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レジリエンスについて
レジリエンス
公開日:2025.02.06更新日:2025.09.20
レジリエンスについて
レジリエンスという言葉を聞いたことがある人も多いことでしょう。レジリエンスとは、困難や逆境に直面したときにそれを乗り越え、回復したり適応したりできる能力のことです。特に、心理学や社会学、ビジネスなどの分野で広く使われています。レジリエンスの重要な点は、単にストレスや困難から「耐え忍ぶ」だけでなく、それらの経験を通じて成長し、強くなることです。今回は、レジリエンスの特徴とレジリエンスを高める方法について解説します。

レジリエンスの特徴
レジリエンスの主な特徴を詳しく説明します。
回復力
レジリエンスの最も基本的な特徴は、困難に直面してもそれを乗り越える力です。例えば、失敗や喪失、病気、災害などのできごとに遭遇しても、感情的なショックから立ち直るのが早い人は、回復力が強いと言えます。回復力は「元に戻る」という意味だけでなく、逆境から学びより強くなる力も含まれています。
柔軟性
困難や変化に対して、フレキシブルに対応できることもレジリエンスの特徴です。環境や状況が変わったときに、これまでの方法に固執せず、新しい方法や視点を受け入れることができるのが柔軟性の特徴です。例えば、計画が崩れた時に臨機応変に対応し、他の選択肢をすぐに考えられる人は、柔軟性が高いと言えます。
ポジティブな視点
レジリエンスが高い人は、逆境にあっても希望や前向きな姿勢を維持することができるという特徴があります。失敗や困難を「学びの機会」や「成長のチャンス」として捉える能力です。ポジティブな視点を持つことで、ストレスに対する耐性が強くなり、感情的なバランスを保ちやすくなります。
自己効力感
自己効力感とは、自分が状況をコントロールし、成功に向けて努力する力があるという自分を信じる気持ちです。レジリエンスの高い人は、自分の能力やスキルを信じて困難に直面しても「自分ならできる」と考えます。この自己効力感が、問題に対して積極的に立ち向かう姿勢を生み出します。
問題解決能力
困難な状況に直面した時に、その問題を冷静に分析し、現実的な解決策を見つける能力もレジリエンスの特徴の一つです。レジリエンスが高い人は、感情的な反応に押し流されずに問題に取り組みます。このスキルは、複雑な状況においても冷静に対処する力を育てます。
感情コントロール
自分の感情をうまくコントロールし、ネガティブな感情に支配されないようにする力が強いこともレジリエンスを持つ人の特徴です。例えば、ストレスや不安に直面しても、それをすぐに爆発させるのではなく、適切な方法で気持ちを整理して冷静に対処します。感情のコントロールができると、困難な状況でも集中力を保ち、適切な行動を取ることができます。
社会的な支援の活用
レジリエンスには、周囲からのサポートを効果的に活用する能力も含まれます。レジリエンスが高い人は家族や友人、同僚などの支援に頼ることをためらいません。適切なタイミングでサポートを求めることができ、社会的なつながりを維持する力も強い傾向です。
成長の機会としての逆境
レジリエンスの特徴として重要なのは、逆境を単に「耐え忍ぶ」だけでなく、それを「学びや成長の機会」として捉える姿勢です。逆境から何を学べるか、どのように成長できるかを考えることで、レジリエンスはさらに強化されます。つまり、レジリエンスが高い人は、困難な経験を自己成長の糧にします。

レジリエンスを高めるためには
レジリエンスを高めるには、意識的に取り組むことが大切です。レジリエンスは、生まれつきの特性だけではなく、経験や努力を通じて養うことができるものです。ここでは、レジリエンスを高めるための具体的な方法を詳しく説明します。
ポジティブな人間関係を築く
信頼できる人々との強固な人間関係を築くことは、困難に直面したときの大きな支えとなります。家族や友人、同僚とのつながりを大切にし、助けが必要なときにサポートを求められることがレジリエンスを高める一助となります。
現実的な目標を設定する
レジリエンスを高めるには、現実的で達成可能な目標を設定し、それを段階的に達成することが効果的です。小さな目標を達成することで自信を深め、自己効力感が高まります。大きな目標に圧倒されないように、小さなステップに分けることがポイントです。
柔軟な思考を持つ
困難な状況に直面しても、柔軟な思考を持つことがレジリエンスを強化します。一つの解決策に固執せず、異なる視点や方法を取り入れることで、適応力が高まります。
自己効力感を高める
自己効力感とは、自分が目標を達成できるという自信を指します。自己効力感が高まると、困難に直面しても「自分ならできる」と感じ、前向きに行動することができます。小さな目標を達成し、成功体験を積み重ねることが自己効力感を高める最も効果的な方法です。
自己ケアを優先する
心身の健康を維持することが、レジリエンスを高めるための基本です。適切な睡眠、バランスの取れた食事、運動、リラクゼーションなど、日常生活での自己ケアを意識することで、ストレスへの耐性が向上します。また、精神的な健康を保つために、自分自身の感情やニーズにも注目し対応することが重要です。
感情コントロールを学ぶ
感情を適切にコントロールすることは、レジリエンスを高めるために欠かせない要素です。ストレスや不安に直面したときに感情に流されず、冷静に対応するスキルが重要です。深呼吸や瞑想、マインドフルネスなどのリラクゼーション技術を用いることで、感情のバランスを保つことができます。自分の感情に気づき、感情を客観視することです。それを一時的なものとして受け入れることが感情コントロールに役立ちます。
ストレス管理能力を向上させる
ストレスに対処するための健康的な方法を身につけることが、レジリエンスを高めるためには重要です。ストレスを軽減するために、運動や瞑想、趣味に時間を使ったり、リラクゼーション技術を取り入れたりすることが有効です。また、ストレスを感じる前兆を認識し、適切に対処することで、悪化を防ぐことができます。
ポジティブな視点を持つ
困難な状況に直面しても、ポジティブな視点を持ち続けることがレジリエンスを高めます。逆境にあっても前向きな側面を見つけ出し、問題を「成長のチャンス」として捉えることで、モチベーションを保つことができます。ポジティブな視点を持つことは、レジリエンスを高める上で非常に有効です。
目的意識を持つ
自分にとって意味のある目標や目的を持つことは、逆境に直面しても前進するための力になります。強い目的意識があることで、困難を一時的なことと見なし、それを乗り越えるためのモチベーションを高めます。価値観に基づいた行動をとることで、自分の生き方に一貫性と意味を見いだすことができるでしょう。
まとめ
レジリエンスとは、単なる「困難に耐える力」ではなく、状況に柔軟に適応し、ポジティブな視点で成長し続ける能力です。これらの特徴を身につけることで、困難な状況でも乗り越える力を養うことができ、自己成長につなげることがきるでしょう。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など




