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「人と関わると疲れてしまう」社会的疲労とは?

社会的疲労 / 大人の発達障害 / ADHD・注意欠陥多動性障害 / HSP・ハイリーセンシティブパーソン

公開日:2025.06.18更新日:2025.06.27

「人と関わると疲れてしまう」それは単なる性格ではありません

職場の同僚との会話、知人との食事、オンライン会議。特別なトラブルがあったわけではないのに、人と接した後に強い疲労感を覚える。そんな状態が続いていると感じたことはありませんか?

このような“対人関係に伴う消耗”は、医学・心理学の分野で「社会的疲労(social fatigue)」と呼ばれ、近年注目されています。これは単なる内向性ではなく、認知や感情、神経系の過負荷によって起こるれっきとした疲労状態です。

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社会的疲労とは? その正体とメカニズム

社会的疲労とは、人との関わりによって蓄積する精神的な消耗のことです。

具体的には

  • 相手の反応を読み取る
  • 適切な言葉を選ぶ
  • 空気を壊さないように気を遣う
  • 表情や振る舞いを調整する

といった、日常の中でほぼ無意識に行っている“社会的スキル”の連続使用が、脳の認知負荷を高め、エネルギーを奪っていきます。

一見「普通の会話」でも、神経はフル稼働しているため、何時間も立ち仕事をしたような疲労感が残ることもあります。

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疲労を感じやすいタイプとは?

社会的疲労を強く感じやすい背景には、以下のような特性が関係しているケースがあります。

▷ 感受性が高い人(HSP)

周囲の些細な変化や感情の揺れを敏感に察知するため、対人関係そのものが常に“情報過多”になります。

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▷ 自閉スペクトラム傾向(ASD)

非言語的なやりとりの理解に時間がかかる・曖昧な空気感に疲れやすいなど、**社交の場が「計算が必要な環境」**になる傾向があります。

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▷ 注意のコントロールが苦手な人(ADHD傾向)

会話中に集中力を維持したり、相手に合わせて自分を抑えることに強い精神的エネルギーを要するため、疲労につながります。

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▷ 自己評価が低い・失敗を恐れる

「嫌われたらどうしよう」「変に思われていないか」といった不安を抱えたまま人と接することは、緊張と自己抑制による持続的な疲労を引き起こします。

蓄積されるとどうなるか?

社会的疲労が続いた場合、次のような状態が現れることがあります。

  • 外出や対面のやりとりが億劫になる
  • 人間関係を避けたくなる(回避傾向)
  • 他人に対して過敏・被害的になる
  • 気分が落ち込みやすくなる(うつ状態)
  • 食欲や睡眠リズムの乱れ
  • パニック症状や動悸・息苦しさなどの身体的反応

対人場面での消耗が続くと、“人と関わる力”そのものを避けるようになり、生活の幅が縮まるリスクが高まります。

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単に「人付き合いが苦手」と決めつけないでほしい理由

多くの人は、自分が人との関わりに疲れていると気づくと「性格のせい」「努力不足」と考えがちです。しかし実際には、脳や神経が長時間フル稼働している状態ともいえ、性格ではなく“状態”の問題である場合が少なくありません。

つまり、工夫やサポートによって改善が可能な領域なのです。

どのように対処できるか?

【1】疲れの原因となる場面を“見える化”する

「どういう関係性・状況で消耗するのか」を把握することで、自分にとって過負荷なパターンが見えてきます。

たとえば

  • 職場の雑談が苦手
  • グループよりも1対1の方が疲れない
  • オンライン会議後に強い疲労が残る

このような傾向を把握することは、対人関係の“調整”の第一歩となります。

【2】関わり方の“強度”を調整する

人間関係は「ゼロか100か」ではありません。

  • 会話の頻度を減らす
  • 聞き役に徹する
  • 参加するが発言しない

など、関わり方に“緩急”をつけることが、回復への助けになります。

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【3】意図的に“無人の時間”をスケジューリングする

週末や平日のすき間時間に、誰にも会わず・話さない時間を確保することで、認知負荷のリセットが可能になります。

【4】必要に応じて専門的な支援を受ける

社会的疲労の背景には、ADHDASDなどの発達特性、あるいは抑うつ・不安傾向が関係していることもあります。医療機関では、心理検査や精神療法によって「なぜ疲れるのか」を明確化し、負担を減らす対策を一緒に考えることが可能です。

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「疲れやすい」は個性ではなく、調整が必要な“状態”かもしれない

対人関係で疲れてしまう自分を責める必要はありません。それはあなたの「性格」ではなく、「脳と心の処理が飽和しているサイン」である可能性があります。

もしあなたが、社会的な関わりの中で繰り返し消耗し、孤立傾向や自己否定感が強まっていると感じるなら、それは専門的なケアが必要な時でもあります。一人で抱え込まず、必要なときは専門家のサポートを受けることも是非ご検討ください。

名古屋ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院は名古屋駅から徒歩1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックです。お気軽にご相談くださいませ。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など