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広場恐怖症、症状が出やすいシーンと特徴とは

広場恐怖症 / 不安症・不安障害 / パニック症・パニック障害 / パニック発作

公開日:2024.06.03更新日:2024.06.03

広場恐怖症とは

広場恐怖症とは、すぐに誰かに助けを求めにくい場所、何かあったときに誰からも助けてもらえないかもしれない場所、不安や恐怖を感じたときにすぐに逃げ出せにくい場所にいることに、強い恐怖や不安を感じることです。

広場恐怖症は、不安症の一つ

広場恐怖症は不安症の一つではありますが、広場恐怖症以外のほかの不安症とも合併も多いのが特徴です。

パニック障害と広場恐怖症は合併しやすく、またパニック障害も広場恐怖症もパニック発作を伴います。

広場恐怖症の症状とは

広場恐怖症の症状とは、パニック障害と同じく、パニック発作を伴います。しかし「予期せず」発作が起こるパニック障害とは異なり、状況や特定の条件で発作が起きやすくなる、「状況依存的」なパニック発作あるいは緊張や不安感が強い症状であるということが、広場恐怖症の特徴です。

どんなシーンで症状が出やすいのか

広場恐怖症の症状やシーンを紹介

広場恐怖症が出やすい状況やシーンについて紹介をします

  • 駅や公園などすぐに助けを求めても、誰からも助けてもらえないかもしれない場所
  • 電車や飛行機などのすぐに逃げだせない場所
  • 人混みなど、何かあったとき誰からも助けてもらえないかもしれない状況
  • 会議や映画などで人がたくさん並んで座っている席の奥にいて、すぐに逃げ出せないかもしれない場所
  • 列に並ばないといけない場所、並んでいて逃げ出せない環境
  • 一人で外出ができない

このような状況で、強く不安を感じたり、不快・緊張感に伴う身体症状、あるいはパニック発作が出てしまうというのは広場恐怖症とも考えられます。

広場恐怖症の症状による社会生活での負担

広場恐怖症は、先にも紹介しましたように、列に並ぶこと、椅子に座ってすごすこと、公共交通機関や特定の乗り物に乗ること、公園や駅などの広場、人混みの場所、一人で出かけること、といった様々な状況によって、症状への緊張感が高まってしまう疾患です。

そのため、そのような症状が出やすい状況を避けるために、

  • 外出時に一人で出かけることを避け、付き添いを求める
  • 駅や公園などに行けない
  • 公共交通機関を避けて、行動しようとする
  • 外出できない
  • 会議室が苦手で業務に支障が出る

といった、生活上の支障や社会的な制限をせざるを得なくなってしまうことがあります。

広場恐怖症の診断にも必要なこと

広場恐怖症の診断をする上で、どのような状況で症状が起きるのか、そして継続期間や、生活の状況へのヒアリングはとても大切です。

ここでは、広場恐怖症の診断に大切なことも紹介をいたします

  • 広場恐怖症の不安や緊張に伴う症状と、その関連状況の回避が6か月以上継続している
  • 広場恐怖症の症状は、同じ状況下であれば繰り返し出現する(つまり同じ状況下であるにも関わらず、症状と発作が出るときと、出ない時があるということはない)
  • 誰かに付き添いをお願いしたり、会議室や公共交通機関の利用を避けるための行動選択をしている

などがあります。

広場恐怖症の治療について

薬物療法

広場恐怖症の治療は、うつ病同様に抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が有効であるとされています。

薬物療法における、抗うつ薬の効果出現には時間がかかることがあり、広場恐怖症の症状の程度に応じては、抗不安薬を併用することも少なくありません。

また、広場恐怖症に伴って、うつ病不眠症の合併もあれば、同時に治療を併用することもあります。

精神療法・心理療法「認知行動療法」など

精神療法・心理療法として「認知行動療法」もあります。「特定の場所や状況にいること」、を「体調が悪くなってしまうかもしれない」「助けてもらえなくなる」「逃げ出せないかもしれない」という認識の結びつきが強くなりすぎて、「恐怖」「心配」が強く働いてしまうことがあります。

認知行動療法を通して、「体調が悪くなることはなかった」「助けてもらえるような友人がいなくても、大丈夫だった」「もしかしたら逃げ出しにくい状況でも、何とかなった」という「想定していた恐怖と心配」は、”乗り越えられた”・”克服できた”という小さな成功体験を積んで、認識の結びつきを整えていくいくということも大切です。

暴露療法も、心理療法として、取り入れられることもあります。

さいごに

今回は、広場恐怖症について解説をいたしました。

どのようなシーンで症状が起きやすいのか、そして生活への支障や、広場恐怖症の特徴などを紹介いたしました。広場恐怖症かもとお悩みの方は、お気軽に心療内科,精神科,メンタルクリニックまでご相談くださいませ。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など