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意外と知らないうつ病の種類|典型的なうつ病だけじゃない?
産後うつ病 / 仮面うつ病 / 季節性うつ病 / 持続性うつ病(気分変調症) / 季節とメンタルヘルス / 非定型うつ病 / 双極性障害 / うつ病
公開日:2025.03.02更新日:2025.03.02
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症状から考える|うつ病の種類
うつ病と聞くと、多くの人が「気分が落ち込む」「何もやる気が出ない」といった典型的な症状を思い浮かべるでしょう。しかし、実はうつ病にはさまざまな種類があり、症状の現れ方も人によって異なります。中には、一般的なイメージとは違った形で現れるものもあるため、正しく理解することが大切です。
もちろん、医学的には、各種診断基準やガイドラインに基づいて、うつ病名分類は細かくなされていますが、この記事では、症状を切り口にして、うつ病について分類してみました。
典型的な「大うつ病(大うつ病性障害)」
うつ病の中で最も一般的なのが、大うつ病(大うつ病性障害)です。これは、強い抑うつ気分や興味・喜びの喪失が2週間以上続く状態を指します。
昔から言われているうつ病といえば、辛くてずっと起き上がれないというイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは典型的な「大うつ病(大うつ病性障害)」のイメージを指すものでもあります。
主な症状
- ほぼ毎日気分が落ち込む
- 興味や喜びを感じなくなる
- 食欲や体重の変化(減少・増加)
- 不眠や過眠
- 疲労感やエネルギーの低下
- 自分を責める気持ちが強くなる
- 集中力の低下
- 死について考えることが増える
このタイプのうつ病は比較的よく知られていますが、ほかにもさまざまな種類が存在します。
「非定型うつ病」喜怒哀楽がある?
大うつ病とは異なり、典型的ではない症状を呈するうつ病という意味で、「非定型うつ病」という病名がありますが、正式な病名ではありません。
非定型うつ病とは一時的に落ち込み気分が緩和することがあるのが特徴です。例えば、楽しいことがあると気分が上がる、あるいは低ストレス環境下では過ごせる、しかしそれ以外においては基本的にはうつの症状が続くというパターンです。
また他にも、「睡眠」「食欲」が大うつ病とは異なる傾向を呈しています。
主な症状
- 気分が沈むが、楽しい出来事があると一時的に回復する
- 過眠(寝ても寝ても眠い)
- 過食(特に炭水化物を欲する)
- 人の評価に対する過敏性(拒絶や批判に強く反応する)
- 身体が鉛のように重く感じる
特に人間関係のストレスに敏感なタイプの人に多く見られる傾向があります。
「持続性うつ病(気分変調症)」長期間続く軽いうつ
持続性うつ病(気分変調症)とは、軽度の抑うつ状態が2年以上続くのが特徴のうつ病です。「大うつ病ほど重くはないが、ずっと気分が晴れない」状態が続くため、本人が病気だと気づかないこともあります。
主な症状
- ずっと気分が落ち込んでいるが、日常生活はなんとかこなせる
- 自信が持てない
- 集中力が低下しやすい
- 興味や喜びを感じにくい
- 疲れやすい
「性格の問題」「もともと暗い性格」と思われがちですが、実際には治療の対象となる病気です。
「季節性うつ病」冬に気分が落ち込みやすい
「季節性うつ病」とは、秋から冬にかけて発症し、春になると改善するうつ病です。日照時間の減少が関係していると考えられています。
主な症状
- 秋や冬に抑うつ症状が強まる
- 睡眠時間が増える
- 甘いものや炭水化物が欲しくなる
- 疲れやすくなる
日光を浴びることや、ビタミンDを補給することが有効な対策の一つとされています。
「産後うつ」出産後のホルモン変化が影響
出産後にホルモンバランスが大きく変化することで発症するうつ病です。育児のストレスや睡眠不足も影響し、特に初めての出産後に発症しやすいと言われています。
主な症状
- 涙もろくなる
- 不安が強くなる
- 眠れない
- 子どもに対する愛情がわかないと感じる
産後うつは適切なサポートを受けることが重要です。
「双極性障害」うつと躁(ハイテンション)を繰り返す
うつ病と似ていますが、「うつ状態」と「躁状態」を繰り返すのが特徴です。躁状態のときは、気分が高揚し、活動的になりますが、やがてうつ状態に戻るため、適切な治療が必要です。DSM-5においては双極性障害はうつ病とは異なる病気として 分類がされています。
主な症状(躁状態時)
- 異常にテンションが高くなる
- 睡眠時間が減っても元気
- 衝動的な行動をとる(浪費、無謀な挑戦など)
- 早口になり、考えが止まらなくなる
躁状態があるかどうかが、通常のうつ病との大きな違いです。
「仮面うつ病」身体症状がメインで現れる
「うつ病=気分の落ち込み」と思われがちですが、実は身体の不調としてまずは現れることもあります。これが「仮面うつ病」と呼ばれるタイプです。
主な症状
- 頭痛や肩こりが続く
- 胃の痛み、便秘や下痢が頻繁に起こる
- 動悸や息苦しさがある
- 病院で検査しても異常が見つからない
身体の不調ばかりを訴えているため、本人も周囲も「うつ病」とは気づかないことが多いのが特徴です。
まとめ
一言で「うつ病」と言っても、その種類や症状はさまざまです。
- 大うつ病➡典型的なうつ病
- 非定型うつ病➡従来のうつ病とは異なり、状況により気分が一時的に緩和されるが基本的には沈む
- 持続性うつ病➡軽度のうつが長期間続く
- 季節性うつ病➡冬に発症しやすい
- 産後うつ➡出産後のホルモン変化が影響
- 双極性障害➡うつと躁を繰り返す
- 仮面うつ病➡身体症状がメインで現れる
抑うつ・うつ病と言っても、医学的にも様々な分類があります。また、季節や出産、更には抑うつ以外の症状の傾向から、いろいろな傾向や特徴があります。
「うつ病かもしれない」と感じる場合は、無理をしすぎず専門家に相談することが大切です。早めの対処が回復への第一歩となります。