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抗うつ薬を開始しても症状が治った感じがしない時

お薬 / うつ病

公開日:2025.01.23更新日:2025.01.23

抗うつ薬を開始しても症状が治った感じがしない—その理由と対処法

うつ病の治療を始める際、多くの人が期待するのは「すぐに元気を取り戻せる」ということです。特に抗うつ薬を処方されると、症状の改善を早期に実感したいと感じることでしょう。しかし、薬を始めてみても、「症状が改善されない」「治った感じがしない」といった気持ちになることがあります。

では、なぜ抗うつ薬を飲んでも治った感じがしないのでしょうか?その理由と、どのように向き合っていけば良いのかを探っていきましょう。

1. 抗うつ薬の効果が現れるまでには時間がかかる

抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを調整することによって、気分を安定させる働きがあります。しかし、効果が実感できるまでには時間がかかることが一般的です。多くの場合、抗うつ薬を開始してから数週間(2週間以上)で徐々に効果が現れることが多いです。最初の1週間は、副作用が目立つことがあるため、むしろ改善を感じることが難しいかもしれません。

2. すべての症状が一度に改善するわけではない

うつ病は症状が多岐にわたります。たとえば、気分の落ち込み、眠気や不眠、食欲の変化、集中力の低下などが挙げられますが、抗うつ薬が一度にすべての症状を改善するわけではありません。

初めに改善されるのは、眠りや食欲、エネルギーの回復など、比較的身体的な症状からの場合が多いです。一方で、気分の落ち込みや思考の負担感がすぐには改善しないこともあります。このように、時間をかけて症状が少しずつ改善していくことを理解しておくことが大切です。

3. 個々の薬の反応は異なる

抗うつ薬にはいくつかの種類がありますが、個々の体質や薬に対する反応は人それぞれ異なります。ある薬が効果的に感じる人もいれば、別の薬を試すことで初めて効果を実感できることもあります。もし、薬を始めてから数週間が経っても効果が感じられない場合は、医師と相談し、薬の種類や投与量を調整することを考慮する必要があるかもしれません。

4. 心理的サポートが必要なことも

薬物療法だけではなく、カウンセリングや認知行動療法など、心理的なサポートも重要です。抗うつ薬だけでなく、心のケアも並行して行うことで、より効果的な治療が期待できます。薬物治療とともに、心理的な支援があれば、症状が改善するペースも速くなることがあります。

5. 生活習慣の見直しが重要

うつ病の回復には、生活習慣の改善も大きな役割を果たします。規則正しい生活や十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、薬物治療と並行して行うことで、回復が早まることがあります。ストレスを減らすためのリラックス法や趣味の時間を持つことも有効です。

まとめ

抗うつ薬を始めても、すぐに症状が改善されないことに不安や焦りを感じることはあるかもしれませんが、薬物療法はあくまで時間をかけて効果を発揮するものです。薬の種類や量を調整したり、心理的なサポートを受けること、生活習慣を見直すことが重要です。

もし「治った感じがしない」と感じるたとき、急にお薬を止めたり、治っていないのではないかと決して焦りすぎず、担当医師とよく相談し、適切なサポートを受けながら、少しずつ回復に向けて進んでいきましょう。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など