名古屋駅直結の心療内科,精神科,メンタルクリニックがICD-10のパニック障害/全般性不安症とF41 他の不安障害の診断基準について解説

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【ICD-10のパニック障害/全般性不安症】F41 他の不安障害の診断基準とは

2024.05.102024.06.11

全般性不安障害、不安症・不安障害、パニック症・パニック障害、パニック発作

不安障害について

不安障害というと、社交恐怖における社交場面のように特定の状況・対象に対しての不安がイメージされやすいかもしれません。しかし、不安が特定の状況・対象に限定されない不安障害もあります。

ICD-10においての不安症について

そして、ICD-10では、神経症性障害、ストレス関連障害、および身体表現性障害として、『F4』のコードとして分類をしており、その中のF40に『恐怖性不安障害』として広場恐怖症・社交恐怖症(社交不安症)・特異的不安症(限局性恐怖症)をカテゴライズしております。

そして、特に不安が特定の状況や対象に限定されない不安障害として、F41に『他の不安障害』としてカテゴライズされています。この記事では、ICD-10をベースにして他の不安障害の診断基準を説明します。

F41他の不安障害の診断基準の概要

他の不安障害の特徴は、以下の2つです。

症状の中核は不安
※不安からイライラや筋緊張、発汗、動悸、めまいなど様々な身体症状見られる

◆不安を感じる状況・対象が特定のものに限定されない

なお、重篤なレベルではないものの抑うつや強迫症状(自分の気持ちに反して不安な考えが次々に思い浮かび、自分ではコントロールできない状態)、恐怖症性不安を併発することもあります。

F41他の不安障害の診断基準

他の不安障害の主なものとして、パニック障害(エピソード[挿間]性発作性不安)と全般性不安障害が挙げられます。他に、不安に他の症状が混ざった混合性不安抑うつ障害と、他の混合性不安障害などがあります。

F41.0パニック障害(エピソード[挿間]性発作性不安)の診断基準

◆客観的には危険ではないはずの状況でパニック発作が起きる

◆パニック発作が起きる状況は特定のものに限定されない

◆予期不安(またパニック発作が起きたらどうしようという不安)はあるものの、パニック発作が起きて次のパニック発作が起きるまでの間は不安症状をあまり示さない

◆パニック発作は1ヶ月で数回生じる

パニック発作とは、身体的には異常はないのに動悸や胸痛、窒息感やめまい、非現実感(自分に起こっていることが現実ではなく感じられる)などに突然襲われることです。パニック発作は数分程度でピークに達して次第に緩和することが多いです。

また起きるのではないかという恐怖が、その後の行動を制限してしまう

しかし、「死ぬんじゃないか」「気が狂ってしまいそう」という二次的な恐怖が生じるほど、パニック発作は患者さんにとって恐ろしいものに感じられます。

そのため、患者さんはパニック発作が起きた場所を避けようとします。また、パニック発作がいつ起こるか予想できない場合は、乗り物や公衆の場に一人で行くことに不安を感じるようになります。

いつ起こるか予測できないことが怖い

パニック発作の本質は、特定の状況に限定されず、いつ起こるのか予想できないことです。そのため、会議室や電車などといった特定の状況でパニック発作が生じる場合は、F40.01パニック障害を伴う広場恐怖と診断されます。

パニック発作の誘因と合併疾患とは

睡眠不足や過労、ストレスなどの心身の不調がきっかけとなってパニック発作が引き起こされることもありますが、特に男性ではうつ病性障害から二次的にパニック発作が起こることもあります。パニック障害とうつ病性障害の両方の診断基準を満たす場合は、うつ病性障害が主診断となります。

F41.1全般性不安障害の診断基準

◆数か月(少なくとも数週間)の間、ほぼ毎日のように以下の不安の一次症状を示す心配
※イライラや集中できないという形で心配が示されることもある
◆運動性緊張(落ち着きがない、くつろげない、筋緊張性頭痛、振戦(ふるえ)など)

◆自律神経性過活動(ふらつき、発汗、頻脈、めまい、口の渇き、呼吸が早くなるなど)

全般性不安障害の一番の特徴は「自由に浮動する」「継続的な」不安です。これは、不安を感じるものが特に決まっていないことを意味しています。

全般性不安障害の具体的な心配や不安の例について

●自分や家族が事故に遭ったら…

●お金がなくなってしまったら…

●自然災害が起きたら…

と様々な心配が浮かんできます。

なお、うつ病エピソードや恐怖症性不安障害、強迫性障害、(とくに「ドアを閉め忘れたのではないか?」「手にばい菌がついたのではないか」という不安が頭に繰り返し浮かんできて、それを解消しようと同じ行動を繰り返してしまう強迫性障害の症状)など他の疾患の診断基準を完全に満たすほど不安以外の症状が見られる場合は、そちらの診断が下されます。

2、3日などの一過性の抑うつであれば全般性不安障害の診断のままです。

F41.2混合性不安抑うつ障害の診断基準

◆不安症状と抑うつ症状が見られるものの、いずれも重症ではない

◆間歇的であるにせよ自律神経症状(動悸、口の渇き、振戦、胃の激しい動きなど)が見られる

※自律神経症状はなく、心配や過度の気づかいだけが示される場合は混合性不安障害とは診断されない

不安と抑うつが重度ではない場合に、この「混合性不安抑うつ障害」という診断が下されます。

不安症状が重篤で、かつ抑うつ症状が軽い場合は、不安障害や恐怖症性障害の他のカテゴリーの診断が適切です。また、不安症状と抑うつ症状がどちらも重症である場合は、混合性不安抑うつ障害ではなくそれぞれの障害の診断が下されます。

なお、症状の原因が明らかに日常生活でストレスとなる出来事(転職・異動、引っ越しなど)であると考えられる場合、適応障害と診断されます。

F41.3他の混合性不安障害の診断基準

◆全般性不安障害の診断基準を満たす

◆F4神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害のほかの障害の特徴が見られるが、その障害の診断基準を完全には満たしていない

※除外すべきメンタル疾患の代表的なものは強迫性障害解離性障害(非常に強いストレスが原因となって一時的に記憶がなくなる、刺激に対して反応を示さなくなる)、身体化障害(身体的な原因がないのに長期に渡って体が不調になる)など。

なお、症状の原因が明らかに日常生活でストレスとなる出来事(転職・異動、引っ越しなど)であると考えられる場合には、適応障害と診断されます。

F41.8、F41.9の不安障害について

ほか、これまでのカテゴリーに該当しないものとして、「F41.8他の特定の不安障害」や「F41.9不安障害、特定不能のもの」があります。

さいごに

今回の記事では、ICD-10のF41にある『他の不安障害』に関する記載と診断基準を紹介いたしました。

ICD-10のF41には、『パニック障害』・『全般性不安障害』といった不安症の疾患がカテゴライズされています。

不安症は、他の疾患との鑑別、さらには合併や診断名の遷移に関する検討など、詳細なフォローが必要な疾患です。ご自身で自己判断なさりすぎず、心療内科,精神科,メンタルクリニックなどの医療機関までお気軽にご相談くださいませ。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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