双極症におけるスイッチングの意義について名古屋駅前の心療内科,精神科,メンタルクリニック,ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院が解説

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双極症におけるスイッチングの意義とは?

双極性障害 / お薬

公開日:2026.07.15更新日:2026.08.20

双極症(双極性障害について)

双極症(双極性障害)は10代~30代で発症し、気分の高揚、活動量が増加、睡眠欲求が低下といった躁状態と、気分の抑うつ、活動量の減少、身体的な不調といった抑うつ状態を繰り返す病気です。

治療方法としては主に薬物療法が選択されることがありますが、双極症に用いられる薬はいくつか種類があり、どの薬を用いるのかは医師の判断で選択されます。治療の中で状況によっては途中で薬を変えること(スイッチング)もあり、それによって症状が改善することもありますが、スイッチングすることでデメリットが生じることもあります。

そこで今回は双極症において、スイッチングを行うとどんなことが起きるのか、スイッチングが選択されるときはどんな時なのかなどについて解説していきます。

薬をやめた後に起きること

双極症の薬物療法では、激しい躁状態や抑うつ状態が続いてしまう「急性期エピソード」の発症を防ぐことを目的として行われます。その際に気分安定薬や抗精神病薬が用いられることが多いです。気分安定薬は4種、抗精神病薬は5種あり、どちらか1種もしくは両方1種ずつ服薬することになりますが、最初に選んだ薬が必ず期待通りの効果を示すとは限りません。

そのため別の薬に切り替えていくのですが、その際に服薬している薬の量を徐々に減らしてから新しい薬を徐々に増やしていかなければ双極症の症状が再発するリスクが上がることが判明しています。

また、薬を減らすことにより、体内の薬物濃度が下がるため、吐き気や下痢、腹痛、頭痛といった離脱症状が生じる可能性があります。スイッチングをする際には医師と相談しながら、医師の指示通りにお薬の調整をすることが大切です。

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スイッチングする理由とは?

では、治療方針でスイッチングが選択される場合とはどのようなときなのでしょうか。スイッチングが行われるケースは主に以下の3パターンに分けられます。

期待した治療効果が得られないとき

1つ目は「期待した効果が得られない場合」です。双極症の急性期においては、気分安定薬もしくは抗精神病薬のどちらかのみの服用よりも両方を服用する「併用療法」の方が抑うつ状態が改善度、生活の質の向上度などの点で優れているとされています。

また、すでに併用療法を行っている際にも薬の組み合わせを変えることで治療効果が異なってくるため、服用している薬が効きにくいようならスイッチングを行う意義は十分にあると考えられています。

しかし、薬物療法には副作用が生じる可能性があるリスクもあるため、できるだけ必要最低限の薬での治療がよいとされています。症状が落ち着いてきた段階で徐々に薬の量を減らす、症状の悪化、程度の強い副作用の出現などが見られた際にはすぐに医療機関を受診するなどの注意点を医師からよく聞いたうえでスイッチングを行っていくことで、より良い治療に繋げていくことができます。

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副作用が発現したとき

これまでにも説明した通り、薬物療法には副作用が生じるリスクがあります。もちろん医師や薬剤師は副作用ができるだけ生じないように用法・用量をきちんと説明し、薬の飲み合わせなども考えたうえで薬を処方しています。

しかし患者の体質などの要因からどうしても副作用が生じてしまう場合があります。日中にボーっとしてしまう、体重が増えた、軽度な肝臓への負担といった程度の副作用の場合はスイッチングを継続していきますが、中毒症状、激しい痛みや嘔吐といった症状が表れる急性膵炎などの症状が生じた際には服薬を速やかに中止する必要があります。

生じてしまった副作用が問題のないレベルなのかどうかは私たちでは判断が難しいため、日々の心身の調子を記録し、医師や薬剤師など医療関係者と共有していくことが大切です。

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妊娠の可能性があるため

妊娠は女性の人生のなかで大きな生活の変化の1つです。もちろん妊娠を望んで計画的に準備をする方もいらっしゃいますが、なかには予定外の妊娠で子どもを授かる方も少なくありません。

気分安定薬や抗精神病の中には出生前に体に異常が生じてしまう「先天的奇形」や体のつくりに異常をきたす「形成異常」、生まれつき心臓や血管の構造の一部が正常とは異なる病気である「先天性心疾患」のリスクを上げてしまうものもいくつかあります。

そのため、妊娠の意志がある、もしくは妊娠の可能性がある方が双極症の治療を受ける際には必ず主治医に相談するようにしてください。気分安定剤や抗精神病薬の中には、胎児の先天性奇形や形成異常、先天性心疾患のリスクを増加させないものもあります。これらの薬を上手く活用しながら治療を行っていきましょう。

最後に

今回は双極症におけるスイッチングの意義について、スイッチングのメリットとデメリット、そしてスイッチングが行われるケースの2つの観点から紹介しました。

薬を切り替えることで、治療が進み、双極症の症状が落ち着くケースが多く報告されている一方で、薬を切り替える際に体内の薬物濃度が下がり、吐き気や頭痛といった症状が生じる可能性があるというデメリットが存在します。

また、双極症においてスイッチングが検討されるケースは大きく分けて3つあり、どれも双極症の方の体調や生活の質を向上させるために行われます。

しかし、なんとなくうまくいかない、ただ薬を変えてみただけでは最大効率での治療を行うことができません。なぜならお薬にはすぐに効果が得られにくいものや、副作用が時間とともに減少していくもの、症状に応じた効果特徴を持つお薬もあるからです。大切なことは、今のお薬を継続することや変更することも含めて、医師とともに治療に取り組み、体調と治療の経過を把握しながら計画をしていくことが大切です。

治療に関して不安なこと、分からないことはすぐに主治医に確認する、自分の体の変化や心の変化などいつもと違う感覚がある、または妊娠をはじめとしたライフスタイルが変化する可能性がある際にはすぐに相談するなど、医療機関との連携を密にして双極症と向き合うことで、より早く症状を抑え、生活の質を向上させてることにつながるのです。

参考文献

双極症におけるスイッチングの意義と技法.臨床精神薬理