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【自律神経失調症】症状の原因、自律神経を整える方法とは
自律神経失調症 / うつ病 / 身体表現性障害
公開日:2024.05.10更新日:2024.05.10
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【自律神経失調症】検査をしても症状の原因がみつからない、症状の深刻さが伝わりづらい
検査をしても症状の原因が見つからない、症状の深刻さと患者さんの訴えが釣り合っていないなど、患者さんの症状を上手く説明できないことがあります。そういった場合、自律神経失調症という仮の診断名が付けられることもあります。
この記事では、自律神経失調症や、そのベースとなる自律神経などについてお話します。
自律神経失調症とは
「自律神経失調症」という疾患はICD-10にはない
自律神経失調症とは、「自律神経」のバランスが崩れた結果として心身に何らかの症状が出ている状態のことです。「自律神経」については、次にお話します。
自律神経失調症は正式な診断名ではありません。しかし、耳にする機会は少なくないと思います。
慢性的な身体症状が起きていて、かつその症状に対して患者さんが苦痛や心配を抱いている場合、精神科や心療内科などで「身体症状症」という診断名が下すことが適切な時があります。また、もし抑うつ気分のほうが症状として目立ち、それに頭痛や肩こりなどの身体症状が付属している場合は「軽度のうつ病」と診断することが妥当な場合もございます。
自律神経失調症は今でも実臨床でも多く使われる診断名
しかし多くの場合、身体症状の治療ために患者さんが精神科や心療内科を最初に訪れることは多くはありません。身体科を受診しながら、検査や対処療法を経ながら「自律神経失調症」という診断がつくこともあります。自律神経失調症の原因としてはストレスや疲労が多いため、対処療法と共に、適切にストレスを管理できれば症状は悪化しないことが多いので、身体科でもちゃんと診断が付く事は非常にメリットが大きいと思われます。
近年のスマホ人口から考えると、『自律神経失調症』そのものは昔から用いられてきた名前であるためネットで調べやすい、知識も得やすいということも、患者さんにとってメリットの大きい事であると感じます。
メンタルの不調に経過が移行しやすいので注意は必要です
しかし、自律神経失調症の症状が長引いたり、症状が思うようにコントロールできないと、抑うつや不安感・緊張・落ち込み・不眠などと言った日々のメンタルへ影響を及ぼしてしまうことがあります。
症状が長引いたり、心の不調を伴っているときには、自己判断したり我慢しすぎたりせず、心療内科・精神科・メンタルクリニックなどの医療機関までご相談をお願いいたします。
自律神経とは
不随意神経のひとつに自律神経がある
人間の体には、自分で命令して動かす随意神経と、自分では命令できず自動的に動いている不随意神経があります。不随意神経のひとつに、今回のテーマである自律神経があります。
交感神経と副交感神経は体の機能の調整をしている
自律神経は交感神経系と副交感神経系に分けられますが、いずれも体の状態を調整する働きを担っています。
交感神経はアクセスの働き、副交感神経はブレーキの役割
例えば・・・
◆走り出したら心拍を早くする
◆眠るときには心拍を遅くする
◆重い荷物を持つときには血管を収縮させて力強く動けるようにする
◆食事をしたら胃液をたくさん分泌して消化しやすくする
これら全て自律神経が調整してくれたものですが、交感神経系と副交感神経系で担当が違います。車で例えると交感神経系はアクセルの役割があり、体を動かしやすくしてくれます。先の例でいうと心拍を早くしたり、血管を収縮させたりするのは交感神経系の働きです。反対に副交感神経系はブレーキの役割があり、体を休みやすい状態にしてくれます。心拍を遅くしたり、胃液をたくさん分泌したりするのは副交感神経系の役割です。
自律神経のバランスが崩れると…
活動するときには交感神経系がメインで働き、休むときには副交感神経系がメインで働く。
自律神経失調症の状態とは・・・
このバランスが崩れたり、適材適所で働かなくなったりすると、自律神経失調症の症状が出てきます。例えば過労状態、つまり常に仕事をしている状態でいると、交感神経系ばかりが働き続けてしまうことになります。
そうすると常に血管が収縮した状態になるので、肩こりや頭痛などが起きてしまうのです。また、夜間業務のように本来は休むべき夜に副交感神経系をメインで働かせ続けることは、精神面だけではなく身体面でもオンとオフの切り替えをしづらい状態を生み出してしまいます。そうすると、本来は交感神経系がメインで働くときにも副交感神経系が働いてしまうことになります。
自分では動こうと思っていても体がブレーキをかけてしまい、立ちくらみや怠さなどが出てくることにつながるのです。
自律神経失調症の症状は多様である
自律神経のバランスが崩れたときにどんな症状が出るかは、その人の体質によって異なります。常に緊張状態にある人は頭痛や肩こりなどが起こりやすい一方で、お腹が弱い人は腹痛が起きやすいです。また、体の痛みではなくメンタルや睡眠の問題として症状が出ることもあれば、複数の症状が同時に見られることもあります。
自律神経のバランスを整えるには
自律神経失調症の原因のひとつに、ストレスがあります
自律神経のバランスを崩す一番の原因は、ストレスであると言われています。
ここでいうストレスは、人間関係や仕事などの悩みという狭義のものではなく、私たちの心身にかかっている何らかのゆがみや圧力というストレスの語源に近いものも含まれます。
つまり、人間関係や仕事などの悩みは当然のこと、食事や睡眠、運動などの生活習慣も自律神経のバランスを整えるうえで大切であり、これらの乱れも『ストレス』と言えます。
自分では気がつかない無理や疲労も、『自律神経失調症』の原因となり得る・・・
もしかしたら「頭痛は少しあるけど、仕事は楽しいし悩みはない」という方もいるかもしれません。しかし、本人はしんどいと感じていないけど、体はSOSをあげているというパターンもあります。このような場合も、いま一度自分の生活を見直したほうがよいでしょう。
自律神経を整える方法とは・・・
自律神経のバランスを整えるの方法のひとつとして、生活にメリハリをつけることも有効だと思われます。つまり、休むときにはしっかり休むということです。
好みはあると思いますが、日中にしっかり運動して体を疲れさせ、夜は早めに就寝するというのは、メリハリをつけるうえで理想のひとつだと思います。また、私たちの生活はスマホなしでは成り立ちませんが、そのことで脳は過活動な情報に陥っていると言えます。そのため、なるべくなら休むときにはスマホやパソコンなどからは距離を置いたほうがよい場合もあります。
さいごに
今回は 自律神経失調症について紹介をしました。正式なICD-10の病名ではありませんが、昔からよく使われている診断名であり、身体科・精神科ともに患者さんの相談は多い疾患であると言えます。また「自律神経失調症」という病名は患者さんも自ら対処法や原因についてをネットの検索などでも調べやすいほど情報も充実しているという特徴があります。
しかし、「自律神経失調症」という自律神経に関係のある症状であるからこそ、個人差も多様性も非常に大きな特徴があります。ですので、自己判断なさりすぎず、症状が継続するときやメンタルの不調を来してしまっているときには、心療内科・精神科・メンタルクリニックなどの医療機関へ相談されることをお勧めいたします。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など