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季節と気分の関係|季節性うつを防ぐ方法とは?
季節性うつ病 / 季節とメンタルヘルス / 非定型うつ病 / 心理面・思考 / うつ病
公開日:2025.02.28更新日:2025.03.02
季節と気分の関係とは?
季節の変わり目に気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったりすることはありませんか?特に秋から冬にかけて憂うつな気持ちが続く場合、それは「季節性うつ(季節性情動障害:SAD)」かもしれません。今回は、季節による気分の変化の原因と、その対策について解説します。
季節性うつとは?
季節性うつは、特定の季節になると気分が落ち込むうつ病の一種です。多くの場合、秋から冬にかけて発症し、春になると自然と回復するという特徴があります。ただし、春や夏に発症するケースもあり、人によって症状の出方が異なります。
主な症状
- 気分の落ち込みや無気力感
- 過眠(いくら寝ても眠い)
- 食欲の増加(特に甘いものや炭水化物を欲する)
- 体重の増加
- 集中力の低下
- イライラや不安感
これらの症状が毎年決まった季節に現れる場合は、季節性うつの可能性があります。
季節性うつの原因
主な原因として考えられているのが、日照時間の減少です。冬になると日照時間が短くなり、太陽の光を浴びる時間が減ります。これにより、以下のような影響が出るとされています。
(1) セロトニンの減少
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分の安定に関わる神経伝達物質です。日光を浴びることで生成されるため、日照時間が短くなる冬はセロトニンの分泌が減り、気分の落ち込みにつながります。
(2) メラトニンの増加
メラトニンは睡眠を促すホルモンですが、暗い環境で分泌されやすくなります。冬は日照時間が短くなるためメラトニンが増え、眠気が強くなったり、倦怠感を感じたりする原因になります。
(3) 生活リズムの乱れ
寒い季節は外出が減り、活動量も低下しがちです。運動不足や社会的な活動の減少が、気分の落ち込みを悪化させることもあります。
季節性うつを防ぐための対策
(1) 日光を浴びる
季節性うつの対策として最も重要なのが、意識的に日光を浴びることです。
- 朝起きたらすぐにカーテンを開ける
- 晴れた日は散歩をする
- 屋内でも窓際で過ごす時間を増やす
特に午前中の日光を浴びると、セロトニンの分泌が活性化し、気分の安定に効果的です。
(2) 規則正しい生活を心がける
生活リズムを整えることで、ホルモンバランスを安定させることができます。
- 毎日同じ時間に起床・就寝する
- 朝食をしっかり摂る
- 適度な運動を取り入れる
特に、軽い運動(ウォーキングやストレッチ)を朝に行うと、セロトニンが活性化し、1日をスムーズにスタートできます。
(3) 食事で心のバランスを整える
食事も気分に大きく影響を与えます。以下の栄養素を意識して摂ると、気持ちの安定に役立ちます。
- セロトニンの材料になるトリプトファン(大豆製品、バナナ、乳製品)
- 神経を落ち着かせるマグネシウム(ナッツ類、ほうれん草、アボカド)
- 脳の働きを助けるオメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油)
甘いものや炭水化物を摂りすぎると血糖値の急上昇・急降下が起こり、気分の浮き沈みを助長することがあるため、バランスの取れた食事を心がけましょう。
(4) 人との交流を大切にする
冬は寒さもあり、つい家にこもりがちになります。しかし、人と会話することは気分の安定にとても大切です。
- 家族や友人とこまめに連絡を取る
- できる範囲で外出して、人と会う機会を作る
- SNSなどオンラインでの交流も活用する
無理のない範囲で、人とのつながりを持つようにしましょう。
まとめ
季節性うつは、日照時間の減少や生活リズムの乱れが大きく影響しています。しかし、適切な対策を取ることで、症状を和らげることが可能です。
特に、生活リズムへの調整は季節性うつではとても大切になります。「冬になると気分が落ち込みやすい」と感じる方は、ぜひ紹介した方法を試してみてください。日々の小さな工夫が、気分の安定につながります。
ですが、自己判断や無理をなさりすぎず、気分の不調が継続するときは、精神科・心療内科などの医療機関への早期相談もとても大切です