トゥレット症候群の治療法とサポート方法や考え方について名古屋ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院が心療内科ブログで紹介

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トゥレット症候群の治療法|サポート方法や考え方を理解しよう

トゥレット症候群

公開日:2025.02.04更新日:2025.09.26

トゥレット症候群の治療法とサポートについて

子どもがトゥレット症候群と診断されたら、どのような治療法があるのか調べますよね。

トゥレット症候群の治療には、両親がよき理解者になることが大切です。

この記事では、トゥレット症候群の治療法や、両親のサポート方法や考え方などを詳しく解説します。

「いつか治る」と思っていても具体的な治療法やサポートを知ることで、あなたの心の支えになりますと幸いです。

トゥレット症候群の詳しい概要についてご紹介を致します。

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トゥレット症候群の治療に対する考え方

チック症状を治療するためには、病気自体を正しく理解することが大切です。トゥレット症候群のチック症状で一番困っているのは本人です。

チック症状は4~6歳に現れ、10~12歳ぐらいで一番強くなります。長い期間、症状と付き合っていかなければなりません。[1]本人は、症状自体のつらさに加え、周囲から好奇な目で見られることにもストレスを感じるでしょう。[2]

そのため、日常生活の何に困っているのか本人の話に耳を傾け、寄りそう姿勢が大切です。

トゥレット症候群の治療法

トゥレット症候群の治療目的は、症状による生活の質の低下を改善することです。[3]

チック症状により以下のようなことが生じます。

  • 学校の成績がさがる
  • チック症状で頭痛や片頭痛になる
  • 学校や社会生活で孤立し抑うつ傾向になる

チック症状が軽度で日常生活や学校生活で困りごとがない場合は、治療を必要としないケースもあります。

チック症状の重症度の他にも、併発症によって生活に支障をきたしている場合も多く、トゥレット症候群の治療には下記のようなものが挙げられます。

  • 行動療法
  • 心理教育
  • 薬物療法

それぞれ詳しく解説します。

行動療法

チック症状が重症のときは、第一に行動療法が行われます。

チックには前駆衝動と言われる、むずむずする感じや圧迫感のような感覚が先に生じることがあります。[6]行動療法で前駆衝動に働きかけるのです。

ここでは、習慣反転と暴露反応妨害法について見ていきましょう。

🔳習慣反転

習慣反転とは、気づきの練習です。

チック症状をくり返すことで『前駆衝動が起きるとチックを行う』というメカニズムが強くなるのです。[3]

習慣反転の訓練として、競合反応訓練があります。

競合反応訓練とは、チックの前駆衝動を感じたときに、その感覚に並ぶ行動を自分の意思で起こすのです。たとえば、音声チックではゆっくりと一定のリズムでの呼吸が用いられます。[3]

競合反応訓練を行うことで、抑えようのない前駆衝動に対して意図的な動作を行い『前駆衝動が起きるとチックを行う』というメカニズムを断ち切るのです。

🔳暴露反応妨害法

暴露反応妨害法とは、認知行動療法のひとつでチック症状を意図的に短く抑えるようにする方法です。

本人の意思でチック症状の時間を短くするように伝え、チック症状を抑える時間を長くしていきます。

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心理教育

チック症状の重症度に関係なく、家族ガイダンスや心理教育、環境調整が行われます。

家族がチックに対して悲観的だったり過度に治ることを期待したりすると、家族が本人を追い込んでしまっていることも少なくありません。そうならないためにも、トゥレット症候群について正しい知識を伝える心理教育が家族に対しても大切なこともあります。

例えば、家に帰ると安心してチック症状が悪化することがあります。家族の接し方や環境がトゥレット症候群の原因ではありませんが、その様子を見た周囲の人が症状にイラ立ち本人にぶつけてしまったり、叱ったりすることで症状が悪化してしまうこともあるのです。

本人と家族のストレスを軽減するためにも、心理教育や環境調整は大切なのです。

薬物療法

トゥレット症候群の薬物療法は、チック症状を止めるために使われます。そのため、チック症状に合わせて薬の量の調整が必要なのです。

チックの治療には、非定型抗精神病薬のリスペリドンがよく使用されます。リスペリドンは副作用も少ないため治療の第一選択肢とされるのです。[6]

他にも、ハロペリドールやビモジドも多く研究され、トゥレット症候群の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に認可されています。[6]

トゥレット症候群の子どもをサポートする方法

トゥレット症候群の子どものサポート方法は、以下のようなことが挙げられます。

  • よき理解者になる
  • 生活リズムを整える
  • 家庭内で抱え込まない

それぞれ詳しく解説します。

よき理解者になる

トゥレット症候群の治療には、症状で本人が不快に感じていることを改善することも大切です。そのためにも、家族がよき理解者になることが大切です。[6]

たとえば、チック症状に対して「もう!またやってるよ!」「わざとしているの?」などと叱ると子どもはストレスを感じてしまいます。親がトゥレット症候群の症状を正しく理解することで、子どもは安心して家庭内で生活を送ることができるのです。

他にも、トゥレット症候群の子どもは学校生活で、仲間はずれにされたりからかわれたりすることは少なくありません。[6]そのため、子どもが学校でクラスメイトに何か言われたときも、相談しやすい関係を築いておくことも大切になります。

生活リズムを整える

トゥレット症候群の子どもは、社会生活の中でストレスを感じることが多くあります。生活リズムが乱れると身体はストレスを感じるため、基本的な生活リズムを整えることは大切なのです。21時に寝て7時に起きて朝日を浴びで、朝食べるようにするとよいでしょう。

子どもの推奨睡眠時間は下記のとおりです。[4]

  • 3-5歳 10~13時間
  • 小学生 9~12時間
  • 中学生 8~10時間

基本的な日常生活でのストレスを減らし、規則正しい生活を心がけましょう。

家庭内で抱え込みすぎない

子どもの病気について家庭内で抱え込み、親がうつ状態になることも少なくありません。

幼稚園や学校に通っている場合は、まず教員に相談してみましょう。[5]

子どもが安心して通うためにも、理解を求めたり環境を整えたりするためにも相談は必要になります。

学校内だけで支援をすすめるのが難しい場合は、外部の専門機関に相談することも大切です。このように、学校や外部と連携を取ることに集中していると、家族の息抜きができていないこともあります。その他、外食をしたり本を読んでみたりと息抜きの機会を取り入れてみることも大切です。

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まとめ

トゥレット症候群の治療には、家族や周囲の理解が大切です。

本人は、チック症状自体や、学校生活や社会生活での周囲からの視線に多くのストレスを感じやすい状況でもあります。そのため、家庭内を安心できる環境に整えることも必要です。

治療法には、行動療法・心理教育・薬物療法などがあります。主治医と相談しながら、家庭内で抱え込まずに治療をすすめていくことも大切です。

【参考文献】

[1] チック症・トゥレット症|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease16.html

[2]トゥレット症候群のチックへの事故退所の機能と対処の生じる文脈:半随意的な症状にいかに対処していくか|松田 なつみ

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdp/24/3/24_250/_pdf

[3] トゥレット症候群|厚生労働科学研究成果データベース

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2012/123081/201224054A/201224054A0009.pdf

[4]健康づくりのための睡眠指針の改訂について(案)|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001151834.pdf

[5] トゥレット症候群の治療や支援の実態の把握と普及啓発に関する研究|厚生労働科学研究成果データベース

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2009/093091/200929013A/200929013A0006.pdf

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など