名古屋市中村区名駅の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院が錐体外路症状(EPS)を解説

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錐体外路症状(EPS)

お薬

公開日:2024.07.11更新日:2024.07.11

錐体外路症状(EPS)とは

錐体外路症状(EPS:extrapyramidal-symptoms)を呈する疾患の代表例は、パーキンソン病などがありますが、内服しているお薬の副作用として生じることもあります。

またこれらのお薬は内科や精神科など様々なところで処方されるお薬で起きえますが、その一つとして抗精神病薬などがあります。今回は、錐体外路症状についての主な症状や具体例、原因、対処法についてお伝えします。

そもそも、錐体外路とは?

錐体外路は脳の一部で、運動の調整や無意識の運動(例:姿勢の維持や歩行など)を制御する役割を持っています。錐体外路系の神経伝達物質の一つであるドーパミンのバランスが崩れることで、運動に関する様々な障害が引き起こされます。

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錐体外路症状の原因

錐体外路症状を呈する疾患の代表としてはパーキンソン病がありますが、内服しているお薬の副作用で症状が生じることもあります。そしてこれらの副作用を起こす薬の一つに、抗精神病薬によって引き起こされることがあることは先にも示しました。

そして薬剤に関連する、錐体外路症状としては薬剤性パーキンソニズムと呼ばれ、抗精神病薬においてはドーパミンの受容体をブロックすることで効果を発揮しますが、ドーパミンの不足が錐体外路系にも影響を及ぼし、副作用を引き起こすことがあります。

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錐体外路症状の主な症状

錐体外路症状には、パーキンソン症候群、ジスキネジア(不随意運動)、アカシジア(静座不能症)、ジストニア(筋肉の痙攣や硬直)などの症状があります。一つずつ解説していきます。

パーキンソン症候群(薬剤性パーキンソニズム)

薬剤性パーキンソニズムの症状は、パーキンソン病と類似していますが、薬物が原因であるため、薬の使用を中止または調整することで症状が改善することがあります。症状は次のとおりです。

振戦(震え)

主に、手や指の震えが見らるが、休息時に強くなる。

筋硬直(リジディティ)

筋肉が固くなり、関節の動きが制限される。

無動(アキネジア)

動きが遅くなり、動作の開始が困難になる。

姿勢反射障害

バランスを取るのが難しくなり、転倒しやすくなる。

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ジスキネジア(不随意運動)

主に、長期使用された抗精神病薬(特に第一世代抗精神病薬)によって引き起こされます。口、舌、顔の筋肉の異常な運動や手足、体幹の不随意な運動が見られます。ジスキネジアの具体的な症状は、次のような症状です。

口周りの動き

  • もぐもぐ運動:口をもぐもぐさせる動き。
  • 舌を突き出す:舌を反復的に突き出す動き。
  • 唇をすぼめる:唇をすぼめたり、噛んだりする動き。
  • 顔の筋肉のけいれん:顔の筋肉が不規則に収縮する。

手足の動き

  • 手指のけいれん:指が反復的に曲がったり伸びたりする。
  • 手の振戦(震え):手が震える動き。
  • 足の運動:足を上下に動かす、不規則な動き。

体幹の動き

  • 体をねじる:体をねじるような動き。
  • 腰を振る:腰を左右に振る動き。

アカシジア(静座不能症)

アカシジアは、抗精神病薬や他の薬物治療によって引き起こされる副作用の一つで、患者さんがじっとしていられない、または座っていられない状態を指します。この状態は非常に不快であり、患者の生活の質を著しく低下させることがあります。以下にアカシジアについて詳しく説明します。

アカシジアの主な症状

アカシジアは、内部から湧き上がるような強い不安感や焦燥感があり、落ち着きがありません。座ったり、立ち止まったりすることが困難で常に動き回りたくなり、じっとしていられません。また、動かずにはいられないという強迫的な衝動もあります。

  • 脚を揺らす:座っているときに脚を絶えず揺らす。
  • 歩き回る:室内や狭い範囲を行ったり来たりする。
  • 立ったり座ったりを繰り返す:一箇所にじっとしていられず、頻繁に立ち上がったり座ったりする。
  • 身体を揺らす:立っているときに身体を前後や左右に揺らす。

ジストニア(筋肉の痙攣や硬直)

ジストニアは、筋肉が不随意に収縮し、異常な姿勢や運動を引き起こす運動障害です。局所的なものから全身に広がるものまでさまざまな種類があり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。以下にジストニアについて詳しく説明します。

ジストニアの主な特徴

  • 不随意な筋収縮:筋肉が不随意に収縮し、異常な姿勢や動きを引き起こす。
  • 反復性の運動:同じ動きが繰り返されることが多い。
  • 持続的な筋緊張:筋肉が長時間緊張状態にあるため、痛みや疲労を伴うことがある。

ジストニアの分類

ジストニアは、発生部位や原因によって分類されます。

局所性ジストニア

特定の部位に限定されるジストニアです。例:頸部ジストニア・書くときに手が震える(書痙)・眼瞼痙攣。

セグメント性ジストニア

隣接する複数の部位に影響を及ぼすジストニアです。例:首と腕に同時に発生する。

全身性ジストニア

身体全体に広がるジストニアです。複数の部位や全身に影響を及ぼします。全身性ジストニアは、遺伝的要因や外因性の要因によって引き起こされることがあり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。

遺伝性ジストニア

遺伝的な要因によって引き起こされるジストニアです。

  • 家族歴の存在:家族内で同じ症状を持つ人がいることが多い。
  • 若年発症:通常、若年期(10代から20代)に発症することが多い。
  • 進行性:症状が徐々に進行し、広範囲の筋肉に影響を及ぼすことが多い。

二次性ジストニア

外傷、薬物の副作用、中毒などの外因性の要因によって引き起こされるジストニアです。

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錐体外路症状の対処法

錐体外路症状は、薬物治療を受ける上で避けられない場合がありますが、適切な対処法を講じることで症状が軽減し、生活の質を向上させることができます。薬の使用については、必ず医師と相談し、自己判断での中止や変更は避けるようにしましょう。

薬物の調整

まずは、抗精神病薬の種類や用量を変更することです。錐体外路症状を軽減する薬(例:ベンゾジアゼピン系薬剤や抗コリン薬)を併用します。

リハビリテーション

運動療法や物理療法によって症状を軽減します。

生活習慣の改善

バランスの取れた食事や適度な運動を心がけるようにします。

まとめ

錐体外路症状についての主な症状や具体例、原因、対処法についてお伝えしました。錐体外路症状は、パーキンソン病だけではなく、内科や精神科での処方薬や定期薬などで症状が出てしまうことがあります。精神科での薬においては、主に抗精神病薬の使用に伴って発生する運動障害でもあり、これらの副作用は非常に不快であり、治療の継続に支障をきたすことがあります。早期発見し、薬剤の調整を行います。患者ご自身で錐体外路症状かもしれないと感じることがありましたら、主治医に相談しましょう。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など