違いがあります。

  • 抗うつ薬単独では改善しにくい(場合によっては躁状態を引き起こすリスクがある)
  • 過眠や過食が多い(非定型うつ病の特徴が強い)
  • 朝よりも夕方のほうが気分が悪いことが多い
  • 過去に躁(または軽躁)状態を経験している

治療のポイント

双極性障害の抑うつエピソードは、最初はうつ病としての症状としてみえることがありますが、うつ病と双極性障害では治療が異なるので注意が必要です。治療には以下の方法が用いられます。

  • 気分安定薬(リチウム、バルプロ酸など):気分の波を抑える
  • 非定型抗精神病薬(クエチアピン、ルラシドンなど):うつ症状を改善する
  • 心理療法(認知行動療法など):ストレス管理や生活リズムの調整

まとめ

双極性障害抑うつエピソードとは、双極性障害の中で現れる「うつ状態」のことです。通常のうつ病と似ていますが、治療法が異なるため、正しい診断と適切な治療が重要です。過去の躁状態の有無を確認することで、双極性障害かどうかを判断する手がかりになります。しかしながら、躁状態のエピソードについてハッキリと自覚も他覚もされていない場合、鬱状態だけではうつ病あるいは双極性障害か最初は分かりづらいことも少なくありません。

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