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非認知能力について（part1）
非認知能力
公開日：2025.04.24更新日：2025.09.04
非認知能力ってなに？
近年、学力や知識だけでなく、「非認知能力」の重要性が注目されています。非認知能力とは、コミュニケーション力や自己管理能力、協調性、粘り強さといった数値では測りにくい個人の能力のことを指します。これらの能力は学業だけでなく、社会に出てからの成功や幸福度にも深く関わるとされ、教育や職場での育成が重要です。
今回は、非認知能力について詳しくお話しします。パート1では非認知能力の具体的な要素や重要性、パート2では非認知能力と認知能力の違い、そして非認知能力を育むための方法について解説していきます。
非認知能力とIQは違うのか？
非認知能力とは、テストの点数やIQのように数値で測れない能力のことを指します。 学力（認知能力）とは異なり、社会生活や職場、対人関係で重要になる「性格的な特性」「行動の習慣」「心の強さ」などが含まれます。
非認知能力の具体的な要素
非認知能力にはさまざまな要素がありますが、代表的なものを紹介します。
自制心（自己コントロール）
感情や欲求をコントロールする力です。目の前の誘惑に負けず、長期的な目標を達成することがこれにあたります。例えば、「ゲームやSNSに夢中になりすぎず、勉強や仕事に集中できる」「怒りやイライラをうまくコントロールできる」などです。
やり抜く力
途中であきらめずに努力を続ける力や困難なことに直面しても投げ出さずに粘り強く挑戦する力のことです。例えば、「苦手なことでもコツコツ続けられる」「挫折しても立ち直って、最後までやり遂げる」などです。
コミュニケーション能力
相手の気持ちを理解し、適切に表現する力や協調性を持ち、人間関係を円滑にする力をいいます。例えば、相手の話をしっかり聞き、自分の意見も伝えられることやチームで協力しながら仕事や課題に取り組めるといったことです。
共感力
相手の気持ちや立場を理解し、思いやりを持って接する力のことです。例えば、友人が落ち込んでいるときに寄り添い支えることができることや、職場や学校で周囲の人の気持ちを考えて行動できることなどです。
創造性
新しいアイデアを生み出し、柔軟に考える力です。例えば、「問題が起きたときに、新しい解決策を考えられる」「既存の考えにとらわれず、自由な発想で物事を進められる」といったことです。
目標設定と計画性
長期的な目標を持ち、それに向かって計画的に努力する力のことです。例えば、「1年後・5年後の目標を決め、そこに向かって行動できる」「テスト勉強や仕事の締め切りに向けて計画的に進められる」などです。
協調性
チームや集団の中で円滑に活動する力です。例えば、「グループワークや職場で、周囲と調和しながら進められる」「相手の意見を尊重しつつ、自分の意見も適切に伝えられる」などがこれに当たります。
レジリエンス（逆境に負けない力）
失敗や困難に直面しても、気持ちを立て直し、前向きに行動する力のことです。例えば、「失敗しても落ち込みすぎず、次の挑戦に向かえる」「ストレスやプレッシャーを受けても、前向きに行動できる」などです。
なぜ非認知能力が重要なのか？
なぜ非認知能力が重要なのかということがよく語られます。非認知能力は、学校教育・仕事・人間関係・人生の幸福度 など、あらゆる場面で影響を与える力です。学力やIQ（認知能力）が高くても、「やり抜く力」「協調性」「自制心」 がなければ、社会で成功するのは難しくなります。ここでは、非認知能力が重要とされる5つの理由を詳しく説明します。
学力やIQだけでは成功が決まらない
社会では、知識だけでは生き抜いていけないと言えます。認知能力（IQ・学力）が高い人でも、非認知能力が低いと目標達成が難しくなることもあるでしょう。例えば、テストの点は良いのに、計画的に勉強できず成績が伸びないといったことがあります。仕事面では、知識は豊富ですが、職場で協調性がなくチームで行う仕事がうまくいかないことがあります。このことから、学力だけでなく目標に向かって努力し続ける「やり抜く力」や「計画性」が必要だと言えます。
仕事で成功するために必要
職場で求められるのは、知識よりも人間力であると言っても過言ではありません。現代の職場では単に知識があるだけでなく、問題解決力・協調性・リーダーシップなどが求められています。例えば、「営業職では、相手に共感しながら話せる人が成果を出しやすい」など、コミュニケーション能力が重要です。非認知能力を高めるためには、努力を続ける力・対人スキルが不可欠といえます。
人間関係を良好にする
非認知能力が高いと、良い人間関係を築きやすいとされています。友人・家族・職場の人と良い関係を築くためには、共感力・協調性・感情のコントロール が必要です。例えば、友達との意見の違いに冷静に対応できる人は、その関係が長続きするといったトラブル回避ができるスキルを持っています。また、 上司の指示を素直に聞き、チームワークを大切にする人は評価されやすい傾向です。このように職場での適応力も重要です。このようなことから、相手の気持ちを考え、共感する力を育てることが重要になります。
ストレスへの耐性を高め、精神的に安定する
非認知能力が高い人は、ストレスへの耐性 があり、挫折や困難を乗り越える力を持っています。つまり、レジリエンス（困難に負けない力）が幸福度を左右するともいえます。例えば、試験や仕事で失敗しても、前向きに次の挑戦ができることや感情をコントロールし、冷静に判断できることなど、すぐに落ち込まないことやストレスをコントロールできることが非認知能力を高めることにつながります。
長期的な成功・人生の幸福度が上がる
研究によると、自制心・やり抜く力・対人スキルが高い人ほど、人生に満足しているというデータがあります。このことから、非認知能力が高い人は人生の満足度が高いといえます。例えば、目標を持ち、地道に努力を続ける人は、仕事でも成功しやすい傾向です。また、周囲と良好な関係を築き、ポジティブな考え方ができる人は幸せを感じやすいともいえるでしょう。このように、自分の目標を明確にし、継続的に努力することが人生の成功につながるといえます。
まとめ
非認知能力の具体的な要素や重要性を解説しました。パート2では、非認知能力と認知能力の違い、そして非認知能力を育むための方法について解説していきます。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
