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妊娠後半の抗うつ薬使用と新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)について
妊娠と精神疾患 / お薬
公開日:2026.08.26更新日:2026.08.26
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妊娠後半の抗うつ薬使用と新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)
現在SSRIのような抗うつ薬を使用されている方や使用を検討している方の中には妊娠を希望されている方もいらっしゃることと思います。妊娠中の薬剤の使用は慎重におこなう必要があることはすでに知られていることですが、実際にどのような影響があるのでしょうか。
今回は「新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)」という新生児の病気とお母さんの抗うつ薬の使用との関連性についてみていきます。まず新生児遷延性肺高血圧症について概要をみていき、続きの記事で抗うつ剤の使用と新生児遷延性肺高血圧症との関連についてみていきましょう。
新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)とは?
肺高血圧症(PHN)とは、肺に血液を送る血管である肺動脈の流れが悪くなることで心臓と肺に機能障害が起こる病気をいいます。肺高血圧症の中で新生児の頻度が高いものが、新生児肺高血圧症です。新生児遷延性肺高血圧症とは、肺動脈が出生後も狭い状態が続くことで肺に十分な量の血流が行きわたらず、結果的に血流中の酸素量が不足する病気です。
1000出生中の1〜2の頻度で発生すると報告されており、早産児より正期産児や過期産児に多いといわれています。

新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)の分類
新生児遷延性肺高血圧症は2つの種類に分類することができます。
- 原発性PPHN:原因となる明らかな基礎疾患がないもので、極めて稀といえます。
- 続発性PPHN:原因となる基礎疾患があるもので、ほとんどが続発性PPHNといえます。
新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)の症状・診断とは?
新生児遷延性肺高血圧症では、呼吸困難やチアノーゼが起こるため、適切な酸素吸入や機械換気、血管拡張薬などにより治療が行われます。
それらの治療を行なったにもかかわらず呼吸障害やチアノーゼが重篤である場合は「先天性チアノーゼ性心疾患」も加えた鑑別を行う必要があります。先天性チアノーゼ心疾患を心エコーにより除外した上で確定診断となります。
新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)の原因とは?
新生児遷延性肺高血圧症は、胎児が胎盤から酸素や栄養を摂取し肺を使わずに血液が循環する「胎児循環」から、肺で酸素を取り込む血液循環である「新生児循環」に変化する循環器系の移行がうまくいかないことにより起こります。
通常、胎児のうちは酸素を取り入れて二酸化炭素を排出すること(ガス交換)に肺血流を必要としないため肺の血管が流れにくく肺血管抵抗が高い状態となり、肺高血圧の状態になっています。出生後の第一呼吸によって肺の機能的残気量(安静呼吸で肺内に残っている気量)が確立すると肺血管抵抗が低下し、肺血流は胎児期の約10倍に増加します。
一方で、新生児遷延性肺高血圧症では、何らかの原因で胎児循環から新生児循環に移行が障害されて肺血管抵抗が高まったままとなり、重度の低酸素血症をきたします。

新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)と基礎疾患について
前述の通り、原因となる基礎疾患がある新生児遷延性肺高血圧症を「続発性PPHN」と呼びますが、基礎疾患としてはどのようなものが考えられるのかみていきましょう。
- 肺実質病変➡肺胞とそれを囲む組織である肺実質に異常がある状態をいいます。
- 肺血管の発達異常➡肺への血液を運ぶ血管の形成に異常がある状態をいいます。
- 出生時の適応障害➡胎内から胎外の環境への適応が困難な状態をいいます。
- 組織環流異常➡臓器や組織に血液が十分に供給されないことで酸素や栄養素が不足した状態をいいます。
- 子宮内での動脈管早期収縮➡肺動脈と大動脈をつなぐ動脈管が胎内で収縮/閉塞/狭窄することをいいます。
新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)の治療は?
新生児遷延性肺高血圧症の治療では、肺血管抵抗抵を下げて体血圧を正常に保つことが最優先となります。続発性PPHNの場合は基礎疾患そのものの治療と、代謝によって酸が過剰に分泌され体液が酸性に傾いた代謝的異常の状態(アシドーシス)の補正が不可欠です。
治療法としては以下の2つが推奨されています。
①NICU(新生児集中治療室)における治療
出生直後の動脈管がまだ開いている状態で測定される血中酸素飽和度を91~95%に保つための、酸素投与・機械換気・必要に応じたサーファクタント(肺胞の表面張力を低下させることで肺胞がしぼまないようにする役割をもつ肺胞の内側を覆う物質)の投与
②機械換気中の新生児における治療
酸素化の改善と体外式模型人工肺(ECMO)の回避のために用いる吸入一酸化窒素療法(iNO)。治療抵抗性の場合にはECMOの導入を検討する必要があります

新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)の経過やその後は?
前述したようなiNOやECMOといった治療法がなかった時代には新生児遷延性肺高血圧症の死亡率は50%を超えていました。しかし、診断の精度があがりiNOのような肺血管拡張療法やECMOが使用できるようになり死亡率は低下しています。そんな現在でも新生児遷延性肺高血圧症の早期死亡率は8~10%と高く、1歳6か月時の晩期合併症として知的障害や脳性麻痺、視力障害の割合が高いことも報告されています。
最後に
今回は、新生児遷延性肺高血圧症の原因や治療についてみてきました。実際にどのようなことがリスクとなり得るのか、気をつけられることはないのか、続きの記事で詳細を解説しております。
参考文献
出生後の呼吸・循環適応と新生児遷延性肺高血圧症
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspnmsympo/15/0/15_79/_pdf/-char/ja




