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産褥期精神病とは?原因・症状・予後について解説
産褥期精神病
公開日:2024.08.05更新日:2024.10.28
[ Index ]
出産というライフイベントとメンタルについて
産褥期(さんじょくき)精神病という言葉をはじめて聞く方も多いでしょう。
出産は女性にとって心身ともに大きな負担のかかるライフイベントです。
同時に人生の中で、さまざまな精神疾患にかかる可能性も高く、その中でも重篤なのが産褥期精神病です。
幻覚や妄想、異常な身体感覚が生じ、精神科病棟へ緊急入院が必要な場合もあります。
この記事では、産褥期精神病の原因や症状について詳しく解説し、記事の後半には、予後やどんな人がなりやすいのかにつても紹介していきます。
産褥期精神病とは
産褥期精神病とは、産後うつ病が10~15%の割合で発症するのに対して、500~1000人に1人(0.1~0.2%)の割合で発症する稀な疾患です。
出産直後から2週間以内に発症することが多く、出産に関係する精神疾患の中で最も重度とされています。
支離滅裂な言動や幻覚・不安や焦燥感など、さまざまな症状が現れ、状態の変化が激しいのが特徴です。また、自殺の危険性や子どもに対して危害を加えるリスクも高いため、精神科病棟へ入院が必要となるケースが多いです。
産褥期精神病の原因
産褥期精神病の原因は明確に分かっていません。
産褥期精神病の症状
産褥期精神病では、さまざまな精神症状が急速に現れます。
具体的には以下のような症状です。
- 幻覚や妄想
- 支離滅裂な知覚障害
- 注意力や集中力低下
- 意識混濁
- 失見当識
- 困惑
- 情緒不安定
- 抑うつ気分
- 不安
- 焦燥感
支離滅裂な知覚障害とは、手や足が正しく動かせない違和感が生じることです。症状の変化が激しく、自殺の恐れや幻覚や妄想によって子どもに危害を加える可能性があるため、精神科病棟への緊急入院を必要とするケースがあります。また、本人は症状が激しい時の記憶がないことが多いです。
産褥期精神病の治療法
産褥期精神病の治療法は確立されていませんが、症状に応じた薬物療法が一般的です。
ただし、授乳のことを考え薬物療法が好まれないことも多くあります。症状の重症度に応じては、薬物療法を避けることが難しい場合もあるでしょう。
また、産褥期精神病は産後2週間以内に発症するため、子どものお世話を誰がするのかも考えなければなりません。夫や母などの協力が得られない場合は、以下のような支援を検討するとよいでしょう。
産褥期精神病と産後うつ病の違い
産褥期精神病と産後うつ病は別の疾患です。
しかし、産褥期精神病の認知度の低さから、産後うつ病と勘違いされる方も多いでしょう。
産褥期精神病は産後2週間以内に発症することが多いのに対して、産後うつ病は産後数週間~数カ月で発症します。
しかし、場合によっては産後うつ病から産褥期精神病へ移行することもあるため注意が必要です。
産褥期精神病と産後うつ病は、発症時期や症状に違いがあり、さまざまな方向から専門家が判断して診断されます。
産褥期精神病の予後
治療により寛解し、一般的には予後は良好なケースが多いです。
また、次回の妊娠や産褥期の再発率が30~50%と高めです。初産で産褥期精神病を発症された方は、次回妊娠時に産婦人科や精神科へ相談しておくと、再発時に早急に対応できるでしょう。
産褥期精神病になりやすい人
産褥期精神病なりやすい既往歴や性格、生活背景などははっきりと解明されていません。
一説に言われている、産褥期精神病になりやすい人は以下のとおりです。
- 初産
- 家族に双極性障害の既往
- 産科的合併症
他にも、産後3日以内に軽躁状態になった場合、その後、産褥期精神病の発症と関係しているという調査結果もあります。
精神疾患の既往歴がある女性は「産後、産褥期精神病になったらどうしよう…」と不安になるでしょう。ある調査では、本人の精神症状の既往歴やライフイベントなどと発症の関連性は認められていないという報告もあります。
しかし、まだまだ解明されていないことが多い産褥期精神病。もし、産後の不安がある場合は、ひとりで抱え込まずに専門家に相談しましょう。
ひだまりこころクリニックは、あなたのご相談をお待ちしております。
産褥期精神病|まとめ
産褥期精神病は、産後500~1,000人に1人の割合で発症する、産後のメンタルヘルスで最も重篤で稀な精神疾患です。
産褥期精神病は明確に解明されていないことが多いですが、妊娠中から医療機関に相談することでスムーズにサポートが受けられるでしょう。
産後のメンタルヘルスで気になることがある場合は、ひとりで抱え込まずにひだまりこころクリニックへご相談ください。「ひとりじゃない。頼れる人がいる。」と思えることは心の平穏に繋がります。