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常同運動症について

常同運動症 / 大人の発達障害

公開日:2025.04.24更新日:2025.07.24

常同運動症について

「子どもが同じ動きを繰り返しているけれど、大丈夫だろうか」「自分でも気づかないうちに、特定の動作を続けてしまうことがある」などの悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

「常同運動症」では、同じ動作を何度も繰り返すことが特徴的に見られます。小さな子どもに現れることが多く、成長とともに自然と減るケースもありますが、続くことで日常生活に影響が出る場合もあります。

この記事では、常同運動症の特徴や診断、治療について分かりやすく解説します。

常同運動症の主な特徴

常同運動症とは、特定の動作を繰り返し行う症状のことです。どのような動作が見られるかは人によって異なりますが、例えば、手をひらひらさせる、体を揺らす、髪の毛を触る、唇をなめる、肌を引っかく、自分の体を叩くといった行動が挙げられます。これらの動作はリズミカルに繰り返され、無意識に行われることが多いのですが、意識的に止めることができる場合もあります。

こうした行動は、単なる「くせ」として片づけられることもあり、必ずしも問題となるわけではありません。一時的には多くの子どもに見られるものだからです。しかし、これらの行動が頻繁に繰り返され、日常生活に支障をきたすようになると、診断や治療の対象となる可能性があります。

特に、本人にそのつもりがなくても、自傷行為につながる場合には注意が必要です。例えば、頭を壁に打ちつける、爪や指を噛むなどの行動が続くと、体を傷つける恐れがあります。こうした場合には、早めに適切な対応をとることが大切です。

常同運動症の症状は、幼児期に始まることが多く、特に1歳から2歳頃に見られやすいとされています。成長とともに症状が減っていくこともありますが、学童期や成人になっても続くケースもあります。そのため、症状の程度や日常生活への影響を見極めながら、必要に応じて適切なサポートを検討することが重要です。

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常同運動症の原因と診断

常同運動症の正確な原因ははっきりとは分かっていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。まず、脳の発達に関連する神経学的な要因が挙げられます。

また、遺伝的な要因も関与していると考えられており、家族内で同じような行動が見られるケースも報告されています。さらに、ストレスや環境要因も症状の出現や悪化に影響を与えることがあるため、心理的なケアや環境調整を行うことが大切です。

常同運動症は、自閉スペクトラム症や知的能力障害のある方によく見られる傾向がありますが、発達に特に問題がない場合でも現れることがあります。周囲が気づいたときにどのように対応するかが、本人の生活のしやすさにも影響を与えます。

また、チック症との違いについても理解しておくことが大切です。チック症は突発的に現れる動作が特徴であるのに対し、常同運動症は一定のリズムで繰り返される傾向があります。さらに、チック症では「やめようと思っても止められない」という感覚が伴うことが多いのに対し、常同運動症の場合は、集中することで一時的に抑えられることもあります。

常同運動症の診断は、専門の医師による観察や問診を通じて行われます。診断の際には、動作の頻度や持続時間、日常生活への影響、発症時期などが考慮されます。また、チック症や強迫症など、似た症状を示す他の特性や病気との違いを確認するため、慎重な評価が必要です。

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常同運動症の治療とサポート

常同運動症の治療やサポートの必要性は、症状の程度によって異なります。症状が軽度で、日常生活に大きな影響を与えない場合は、特別な治療を必要としないこともあります。一方で、症状が強く、学校や仕事などの場面で支障をきたしている場合には、適切な治療や環境調整が重要になります。本人が無理なく生活できるよう、状況に応じた支援を取り入れることが大切です。

行動療法

常同運動症の治療として、行動療法が有効とされています。その中でも習慣転換法(ハビットリバーサル)は、症状の軽減に役立つ方法の一つです。この療法では、常同運動が起こりそうな場面で意識的に別の動作を取り入れることで、症状の頻度を少しずつ減らしていきます。例えば、手をひらひらさせる代わりに手を握る、足を揺らす代わりに深呼吸をするなどの方法が用いられます。

薬物療法

薬物療法は、症状が重いケース、特にひどい傷を負いかねない自傷行為がある場合などに用いられ、いくつかの精神科薬で効果が認められています。ただし、薬物療法はあくまで補助的なものであり、それぞれの症状に合わせて慎重に検討する必要があります。

環境調整

常同運動症の症状を減らすためには、日常生活の工夫も大切です。動作そのものがストレスを和らげる役割を果たしている場合もあり、ストレスを感じると症状が増えることがあります。そのため、特定の動作をする代わりに、気持ちを落ち着かせる別の習慣を取り入れることが有効です。運動や趣味などの継続が、症状のコントロールにつながることがあります。

また、周囲の理解を得ることも重要です。家族や学校、職場の人々が常同運動症について正しく理解し、適切にサポートすることで、本人の負担を減らすことができます。例えば、授業中に落ち着かない動作が目立つ場合には、座席の位置を工夫する、短時間の休憩を挟むなどの方法が考えられます。

本人がリラックスして過ごせる環境を整え、無理なく日常生活を送れるように支えることが、常同運動症と向き合う上での大切なポイントです。

名古屋ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院は名古屋駅から1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックです

まとめ

常同運動症は、特定の動作を繰り返す症状が特徴の一つですが、すべてのケースが問題になるわけではありません。日常生活に大きな影響を及ぼしていない場合は、過度に心配する必要はありませんが、症状が強く現れ、本人の生活に困難をもたらしている場合は、専門家に相談することが大切です。

名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニック

野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など