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Hidamari Kokoro Clinic
注意欠如・多動症(ADHD、注意欠陥多動症)について
ADHD・注意欠陥多動性障害
公開日:2025.02.06更新日:2025.09.21
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注意欠如・多動症(ADHD)について
注意欠如・多動症(ADHD、注意欠陥多動症)は、不注意、多動性・衝動性という特徴を持つ発達障害の一つです。子どもの頃だけでなく、大人になっても症状が続く場合があり、日常生活や学業、仕事に影響を及ぼすことがあります。
最近では、ADHDが広く知られるようになり、多くの方がその症状について関心を持つようになりました。「子どもの落ち着きがない」「言ったことをすぐに忘れる」など、お子さんの行動に悩む保護者の方もいらっしゃるかもしれません。また、大人になってから、「自分はADHDなのではないか」と悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、ADHDの特徴や治療・サポート方法について、分かりやすく解説します。記事を読んで「もしかしたら」と思われた時は、自己判断はせず、ぜひメンタルクリニックなどの専門家にご相談ください。

注意欠如・多動症(ADHD)の主な特徴
ADHDに見られる大きな特徴は、「不注意」と「多動性・衝動性」の二つです。これらの特徴は人によって、一方が目立って出てくる場合もあれば、両方が組み合わさって見られる場合もあり、必ず両方が揃うわけではありません。
また、一対一の場面では気づかれにくく、教室のような集団の中では目立つ、ということもあります。ただし、診断においては、二つ以上の状況(例えば、家庭と学校など)で、その特徴が続いていることが条件となります。
不注意
不注意とは、細かいことに気づけなかったり、集中を続けることが難しかったりする状態のことです。
例えば、細かい部分に注意を払うのが苦手で、学校や職場での作業でミスを繰り返してしまうことがあります。授業や読書などに集中し続けるのが難しく、途中で気が散ってしまうことも特徴的です。
また、誰かに直接話しかけられても、注意がそれていて聞いていないように見えることがあります。指示を受けても、途中で忘れたり脱線したりしてしまうため、課題や仕事を最後までやり遂げられないことも少なくありません。さらに、時間の管理が苦手で、物事を順序立てて行うのが難しいため、持ち物をなくしたり締め切りを守れなかったりします。
これらは、一見「怠けている」と思われてしまうこともありますが、実際には本人の意志とは関係なく起きる症状です。
多動性・衝動性
多動性と衝動性は、じっとしているのが苦手な性質や、思いついた行動をすぐに実行してしまう傾向のことです。
例えば、じっと座っているのが苦手で、授業中に落ち着きなく手足を動かしたり、席を立ってしまったりすることがあります。おとなしくしていることが求められる場面で、走り回ったり、高い場所に登ったりすることもあり、静かに遊ぶことは難しい場合が多いです。また、しゃべりすぎたり、相手の話を最後まで待てずに割り込んでしまったり、順番を待つのが苦手なこともあります。
これらの特徴は、本人が自覚していてもコントロールが難しい場合が多く、家庭や学校など、日常生活において様々な困難を引き起こすことがあります。
さらには、リスクを十分考えずに行動してしまい、時にトラブルや事故に遭いやすくなることには注意が必要です。

注意欠如・多動症(ADHD)の原因と兆候
ADHDの原因はまだ完全には分かっていませんが、遺伝的な要因と環境の影響が関係していると考えられています。ただ、これらの要因は複雑に絡み合っており、特定の事柄だけが原因になるわけではありません。
また、ADHDの症状は本人の努力不足ではなく、神経発達上の特性によるものです。そのことを周囲が理解することが大切です。
ADHDの特徴は、幼少期から表れます。ただし、ADHDでなくとも、小さい子どもは誰しも、集中力が続きにくかったり、活発であったりするものです。そのため、特に子どもが小さいうちは、こうした特徴とADHDの症状を見分けることは簡単ではありません。
注意欠如・多動症(ADHD)の治療とサポート
ADHDの治療には、薬による治療と心理的・社会的サポートを組み合わせたアプローチが効果的とされています。治療方法はそれぞれの症状や状況に応じて異なるため、医師や専門家と相談しながら進めることが重要です。
薬による治療では、集中しやすくする効果や、落ち着きを保つ効果が期待できます。ただし、これらは症状を和らげるための手段であり、根本的な治療方法というわけではありません。
心理的・社会的サポートは、ADHDの治療において重要な役割を果たします。行動療法や認知行動療法(CBT)は、問題となる行動を改善するための手法です。また、保護者がADHDについて学び、子どもに適切に対応する方法を学ぶペアレントトレーニングも効果的です。
学校や家庭では、周囲の理解と協力が欠かせません。具体的には、課題を小分けにして提示する、時間管理をサポートするツールを提供するなど、環境を整えることが求められます。
大人の注意欠如・多動症(ADHD)
ADHDは、以前は子どもの問題として知られていましたが、最近では、大人になっても続くケースがあることが分かってきました。ADHDを持つ子どもの半数以上は、大人になってもその影響を受け、仕事や生活に支障が出ることがあります。現在では、大人のADHDへの理解が進み、診断と治療が広がっています。
大人のADHDでは、不注意や衝動的な行動が主な特徴です。例えば、仕事を整理して最後までやり遂げるのが難しかったり、集中力が続かなかったりします。後先を考えずに急に大きな決断をしてしまう場合もあります。仕事の締め切りを守れなかったり、約束を忘れたりして、仕事や人間関係で問題を抱えることも少なくありません。
これらの結果として、自分に自信を持てなくなり、うつ状態になってしまう人もいます。
大人のADHDは、子ども時代の特徴や現在の生活での困難さをもとに診断されます。他の病気と区別することが必要で、特に不安や気分の浮き沈みがある場合は、専門家の判断が重要です。
薬による治療は、集中力を高めたり、衝動を抑えたりするのに役立ちます。ただし、薬だけでなく、自分に合った生活上の工夫や対処方法を見つけることも大切です。また、周りの人が理解し、無理のない環境を作ることが、生活の質を高める助けになります。
まとめ
ADHDは、不注意、多動性・衝動性といった特徴が見られる発達障害ですが、適切な治療とサポートを受けることで、症状を和らげ、日常生活をより豊かにすることができます。
「ADHDかもしれない」と感じている方や、そのご家族がいらっしゃいましたら、専門の医療機関にご相談ください。当クリニックでは、診断や治療、サポートを通じて、一人ひとりの生活の質を向上させるお手伝いをしております。ぜひお気軽にご相談ください。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など








