「またやってしまった…」そのミス、もしかして脳のSOSかもというテーマで、名古屋ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院が心療内科ブログで解説

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「またやってしまった…」そのミス、もしかして脳のSOSかもしれません

メンタルケア / 適応障害 / うつ病

公開日:2025.06.06更新日:2025.06.06

「またやってしまった…」そのミス、もしかして脳のSOSかもしれません

  • 「最近、仕事でうっかりミスが増えた」
  • 「注意しているつもりなのに、同じ間違いを繰り返してしまう」

そんな悩みを抱える人は、少なくありません。

そして、ミスのたびに自分を責め、気づけば自己嫌悪に陥ってしまうこともあるでしょう。しかし、その“ミスの背景”には、単なる不注意ではなく、脳が疲弊しているサインが隠れていることがあります。

脳が疲れてくると「注意のセンサー」が鈍くなる

私たちはふだん、膨大な情報の中から必要なものだけを選び取りながら生活しています。これは「選択的注意」と呼ばれる認知機能で、脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)という部分が主に担っています。

ところが、睡眠不足・過労・ストレスが続くと、この前頭前野の働きが鈍くなり、注意のアンテナがうまく働かなくなります。

たとえば…

  • 書類に名前を書き忘れる
  • 会議の時間を間違える
  • 大事なメールに返信しそびれる

こうした“うっかり”が増えるのは、意志や気合いの問題ではなく、脳の処理能力が落ちている結果かもしれません。

名古屋ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院は名古屋駅直結の心療内科,精神科,メンタルクリニックです。

同じミスを繰り返す理由は「記憶の整理不全」

脳の働きは、パソコンにたとえると分かりやすいかもしれません。作業をし続けてメモリがいっぱいになると、処理速度が落ち、時にはフリーズもします。

脳も同じで、長時間働き続けたり、感情のストレスがたまったりすると、記憶の整理や定着がうまくいかなくなります。

その結果、

  • ミスしたこと自体を覚えていない
  • 前と同じやり方を繰り返してしまう
  • 「次こそ気をつけよう」と思っても実行できない

という状況に陥りやすくなります。これは、決して意志が弱いからではありません。「脳がオーバーヒートしている状態」とも言えるのです。

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感情が先に疲れていく「情動疲労」も見逃せない

最近の研究では、「脳の疲れ」といっても、思考だけでなく感情をつかさどる部分の疲労が先に現れることが分かってきています。これを「情動疲労」と呼ぶこともあります。

たとえば、

  • 小さなことでイライラする
  • 急に虚しくなる
  • 感情の波に飲まれて集中できない

といった状態があるとき、すでに脳の一部が悲鳴をあげている可能性があります。

こうした情動の揺らぎは、仕事や日常生活における判断力や集中力にも影響を与え、結果として“ミス”につながりやすくなります。

「性格のせい」にしない。脳の調子を整えるという視点

私たちはミスをしたとき、「自分はだらしない」「もっと努力しないと」と、自責に走りがちです。ですが、必要なのは“もっと頑張る”ではなく、“脳を回復させる”という視点かもしれません。

脳が健やかに働くには、以下のような土台が欠かせません。

  • 睡眠の質を確保する
  • 栄養をとる(特にたんぱく質やビタミンB群)
  • 毎日、少しでも“頭を休める時間”を作る
  • 感情を吐き出す場を持つ(会話、日記など)

つまり、環境とリズムを整えることで、脳のパフォーマンスは回復し、自然と“うっかり”も減っていくのです。

「ミスが増えた」「集中できない」精神科・心療内科でも相談できます

もし今、

  • 以前より明らかにミスが増えている
  • 眠れない・食欲がない・朝起きられない
  • 楽しかったことが楽しめなくなってきた

こうした兆候がある場合、メンタルヘルスの不調が背景にある可能性も考えられます。

たとえば、軽度のうつ状態、適応障害、あるいは発達特性(ADHDなど)が関係しているケースもあります。ミスを責めるよりも、「なぜこんな状態が続いているのか?」と一歩立ち止まって見直してみることが、改善の第一歩です。

心療内科や精神科では、以下のようなサポートが受けられます

  • 認知機能・注意力の簡易チェック
  • ストレスや抑うつ状態の評価
  • 必要に応じた薬物療法や心理療法

ミスを「自分の弱さ」と捉える必要はありません

仕事でも家でも、ミスをしたときに一番つらいのは、周囲の視線ではなく、自分の中で生まれる“自己否定”かもしれません。

ですが、忘れてはいけないのは…私たちは“ロボット”ではなく、“疲れる”こともある人間だということ。

調子を崩したときには休み、時には人に頼る。それは怠けでも甘えでもなく、「脳の健康」を守るためのごく自然な行動です。

自分を責める前に、少しだけ自分の脳や心の状態に優しく目を向けてみてください。それが自分の状態を客観的に見つめなおしたり、毎日を少しずつ前向きに戻していく第一歩になるはずです。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など