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【強迫性障害】ICD-10にある強迫性障害の診断基準について

2024.05.102024.06.11

強迫性障害

強迫性障害に関する『不安と確認』について

外出するときに「ドアに鍵をかけなかったかもしれない」「台所の火を消したかな」と気になることは、誰にでもあることです。

【強迫性障害】不安が高まってしまうと、頻回に確認せざるを得なくなってしまう

しかしこの不安の程度が高まると、強迫性障害と呼ばれる疾患に陥っている可能性があります。WHOでは生活上の機能障害を引き起こす10大疾患の1つに強迫性障害を挙げられており 、強迫性障害は決して看過できない疾患です。

この記事では、ICD-10をベースにして強迫性障害の診断基準を説明します。

F42強迫性障害の概要

【強迫性障害】強迫観念・強迫行為とは

強迫性障害の病像は、強迫思考(別名.強迫観念)と強迫行為の2つからなります。

強迫観念(強迫思考)の一例

強迫観念(強迫思考)とは、患者さんの心の中に何度も繰り返して浮かんでくる考えのことです。

代表的な強迫観念(強迫思考)とは

「ドアに鍵をかけなかったかもしれない」

「ばい菌がついたかもしれない」

というものです。

強迫行為について

上記のような強迫観念(強迫思考)の場合はその考えや不安を打ち消そうとして、次に説明する強迫行為と呼ばれる行為を行うことになります。

強迫行為の一例について

強迫行為とは、強迫観念(強迫思考)で浮かんできた考えや不安を打ち消そうとして行われる行為のことです。

■先ほどのドアの鍵についての強迫観念(強迫思考)では何度もドアの鍵を閉めたか確認する確認強迫

■ばい菌がついたかもしれないという強迫観念(強迫思考)では手を洗い続けるといった洗浄強迫

が行われます。

不必要だと自覚があっても『不安がまとわりついて』止められないのが、強迫行為

鍵を何度も確認することや、ずっと手を洗い続けることには本当は意味がないことを、患者さん自身も分かっています。

また、できるのであれば強迫行為を止めたいと思っていますが、強迫観念(強迫思考)から引き起こされる『ちゃんとやらないと悪いことが起きるのではないか…』という、強い不安から強迫行為を繰り返さざるを得ない状態になっているのです。

強迫行為を伴わない、強迫観念(強迫思考)もある

また、強迫行為を伴わない、強迫観念(強迫思考)もあります。しかし、強迫行為を伴わないから、苦痛が少ないのでは?と思われるかもしれませんが、そうではありません。

強迫行為を伴わない強迫観念(強迫思考)だけでも患者さんは相当に苦痛を感じます。

◆「自分の子どもをいきなり殺そうとしてしまうのではないか」と考えたくもないことが浮かんでしまう

◆事件・事故のニュースを見ていて同情しているはずなのに「ざまぁみろ」と逆の考えが浮かんでくる

といった具合で不可抗力で不適切あるいは不快な考えが浮かんできてしまうのです。

ほかにも、強迫思考で浮かんでくる考えは本人が望まない暴力的なものやいかがわしいもの、あるいは無意味なものなので、患者さん自身には馴染みません。

そのため、患者さんは悩むことになります。

しかしながら、このように、強迫思考は患者さんにとって嫌なものですが、統合失調症の妄想とは違って、誰かが自分を操って考えさせられているのではなく、自分自身の思考として認識されています。

強迫性障害はメンタル疾患の合併も多い

強迫性障害に於いては、自律神経性の不安だけではなく緊張なども見られますが、特にうつ病が強迫性障害と関連しやすいです。うつ病の程度が重症であるほど、強迫症状も重症である傾向があります。

F42強迫性障害の診断基準

◆強迫思考または強迫行為、あるいはその両方が2週間以上の期間ほぼ毎日存在しており、かつ生活するうえでの苦痛や妨げになっている
※生活の苦痛例としては、強迫思考で頭が埋まってしまい日常生活での諸々の判断に支障が出ている、強迫行為に何時間も費やしているなど。

◆強迫思考や強迫行為の症状には以下の特徴がある
(a)強迫思考は患者さん自身の思考であり、強迫行為は自分の思考や衝動から行っていると認識されている
(b)強迫思考や強迫行為を止めることができないが、患者さんは止めたいと考えている。あるいは強迫思考や強迫行為を止めるために何らかの努力をしている
(c)強迫思考や強迫行為は患者さんにとって楽しいものではない
※緊張や不安を下げることは「楽しいもの」とはみなされない
(d)強迫思考は患者さんにとって何度も繰り返される不快なものである

【強迫性障害】『うつ病』との鑑別診断について

概要でもお話した通り、強迫性障害とうつ病性障害は密接な関係があるため、鑑別診断を行わなければならないこともあります。

急性エピソードの場合は、最初に見られた症状に基づいて診断を行います。とはいえ、どちらが優勢な症状と言えるか判断できない場合は、うつ病を一次性と考えるほうがよいです。慢性障害となっている場合は、片方の疾患の症状がなくても持続すると考えられる疾患に基づいて診断されます。

なお、抑うつ症状以外にもパニック発作や軽度の恐怖症性症状が強迫性障害の患者さんに見られることもありますが、この場合は強迫性障害の診断が下されます。

統合失調症(幻覚や妄想、まとまりのない思考や行動などの症状を特徴とする精神疾患)やトゥレット症候群(自分の意思とは無関係にまばたきや首振りが生じる運動性チックと奇声や咳払いをしてしまう音声チックを症状とする精神疾患)、器質性精神障害(脳の器質的病変によって引き起こされる精神障害)においても強迫症状が見られることもあります。

これの場合は、それらの病態の一部とみなされ、強迫性障害とは診断されません。

F42強迫性障害の各診断

強迫行為と強迫観念(強迫思考)のどちらが主なのかを判断する

強迫行為と強迫観念(強迫思考)のどちらが主となり強いかというのは、患者さんの社会生活における不調と、そして治療の組み立てを考える上でとても大切です。

例えば、以下の3つのように強迫思考と強迫行為のどちらが有意であるか特定することは、生活における不調の評価・療養の計画、そして治療を行ううえでとても有益です。

◆F42.0強迫思考あるいは反復思考を主とするもの
※強迫反芻(例.卑猥な言葉が繰り返し浮かぶ)とうつ病との間には密接な関係があります。うつ病性障害の症状がないときでも反芻が生じる場合は強迫性障害と診断されます。

◆F42.1強迫行為(強迫儀式)を主とするもの

◆F42.2強迫思考と強迫行為が混合するもの

ほか、それ以外として、「F42.8他の強迫性障害」や「F42.9強迫性障害、特定不能のもの」があります。

さいごに

今回は、ICD-10のF42強迫性障害について記載をしました。強迫性障害の2つの特徴である「強迫行為」「強迫観念(強迫思考)」や、うつ病との関連が高い疾患であるということも紹介をいたしました。

「名駅エスカ院」の強迫症の詳しい説明はこちらから

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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