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うつ病と炎症の関係とは|ストレスと脳のつながりから見る3つの対処法

抑うつ / メンタルケア / うつ病

公開日:2025.04.24更新日:2025.06.01

うつ病と炎症の関係とは|ストレスと脳のつながりから見る3つの対処法

  • 「うつ病の原因って何だろう?」
  • 「遺伝が関係してるらしいけど、それ以外ないのかな?」

うつ病になり原因を考えたことはありませんか。

うつ病と診断される方は年々増えており、日本では100人に約6人が人生で一度は経験すると言われています。[1]

うつ病は珍しい病気ではなく、誰にでも起こりうる心の不調です。

近年では、うつ病についてさまざまな研究が進められており、中でも「うつ病と脳の炎症の関係」が注目を集めています。

「今のこのつらさには、ちゃんと理由がある」と思えることで、心が少しほっとするかもしれません。

この記事では、うつ病と脳の炎症の関係や、ストレスにより炎症が生じる理由、対処法について解説します。

日々を穏やかに過ごすために、脳の炎症との上手なつきあい方の参考になれば幸いです。

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うつ病は脳の炎症と関係している

うつ病は「気持ちの問題」「心の弱さ」ととらわれがちですが、脳の炎症が関係していると多くの研究で分かってきました。

たとえば、うつ病の方を対象に炎症反応を調べると、炎症性サイトカインを含む炎症数値の上昇が示されるのです。

サイトカインとは、おもに免疫系細胞から分泌されるたんぱく質で、細胞間の情報伝達をする働きがあります。その中でも、身体の炎症症状を引き起こすものが「炎症性サイトカイン」です。[2]

たとえば、抗ウイルス作用や抗腫瘍作用のあるインターフェロンαとうつ症状との関連についても「インターフェロン誘発性うつ病」として指摘されており、ほかにも、糖尿病やがんなど慢性炎症性疾の方のうつ病発症率は、約12%以上高いとう調査結果もあります。

このようなさまざまな研究や調査により、炎症がうつ病を引き起こすと考えられているのです。

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ストレスで脳が炎症する理由

うつ病や適応障害など、精神疾患はストレスが発症の引き金となることが多くあります。

炎症とは、ケガや病気をして細菌やウイルスにより炎症を引き起こすだけではなく、ストレスもまた脳内の免疫システムが感知して、炎症として変換され目に見えないストレスとして炎症の原因となるのです。

とくに、インフラマソームという細胞内のたんぱく質の複合体が中心となり、目に見えないストレスまでも認識して炎症を引き起こすのです。[3]

厚生労働省の2021年の調査では、仕事や職場で強い不安や悩み、ストレスを抱えている人の割合は53.3%と半数を超えてます。[4]

そのため、現在ストレスから炎症性サイトカインへ変わる流れを遮るための薬づくりについても注目されています。

うつ病と脳の炎症の関係が分かると治療に役立つ

うつ病に限らず精神疾患は、診察で医師の問診により診断されることが多くあります。

ただし、この方法ではハッキリとした病態が分からないまま「ひとつの疾患」としてとらえられる可能性が高くなります。

たとえば「眠れない」「集中できない」など、問診で伝えた症状によって診断されるため本当の原因が分かりません。

うつ病の方に炎症反応があるのか検査を行い、うつ病の原因が脳の炎症であることを特定できると、炎症に対する治療を行い症状をやわらげることができるのです。

ただし、現在うつ病の炎症に対する抗炎症薬の使用の明確な有効性は示されていません。

また、さまざまな調査や研究により、炎症反応の高いうつ病の方は通常の抗うつ薬が効果を示さないことが多く、抗炎症薬が有効である可能性が考えられているのです。

うつ病で脳の炎症をやわらげるための対処法

うつ病と脳の炎症が関係しているという視点で、必要以上にストレスを抱え込みすぎないように生活することも大切です。ただし、全てのストレスが身体に悪いわけではありません。[5]

というのも適度なストレスは、人のやる気を出させたり新しいことにチャレンジすると成長するきっかけになったりします。

また一方で、ストレスは、眠れなくなったりイライラしたりします。ストレスを溜め込みすぎると、脳の炎症につながり、うつ病を発症する原因にもなるのです。

無理をしすぎたり、ストレスを溜め込みすぎないための過ごし方や関わり方についていくつか紹介を致します。

  • 身体を動かす
  • 信頼できる人に話す
  • 自分の気持ちを書き出す

身体を動かす

ストレスが溜まると、気づかないうちに身体がかたくなっていたり呼吸が浅くなっていたりすることがあります。そのようなときは、軽く身体を動かすことが大切です。

たとえば、少し外を散歩したりストレッチをしたり、好きな音楽に合わせてリズムをとるだけでもよいでしょう。身体を動かすことで、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌され、気持ちを落ち着かせてくれます。[6]

「何もしたくない」と感じたときこそ、大きな目標を立てすぎず、例えば短時間の1日10分~20分ほどを目安に少しずつ身体を動かしてみてはいかがでしょうか。[7]

信頼できる人に話す

うつ症状が続くときは、ムリにがんばるのではなく信頼できる家族や友人、心療内科や精神科の先生に相談することも大切です。

ストレスをひとりで抱え込みすぎたり、孤独を感じすぎてしまうと、悪いことばかり考えてしまいます。

まずは、身近な信頼できる人に「ちょっと疲れてるかも」「最近うまくいかないんだよね」と話してみてはいかがでしょうか。直接の解決に至らなかったりあるいは、すぐに答えが出なくても「聞いてもらえた」「わかってもらえた」というだけで、心が軽くなることもあります。話すことは心のストレスを外に出す第一歩です。

自分の気持ちを書き出す

「なんだかモヤモヤするけど、何がつらいのか自分でもよく分からない」と悩むときは、紙や携帯のメモなどに思っていることを書き出してみましょう。

人に話すのは勇気が必要と感じる時、まずは「書く」だけでも、思っていることを自由に書き出すことが大切です。

実際に、日記やメモに感情を書くジャーナリングという方法があります。

ジャーナリングをすることで、自己発見につながり、ポジティブな考えを増やしネガティブな感情を減らす効果があると言われています。[8]

「こんなことで悩んでたんだ」「本当はこうしたかったんだ」と、自分の気持ちに気づくきっかけにもなります。

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まとめ

うつ病の原因は「気持ちの問題」や「性格のせい」だと誤解されがちですが、最近の研究では脳や身体の炎症が深く関わっていることが分かってきました。

自分のせいではなく、「炎症が関係しているかもしれない」と身体の反応として起きているのだと知ったり理解をしていくことは、治療や回復に向けての大きな一歩にもなります。また、強くストレスを抱え込みすぎないことも、うつ症状をやわらげるポイントになります。

今回は、以下の習慣について紹介しました。

  • 身体を動かす
  • 信頼できる人に話す
  • 自分の気持ちを書き出す

ストレスや不調はまわりからは見えにくいものですが、あなたの心と身体はストレスや負担をちゃんと感じています。目に見えないからこそ、適切なケアを意識して取り入れることも大切です。

ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院は名古屋駅から徒歩1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックです。お気軽にご相談くださいませ。

【参考文献】

[1]うつ病|厚生労働省 こころの情報サイト

https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL

[2]サイトカイン(cytokine)|腸内細菌学会

https://bifidus-fund.jp/keyword/kw048.shtml

[3]インフラマソーム|脳科学辞典

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%A0

[4]職場におけるメンタルヘルス対策の状況|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001001667.pdf

[5]良いストレスと悪いストレス|二木 鋭雄

https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/129/2/129_2_76/_pdf/-char/ja

[6]幸せホルモン・セロトニンを増やして心と体を健康に|高槻市

https://www.city.takatsuki.osaka.jp/site/masugen/86751.html

[7]体を動かす|こころもメンテしよう 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_01.html

[8]ジャーナリング(書く瞑想)の心理的効果に関する一考察-女子大学生への実践から得られる示唆-|谷本 拓郎

https://researchmap.jp/yogimeets.com/published_papers/41743301/attachment_file.pdf

名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニック

野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など