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パニック症は完治する?|回復までのプロセスと治療法
予期不安 / 認知行動療法 / 心理面・思考 / パニック症・パニック障害 / パニック発作
公開日:2025.03.10更新日:2025.03.10
回復までのプロセスと治療法
パニック症は、突然の激しい不安や恐怖とともに、動悸や息苦しさ、めまいなどの身体症状を伴う疾患です。発作を繰り返すことで、「また起きるのでは?」という不安(予期不安)が強まり、外出や日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
「パニック症は治るのか?」という疑問を持つ方も多いですが、適切な治療と対策を行えば、多くの人が改善し、日常生活を取り戻すことができます。本記事では、パニック症の回復までのプロセスや治療法について詳しく解説します。
パニック症は完治するのか?
結論から言えば、パニック症は適切な治療を受けることで、多くの人が症状をコントロールできるようになり、生活の質を向上させることが可能です。
ただし、「完治」の定義は人それぞれ異なります。
- 完全に発作がなくなる人もいる
- 発作は起こるが、コントロールできるようになる人もいる
- 症状は軽減するが、不安が完全にはなくならない場合もある
重要なのは、「発作が起こらなくなること」ではなく、発作が起きても対処できる状態を目指すことです。そのためには、治療を続けながら、自分に合った対処法を見つけることが大切です。
パニック症の回復プロセス
パニック症の回復には、いくつかの段階があります。焦らず、少しずつ進めていきましょう。
第1段階:発作の理解と受け入れ
- まずは、パニック発作が「自律神経の高ぶりからくる症状であり、命に関わるものではない」ことを知る
- 自分の症状がどのように起こるのかを記録する(発作日記をつけると良い)
- 「パニック発作は一時的なもの」と意識する
パニック発作はとても苦痛が強い症状ですが、自律神経の高ぶりからくる症状でであることは重要です。症状が辛い時や繰り返すときは、無理をしすぎず、医療機関に受診して相談をしてみることも大切です。
第2段階:治療を受ける
パニック症の治療には、薬物療法と心理療法の2つが主に用いられます。
① 薬物療法(医師の指導のもと服用)
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)➡不安症の中心的な治療薬でもある
- 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)➡発作時に即効性があるが、長期使用には注意
- β遮断薬➡動悸などの身体症状を軽減
② 精神療法
- 精神療法➡病気の理解や、生活・人間関係・認知面に関する助言やアドバイス
- 認知行動療法(CBT)➡パニック発作の原因となる思考パターンを改善
- 暴露療法➡少しずつ不安を感じる状況に慣れる
第3段階:日常生活の改善
生活リズムを、整えることは、心の不調への改善にも役立ちますので、治療と並行して、生活習慣を整えることも大切です。
- 規則正しい睡眠(睡眠不足は不安を悪化させる)
- 適度な運動(ウォーキングやヨガが効果的)
- カフェインやアルコールを控える(交感神経を刺激しやすい)
- リラクゼーション法を取り入れる(深呼吸・マインドフルネスなど)
第4段階:発作のコントロールを習得
治療を続けるうちに、「発作が起きても、乗り越えられる!」という実感が少しづつ積み重ねられていくと、「発作が起こっても冷静に対処できる」ようになってきます。
- 発作が起きても「これは一時的なもの」と受け流す
- 「息ができない」と感じたら、深呼吸をする
- 「また発作が起こるかも」と不安になったら、「でも大丈夫」と言い聞かせる
第5段階:再発予防
パニック症は、一度治まってもストレスや生活の変化で再発することがあります。病気の事を理解しながら、「上手く付き合う」ことがとても大事なのです
- 無理をしない(ストレスを溜めすぎない)
- 定期的にリラクゼーションを行う
- 「完璧に治さなきゃ」と焦らない
まとめ「パニック症はコントロールできる!」
パニック症は正しい治療と対策を行えば、回復できる病気です。大切なのは、「発作をゼロにすること」ではなく、「発作が起きても大丈夫」と思える状態をまずは目指すことです。
回復までのプロセス
- 第1段階:発作の理解と受け入れ
- 第2段階:治療を受ける(薬・心理療法)
- 第3段階:生活習慣を整える(睡眠・運動・食事)
- 第4段階:発作のコントロールを習得
- 第5段階:再発予防
焦らず、少しずつ進めていくことが大切です。
「パニック症は一生治らない」と悲観する必要はありません。正しい知識と適切な治療を受けることで、症状は改善し、より快適な生活を取り戻すことができます。一人で抱えすぎたり、無理や我慢をしすぎず、精神科や心療内科,メンタルクリニックなどの医療機関に相談をしながら、自分のペースで治療に取り組んでいくことも大切です。