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パニック発作の正体とは?そのメカニズムと対処法
認知行動療法 / カフェイン / 行動療法 / 精神療法 / パニック症・パニック障害 / パニック発作
公開日:2025.03.10更新日:2025.03.10
パニック発作のメカニズムとは?
突然、強烈な不安に襲われ、心臓が激しく鼓動し、息苦しさやめまいを感じる——それが「パニック発作」です。特に理由もなく発作が起こることもあり、「このまま死んでしまうのでは?」という強い恐怖を覚える人も少なくありません。
しかし、パニック発作は命にかかわるものではなく、適切な対処をすることで症状を和らげることができます。本記事では、パニック発作のメカニズムと効果的な対処法について解説します。
1. パニック発作とは?
パニック発作は、極度の不安や恐怖を伴う突然の発作のことを指します。発作の持続時間は数分から長くても30分程度ですが、その間に経験する身体症状は非常に強烈です。主な症状には以下のようなものがあります。
✅ 心拍数の急上昇(動悸)
✅ 息苦しさ、過呼吸
✅ めまい、ふらつき
✅ 発汗、寒気、ほてり
✅ 胸の痛みや圧迫感
✅ 吐き気や腹部の不快感
✅ 「このまま死ぬのではないか」という強い恐怖
これらの症状が繰り返し起こり、日常生活に支障をきたす場合は「パニック障害」と診断されることがあります。
2. パニック発作のメカニズム
パニック発作の背景には、脳の「危険察知システム」の誤作動があります。本来、人間の体は危険を察知すると「闘争・逃走反応(Fight or Flight)」を起こし、交感神経が活性化して心拍数が上がり、筋肉が緊張し、呼吸が速くなります。これは、危険から身を守るための自然な反応です。
しかし、パニック発作の場合、実際には危険がない状況でもこの反応が過剰に働きます。例えば、些細なストレスや過労、不安感が引き金となり、脳が「命の危機」と誤認し、身体を戦闘モードにしてしまうのです。その結果、激しい動悸や息苦しさを感じ、「何か重大な病気ではないか」とさらに不安になり、発作が悪化するという悪循環に陥ります。
3. パニック発作の対処法
① ゆっくりと深呼吸する
過呼吸になると、体内の二酸化炭素濃度が低下し、めまいや手足のしびれが起こります。そのため、意識的に「深くゆっくり」呼吸をすることが重要です。
具体的な呼吸法(4-7-8呼吸法)
- 4秒かけて鼻から息を吸う
- 7秒間息を止める
- 8秒かけて口からゆっくり息を吐く
これを数回繰り返すことで、呼吸が安定し、自律神経が整います。
② 「これは一時的なもの」と認識する
発作が起きたとき、「このまま死ぬかもしれない」「心臓が止まるかもしれない」と感じるかもしれません。しかし、パニック発作自体は数分でピークを迎え、やがて落ち着いていきます。
そのため、発作が起こったときは「これは一時的なものだ」「何度も経験しているが、必ず治まる」と自分に言い聞かせましょう。不安が増幅するのを防ぐことができます。
③ 周囲の環境を変える
閉鎖的な空間や人混みの中で発作が起こると、不安がさらに増すことがあります。可能であれば、静かな場所に移動し、椅子に座って目を閉じ、気持ちを落ち着けると良いでしょう。また、冷たい水を飲んだり、手を冷やしたりすると気分が落ち着きやすくなります。
④ 認知の歪みを修正する
パニック発作を経験すると、「また発作が起こるのでは?」という不安から外出を避けたり、特定の場所を避けたりするようになります。しかし、これでは「発作が起こる=危険」という思考が強化されてしまいます。
例えば、以下のように考え方を変えてみましょう。
×「電車に乗ったら発作が起こるかもしれないから乗らない」
↓
○「もし発作が起こっても、呼吸法を使えば落ち着くことができる」
このように少しずつ考え方を変えていくことで、過度な不安を減らすことができます。
精神療法や認知行動療法に於いて、このような認知面の連鎖を見直すことがあります。
4. パニック発作を防ぐためにできること
パニック発作の頻度を減らすためには、日常的にストレスを管理し、自律神経を整えることが大切です。
✅ 規則正しい生活を送る(睡眠不足や不規則な食生活は発作を誘発する要因)
✅ カフェインやアルコールを控える(興奮作用があり、発作を誘発することがある)
✅ 適度な運動を取り入れる(ウォーキングやヨガはリラックス効果が高い)
✅ ストレスをこまめに発散する(趣味の時間を持つ、深呼吸を習慣にする)
また、発作が頻繁に起こる場合は、無理に一人で解決しようとせず、心療内科や精神科を受診し、適切な治療を受けることも大切です。
5. まとめ
パニック発作は非常に辛いものですが、適切な対処をすれば症状を和らげ、悪循環を断ち切ることが可能です。以下に大切なことをまとめました。
- 発作は「脳の誤作動」によるもので、命にかかわるものではない
- 深呼吸を意識し、「これは一時的なもの」と考える
- 環境を変えたり、認知の歪みを修正することで発作を予防する
- 生活習慣を整え、必要に応じて専門医に相談する
パニック発作はコントロール可能です。焦らず、少しずつ自分のペースで対処していきましょう。しかし、自己判断しすぎてしまったり我慢しすぎてしまうことは禁物です、症状が継続するときや繰り返してしまう時には、遠慮なさらず心療内科や精神科,メンタルクリニックへご相談されることをお勧めいたします