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職場でのうつ病の公表・採用面接とうつ病
うつ病
公開日:2025.02.06更新日:2025.09.08
職場でのうつ病の公表について
うつ病を知っている人は非常に多くなりましたが、うつ病について偏見や誤解を持つ人はまだいます。そのため、自身がうつ病を患ったことを職場や採用面接で公表したくないと思うのは自然なことでしょう。しかし、うつ病を隠すことのメリットもありますが、限られた人に対してであればうつ病であることを知らせることにも大きなメリットがあります。
この記事では、職場でのうつ病の公表・採用面接とうつ病をテーマに説明します。
職場メンバーにうつ病を知らせたほうがよいか
うつ病を患ったと知られてしまうと良くないことが起きるのではないかと、心配するうつ病の患者さんはじつは多くいらっしゃいます。
しかし、うつ病を公表することにはメリットもあります。例えば、通院するための休みを確保しやすくなるように、また仕事の分担量を体調に配慮して調整してもらえることもあるでしょう。同時に自分の状況について理解してくれている人がいると思えること自体が、孤独感や気持ちを軽くしてくれます。もちろん、職場メンバー”全員”にうつ病を公表する必要はありません。しかし、特に信頼できる上司や同僚に伝えられると、体調や環境に合わせて、長く働きやすくなる場合も多くあると思います。
会社にうつ病を知らせたほうがよいか
職場メンバーに対してだけではなく、会社という組織に対してうつ病の公表を行うこともあります。例えば、健康診断の既往歴にうつ病を書いたほうがよいか迷うかもしれません。
健康診断時の書類は、会社という組織に自身のことを理解してもらうためのツールとも言えます。うつ病の症状や通院などに関して配慮してほしいことがあるのなら、既往歴の欄にうつ病を記載したほうがよいでしょう。ただ、有給休暇の範囲内で通院ができるなど、業務を行ううえでうつ病を患っていたことが明らかに影響しないのならば、既往歴にうつ病を書く必要性はないとは思いますが、健康面に関係する面については公表したほうがよい場合も多くあるのです。
というのも、雇用側には従業員が健康に働けるように配慮しなければならない安全配慮義務があるためです。定期的な通院だけではなく、職場環境や仕事のやり方で配慮が必要な場合、どういった配慮をしてほしいかを具体的に伝えることはもちろんのこと、もしくは特段の配慮は必要がなかったとしても病名の存在を知ってもらっているだけでも予期せぬトラブルを避けることにもつながったり理解や誤解の防止にも繋がります。
このように病名を伝えることは、状況によっては、自身にとっても雇用側にとっても大切なことですし、健康面に関する面について公表をすることで、自分自身の体調面への大切なケアにも繋がることがあるのです。

採用面接時における病気の公表について
採用面接でうつ病であることを公表した方が良いのか?
採用面接においても、同様の理由で健康面に関する面については公表した方が良い場合も多くあるのです。
「うつ病であることを公表したら採用されなくなるのではないか」と心配になるかもしれません。しかし雇用側が最も重視することは、仕事を行ううえでの能力や人柄などです。そのため、働き手としての能力や長所を最大限伝えることが大事になります。もし、心配事がある場合にはあらかじめ「こういった工夫や配慮があれば、○○できます」など具体的に説明すると、雇用側も雇った後の配慮をイメージしやすくなるのではないでしょうか。
採用面接でうつ病を公表しなかったことが問題なるケースもある点には注意
採用時にうつ病を隠していたことが問題になるケースもあります。問題になるケースとは、「従業員が就労に影響する重大な事実を偽った」と雇用側が判断した場合です。例えば抗うつ薬の副作用で日中眠くなることがあるうつ病の患者さんが、バスや電車の運転手として勤めていたとなると、問題になるかもしれません。雇用側の判断にもよりますが、最悪の場合は懲戒処分となる恐れもあります。
さいごに
うつ病の症状や薬の影響があっても、安全に業務を遂行できるかどうかをあらかじめ具体的にイメージしておくことは、転職活動に臨むうえでとても重要です。すでに働いている方であれば、自分の体調や職場環境との相性について丁寧に振り返り、無理のない働き方を検討しておくことが大切です。
うつ病を職場や面接で公表するかどうかは、一律に「必ずすべき」「必ず隠すべき」と言えるものではありません。
自分の判断だけでは不安な場合には、まず主治医に相談することが基本です。そのうえで、転職活動中であれば就労支援機関やハローワークを利用したり、現在の職場に勤めている方であれば信頼できる上司や人事担当者に相談することも、自分を守る大切な方法のひとつになります。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など







