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「頑張れ」がつらい…うつ病の人が本当に欲しい言葉とは
対人関係 / 非定型うつ病 / 家族と家族関係について / 心理面・思考 / うつ病
公開日:2025.03.03更新日:2025.03.03
うつ病の方への声掛けとは
「頑張れ」という言葉は、多くの場面で励ましとして使われます。しかし、うつ病の人にとっては、この言葉がかえってプレッシャーとなり、つらく感じてしまうことがあります。
それでは、うつ病の人が本当に求めているのはどんな言葉なのでしょうか? 本記事では、うつ病の人に寄り添う言葉の選び方について考えていきます。
なぜ「頑張れ」がつらいのか?
「頑張れ」は一見すると前向きな言葉ですが、うつ病の人にとっては、次のような理由で心に負担を与えてしまうことがあります。
① すでに十分頑張っている
うつ病の人は、日常生活の中でさえ、大きなエネルギーを使っています。朝起きること、食事をすること、人と会話すること、こうした当たり前のことがとても大変に感じられるのです。
そんな中で「頑張れ」と言われると、「まだ足りないのか」「もっと努力しないといけないのか」と感じてしまい、自分を責める原因になってしまいます。
② 具体的なサポートが感じられない
「頑張れ」は、とても抽象的な言葉です。うつ病の人は「どう頑張ればいいのか分からない」と感じていることが多く、「ただ頑張れと言われても、何をすればいいの?」と戸惑ってしまいます。
③ 孤独感を強める
「頑張れ」と言われることで、「このつらさを理解してもらえない」と感じることがあります。うつ病の人にとっては、気持ちを共有してもらえることが何よりの支えになるのですが、「頑張れ」という言葉が、かえって孤独感を強めることもあるのです。
うつ病の人が本当に欲しい言葉とは?
では、うつ病の人が求めているのはどんな言葉なのでしょうか? それは、「理解と共感」を感じられる言葉です。
① 「無理しなくていいよ」
うつ病の人は、「頑張らないといけない」と思い込んでいることが多いため、「無理しなくていい」という言葉をかけられると、ホッとすることがあります。「今は休んでも大丈夫」と伝えることで、プレッシャーを軽減できます。
② 「そばにいるよ」
うつ病になると、「一人ぼっちだ」「誰にも理解されない」と感じやすくなります。「そばにいるよ」「話を聞くよ」といった言葉は、孤独感を和らげるのにとても効果的です。
③ 「大変だったね」「つらかったね」
共感を示す言葉は、うつ病の人にとって大きな安心感になります。「今まで大変だったね」「つらい気持ち、分かるよ」と声をかけることで、「自分の気持ちを理解してもらえている」と感じることができるのです。
④ 「少しずつでいいよ」
うつ病の回復には時間がかかります。しかし、「早く元気にならなきゃ」と焦る気持ちがストレスになることもあります。「少しずつでいいよ」「焦らなくても大丈夫」と伝えることで、安心感を与えることができます。
⑤ 「何かできることがあったら言ってね」
「何か困っていることがあれば言ってね」と声をかけることで、相手が頼りやすくなります。ただし、「何でもするよ」と言ってしまうと相手に遠慮させてしまうこともあるので、より具体的な提案をするのも良いでしょう。
言葉だけでなく、態度も大切
言葉だけでなく、態度も大切です。うつ病の人が安心できるように、以下の点を意識してみましょう。
① 否定せずに話を聞く
うつ病の人が悩みを話したとき、「そんなこと気にしなくていいよ」「もっと前向きに考えなよ」といった返答をすると、かえって傷つけてしまうことがあります。
話を聞くときは、否定せずに「そうなんだね」「それはつらかったね」と受け止める姿勢が大切です。
② 沈黙を怖がらない
うつ病の人は、話す気力がないこともあります。無理に会話を続けようとせず、一緒に静かに過ごすだけでも安心感を与えることができます。
③ 何気ない日常の会話をする
うつ病の人に対して特別な言葉をかけようとするのではなく、普段通りの会話をすることも大切です。天気の話やテレビの話など、何気ない会話が、心の負担を和らげることもあります。
まとめ「言葉の力を大切に」
「頑張れ」という言葉が励ましになることもあれば、うつ病の人にとっては負担になってしまうこともあります。大切なのは、「相手がどう受け取るか」を意識することです。
うつ病の人が本当に求めているのは、「理解と共感」を感じられる言葉です。「無理しなくていいよ」「つらかったね」「そばにいるよ」といった言葉をかけることで、少しでも安心感を与えることができます。
言葉の力を大切にしながら、相手に寄り添う気持ちを持つことが何より重要なのです。