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限局性学習症について

限局性学習症 / ADHD・注意欠陥多動性障害

公開日:2025.02.06更新日:2025.09.21

限局性学習症・LDについて

「昔から漢字が覚えられない」「数字が苦手で計算が遅い」そんな悩みを抱えていませんか? もしかすると、それは限局性学習症(学習障害[LD])の特性かもしれません。学習の困難さは、子どもの頃に気づかれやすいものの、大人になってから悩みを自覚する人もいます。

この記事では、限局性学習症の特徴を詳しく解説し、生活の負担を減らすヒントをご紹介します。自分の特性を知ることで、少しでも心が軽くなるかもしれません。

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限局性学習症の主な特徴

「限局性学習症」は、比較的最近の診断名であり、「学習障害」という名称の方が聞き覚えのある方も多いかもしれません。限局性学習症とは、知的能力に問題がないにもかかわらず、特定の学習分野で困難を抱える状態です。主に「読む」「書く」「計算する」の3つの分野において顕著な特徴が見られ、複数の分野で困難を持つ場合もあります。

読字の困難

読字の困難は、文字をスムーズに読んだり、単語を正しく理解したりすることが難しい状態のことです。「失読症(ディスレクシア)」と呼ばれることもあります。

この困難を持つお子さんは、文章を読む際に、ひらがなや漢字を読み間違えたり、単語を飛ばしてしまったり、違う言葉に置き換えてしまったりすることがあります。また、読むスピードが極端に遅く、内容を十分に理解できないことも多いです。このため、本人も音読自体を嫌がることが多いでしょう。

授業中のノートの書き取りや教科書の理解に時間がかかり、学習意欲が低下しやすくなります。学習の遅れが続くと、周囲と比較して自信をなくしてしまうこともあります。

算数の困難

算数の困難は、計算や数学的な概念の理解が難しい状態のことです。基本的な足し算や引き算などのルールを覚えるのが難しく、計算に時間がかかります。数字や計算の概念を理解して、正しく使うことが苦手です。文章問題の意味を理解し、適切な数式に置き換えるのが難しい場合もあります。

日常生活では、お金の計算や時計を読むことで苦労したり、九九や筆算の習得に時間がかかったりします。図形を見て長さや面積を測るのが苦手なこともあるでしょう。

この困難があると、算数の授業についていくのが難しくなり、学年が上がるにつれて苦手意識を持ちやすくなります。特に複雑な数学になると困難が増すため、早期のサポートが望ましいでしょう。

書字の困難

書字の困難は、文字や文章を書くことが難しい状態です。具体的には、文字を正しく書けない、文字の形が崩れて読みにくい、書くことに時間がかかる、単語や語順を間違えやすい、文法や句読点の使い方が不自然、文章を構成するのが苦手、などの特徴があります。

これらの特徴から、作文やノートの記入に時間がかかり、書きたい内容がうまくまとまらない、といったことが起こりやすくなります。学校の授業や宿題が負担になり、勉強自体を避けるようになりがちです。

限局性学習症の原因と関連する特徴

限局性学習症の原因ははっきりとは分かっていませんが、遺伝的な要因や環境の影響が関係していると考えられています。また、脳の情報処理の仕組みに違いがあることが一因とされています。

限局性学習症のある人は、ほかの発達特性を併せ持つことも少なくないようです。例えば、注意を集中し続けるのが難しい(注意欠如・多動症[ADHD])、会話や文章の理解が苦手、といった特徴が見られることがあります。これにより、学校や職場での困難が増える場合もあります。

学習の困難さは、本人の自己肯定感や社会生活にも大きく影響します。勉強に対する苦手意識、やる気の低下、イライラや落ち込みなどが出てくることもあり、早期の対応が大切です。

▶ADHD・注意欠陥多動症に関する詳しい説明はこちら

限局性学習症の治療とサポート

限局性学習症の特徴は、決して本人の「やる気」や「努力」の問題ではなく、脳の特性によるものと考えられています。学習の困難を軽減し、自信を持って学び続けるために、適切なサポートを受けることが大切です。

読字の困難

読字の困難には、文字と音の結びつきを理解しやすくする学習法が効果的です。個々の文字から音を学び、単語や文へと広げていく方法が用いられます。

特別支援プログラムや個別指導が有効で、視覚や触覚を活用する方法もあります。たとえば、絵や図などの視覚的な教材を使って単語の意味を理解し、発音をしなくても覚えられる学習方法などです。

大人になってからでもできる工夫としては、フォントやレイアウトを調整して読みやすくする、パソコンやスマートフォンの音声読み上げ機能を使って耳から情報を得るなど、デジタル機器を活用した方法があります。

算数の困難

算数の困難がある子どもには、早めのサポートが効果的です。特に小学校低学年までに支援を受けると改善しやすくなります。早いうちから、数字の大きさを比べる、数を数える、数字の順番を覚えるといった練習が役立ちます。コンピュータゲームを活用すると、楽しく学べることも多いでしょう。

また、学習の困難さだけでなく、助けを求めることに不安を感じる場合もあるため、人との関わり方などの問題解決方法を学ぶことも大切です。

大人の場合には、計算機を使用したり、図やグラフを活用して数の概念をつかみやすくしたり方法が有効でしょう。

書字の困難

書くことが苦手な子どもには、文字の練習と文法の学習を組み合わせた支援が効果的です。個々に合った課題を用意し、マンツーマンで継続的に指導することで、改善が期待できます。大切なのは、子どものやる気を引き出し、楽しく学べる環境を作ることです。

また、学習の困難さからくる不安やストレスへのケアも必要で、家族のサポートや専門的な相談が役立ちます。

大人になってからも手書きが苦手な場合には、パソコンやタブレットで文字入力をする、文法チェックツールを使って文章の誤りを修正する、といったことも効果的でしょう。

まとめ

限局性学習症の特徴は、大人になっても残ることがあります。仕事で書類作成や計算に苦労する場合は、専門家に相談し、適切な支援を受けることも一つの方法です。

限局性学習症は、サポートを受けることで乗り越えやすくなります。一人で抱え込まず、自分に合った対策を見つけて、自信を持って生活できる道を探していきましょう。

名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニック

野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など