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統合失調症について
統合失調症
公開日:2024.06.03更新日:2024.06.03
「統合失調症」とは
統合失調症とは、健康なときには出ていなかった症状を陽性症状とし、更には健康な時に合ったものが失われてしまう症状である陰性症状が存在します。陽性症状としては、妄想や幻覚があったり、陰性症状としては、意欲の低下や話のまとまりが低下してしまう、統合不全の状態が起きてしまうのです。
そして、これらの妄想や幻覚については、他の人には見えてないものや他の人には聞こえていない声として現れることが多く、統合失調症の特徴的な症状でもある、「統合不全」の状況も相まって、会社の人から悪口を言われている、周りの人たちに嵌められている・操られているといった被害を訴えることも少なくありません。
統合失調症の特徴とは
①統合不全があり、脳の働きや情報をまとめることが困難に
統合失調症では発話の統合不全や行動の統合不全が特徴の一つです。脳の中の、様々な情報や働きをまとめることが難しくなってしまいます。
その為、妄想や幻覚が起きてしまったり、独話や意欲の低下など様々な症状が出現してしまいます。
②妄想・幻覚が出現してしまう
妄想や幻覚とは、実際にそこにない・あるいは他の人には感じられないにも関わらず、見えたり聞こえたりする近くの異常のことを指しています。
幻覚や幻聴など、本人にとっても割とはっきりと、ありありとした幻覚と妄想を感じられるのが「統合失調症」の特徴でもあります
統合失調症の症状・サイン
最初は関係念慮や関係妄想などとして現れて気づかれることも珍しくないのが統合失調症です
例えば、「会社の人に悪口を言われている。」といった、決してなくはないシーンの表現から最初は統合失調症の症状が始まることがあります。
というのも、最初は自分に聞こえる幻聴を妄想だとは気が付かず、「会社の人は私の事を嫌っていて、陰口を言っている」という関係念慮の考えを持ったり、次第に「私の事を辞めさせようと組織が仕組んでいる」「テレビから悪口が聞こえる」「悪口を言うように操られている」といったような関係妄想の表現となって初めて、周りの人からもはっきりと「否定できる」・「明らかに異なった」表現と認識され初めて、心療内科,精神科,メンタルクリニックを受診される方も少なくありません。
周りの人から発覚する、妄想や幻覚が非常に多い
周囲の人だからこそ、感じられる「妄想」や「幻覚」は非常に多いです。
会社で嫌なことがあって自宅で引きこもっている、体調が悪くて外出ができないと思って、心配の声をかけると、
- 「窓を開けると敵に見つかる」
- 「テレビからは悪い電波が出て操られる」
- 「外に出たら敵がいっぱいで自分も捉えられてしまう」
といった発言をして、自宅でガタガタ震えていたということも決して珍しい話ではありません。
このように実際に本人に接して話を聞いてみることで、家族や友人などの周囲の人たちから気が付かれるということも少なくありません。
具体的な、妄想や幻覚のサインとは
- 表情が硬く・緊張している
- 監視されている・悪口を言われている(しかしそのような客観的状況はない)
- 独り言・空笑いがある
- 思考を奪取されている・頭の中に命令されていると感じる
具体的な生活での変化とは
- 人と関わることを避ける、家に引きこもる
- 人とコミュニケーションがうまくつながらなくなる
- 食事や風呂などの日常生活が送れない、リズムが乱れる
- 服装や頭髪などの整容に無頓着になる
- 趣味に興味を示さず、ぼうっとすごすことが増える、外部の刺激に鈍感になる
統合失調症の治療について
統合失調症の治療には薬物療法があります
抗精神病薬を中心に、睡眠薬や抗不安薬など、さらにはうつ状態に対して抗うつ薬を併用することがあります。
薬物療法は、陽性症状や陰性症状の悪化を整えるなどの効果があり、統合失調症の治療には比較的長期の投薬治療が必要となります。
家族の支援や病気に対する教育、本人への心理教育はとても大切
統合失調症に対して、家族と本人による病状の理解はとても大切です。特に家族が統合失調症の病状について理解が深まることで、陽性症状や陰性症状の出現の兆候を早く察知することができ、病状のコントロールにもとても大きな役割を持ちます。
また、本人が服薬の大切さ、さらにはストレスをためすぎない・睡眠のリズムを崩さない、など生活リズムを整えることは、統合失調症の病状のコントロールとしてもとても大切です。
社会的な支援も大切
統合失調症は、治療によって病状の管理が落ち着くと、日常生活や社会生活を送ることが可能となります。その際には、必要に応じて就労支援や生活支援などの利用を併用していくことも重要です。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など