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パニック発作を乗り越えるためのポイント|克服へのヒント
予期不安 / 認知行動療法 / 家族と家族関係について / パニック症・パニック障害 / パニック発作
公開日:2025.03.10更新日:2025.03.10
パニック発作を乗り越えるためのポイント
パニック発作は、突発的な強い不安や恐怖とともに、動悸や息苦しさ、めまいなどの身体症状を引き起こします。この状態は非常に苦しいものですが、適切な対処法を身につけることで症状のコントロールや軽減が可能です。本記事では、パニック発作の仕組みや克服に向けたポイントについて解説します。
パニック発作とは?
パニック発作は、突然の強い恐怖や不安とともに、以下のような身体症状を伴います。
- 心臓が激しく鼓動する(動悸)
- 息苦しさや過呼吸
- めまい、ふらつき
- 冷や汗や震え
- 体がしびれる、または熱く感じる
- 現実感が失われる感覚(現実離れ感)
発作は通常、10分〜30分程度でピークを迎え、その後徐々に落ち着いていきます。しかし、発作を繰り返すことで「また発作が起こるのではないか」という不安(予期不安)が生まれ、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
パニック発作のエピソード例
ある日突然の発作
30代の会社員・Aさんは、ある日通勤途中の電車の中で突然の息苦しさと動悸に襲われました。胸が締め付けられるような感覚に加え、手足が震え、頭がクラクラする感覚に襲われます。「このまま倒れてしまうのでは?」という恐怖が一気に押し寄せ、次第にパニック状態に。
なんとか途中の駅で降りることができましたが、ホームに立ったまましばらく動けず、呼吸を整えることに必死でした。その後、病院を受診したところ「パニック発作」と診断され、ストレスや疲労が影響している可能性があると伝えられました。
発作が続く不安
Aさんは、その出来事以来、電車に乗ること自体が怖くなり、できるだけ混雑を避けるようになりました。しかし、数週間後、会社の会議中にも同じような発作を経験し、「このまま仕事ができなくなるのでは」との不安が増大しました。
パニック発作を克服するための方法
① 呼吸法を活用する
パニック発作時に過呼吸になると、体内の二酸化炭素のバランスが崩れ、さらに不安を増幅させます。腹式呼吸を意識することで、リラックス効果を得られます。
〈腹式呼吸の手順〉
- 鼻からゆっくり息を吸い、お腹を膨らませる(4秒)
- 口をすぼめて、ゆっくり息を吐く(6秒)
- これを数回繰り返す
② 精神療法や認知行動療法(CBT)を取り入れる
認知行動療法(CBT)は、パニック発作を克服するのに有効な治療法の一つです。「発作が起きたらどうしよう」という考えを「発作が起きても対処できる」という思考に変えていくことが重要です。
精神科への通院を通して、精神療法などで、病気の特性、パニック発作の特性(時間と共に軽減する事)などを理解して、生活や対人関係・認知面の関わりに対し助言を得ることも大切です。
③ 生活習慣を整える
- 規則正しい睡眠を確保する(7〜8時間)
- カフェインやアルコールを控える
- バランスの取れた食事を心がける(ビタミンB群やマグネシウムが有効)
- 適度な運動を取り入れる(ウォーキングやヨガ)
④ 小さなステップで克服する
「発作が起きるかもしれない場所」への恐怖を克服するには、少しずつ慣らしていくことが大切です。
- 例:満員電車が怖い場合 → まずは空いている時間帯に乗る → 徐々に混雑時に挑戦する
⑤ 必要に応じて専門家のサポートを受ける
パニック発作が日常生活に大きな支障をきたしている場合、精神科や心療内科での相談が有効です。薬物療法(抗不安薬やSSRI)や精神療法を併用することで、症状の軽減が期待できます。
まとめ
パニック発作は非常に苦しいものですが、適切な対処法を学ぶことで症状をコントロールし、克服へと向かうことができます。
パニック発作は決して「一生治らないもの」ではありません。焦らず、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。但し、一人で抱え込みすぎたり、我慢しすぎたりしてしまう前に、精神科,心療内科,メンタルクリニックなどの医療機関へ相談されることも大切です。