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最悪の悪循環を断ち切る|思考を改善するための認知行動療法のすすめ
認知行動療法 / 心理面・思考 / 行動療法 / 精神療法
公開日:2025.03.09更新日:2025.03.10
思考を改善するための認知行動療法のすすめ
私たちは日々、さまざまな思考を繰り返しています。その中で、感情的な反応や習慣的な考え方が強化されることがあります。特にストレスや不安を感じると、否定的な思考が強まり、「最悪の結果になるのではないか」といった思考が浮かびやすくなります。これが続くと、最悪の悪循環に陥り、心身に深刻な影響を与えることになります。
しかし、この悪循環を断ち切るための方法の一つとして「認知行動療法」を今回は紹介をいたします。
認知行動療法(CBT: Cognitive Behavioral Therapy)は、思考や行動を変えることで感情を改善し、問題解決の力を高めるための治療法です。今回は、この認知行動療法を取り入れて、最悪の悪循環を断ち切り、より健康的な思考パターンを身につける方法について解説します。
1. 認知行動療法とは?
認知行動療法は、心理学者アーロン・ベックが開発した治療法で、私たちの考え方(認知)と行動がどのように感情に影響を与えるかに注目します。CBTは、自己否定的な思考や過度な一般化、予測思考などの「歪んだ思考」を修正し、現実的で適応的な思考に変えることを目指します。
例えば、「私は何をやっても失敗する」といった考えが続くと、その思考が行動に影響を与え、最終的に自信を失ったり、挑戦しなくなったりすることがあります。このような悪循環を断ち切るためには、まず自分の思考パターンを認識し、それを改善することが必要です。
2. 最悪の悪循環を理解する
最悪の悪循環とは、思考→感情→行動の順に繰り返される、否定的な思考が引き起こす連鎖です。たとえば、以下のような流れが考えられます。
- 思考➡「今日もまたうまくいかないんだろうな」「失敗するかもしれない」
- 感情➡不安、恐れ、無力感
- 行動➡何も試さずに諦める、積極的に行動しない
この悪循環が続くと、ますます自信を失い、ストレスや不安が増大し、日常生活に支障をきたすことになります。最悪の結果を予測してしまうことで、実際にその結果が現れる可能性が高くなるという、いわゆる「予測的思考」の罠に陥ってしまうのです。
3. 認知行動療法を使った思考の改善法
認知行動療法は、この悪循環を断ち切るために役立ちます。具体的な方法をいくつか紹介します。
(1) 思考記録をつける
まず、最初に行いたいのは「思考記録」をつけることです。日常生活で自分がどんな否定的な思考をしているのか、どのように感じているのかを記録することで、自分の思考パターンを理解できます。例えば、「今日は上司から注意されたから、自分は無能だ」と思ったとします。この思考に対して、実際にはどんな証拠があるのか、逆にどんな証拠がないのかを明確にすることが大切です。
思考記録をつけることで、無意識のうちに陥りがちな「最悪の予測」に気づき、現実的で柔軟な思考に変える手助けになります。
(2) 認知の歪みを修正する
認知行動療法では、思考の「歪み」を修正することが重要です。いくつか代表的な認知の歪みを挙げると、以下のようなものがあります
- 過度の一般化➡一度の失敗を「自分はいつもダメだ」と一般化してしまう。
- 極端な思考➡「うまくいかなければ、全てが台無しになる」といった極端な思考。
- 自己批判➡自分を過度に責め、他人の視点を無視してしまう。
これらの思考を意識的に修正し、もっと現実的で柔軟な視点を持つことが大切です。例えば、「今日は失敗したけれど、それは一回の出来事であり、次に活かすことができる」といったポジティブな再評価が重要です。
(3) 行動の実験
認知行動療法では、行動を通じて思考を改善する「行動実験」も体調によっては有効となります。最悪の結果を予測してしまった場合、その予測が実際にどの程度正しいかを試す行動をとってみることでもあります。例えば、「今日はまた失敗するかもしれない」と思った場合、実際に何か小さなことに挑戦してみて、その結果を観察します。予測が外れたとき、「思ったほど悪くはなかった」という実績が自信につながります。
行動実験を通じて、思考の誤りに気づき、より現実的な自信を育むことができます。
4. 最悪の悪循環を断ち切るために
最悪の悪循環を断ち切るためには、自分の思考パターンを理解し、それを修正することが不可欠です。認知行動療法を活用することで、否定的な思考を変え、行動を改善することができます。また、日々の小さな実践が、最終的には心の健康を取り戻す大きな力となります。自分の思考や行動を見つめ直し、最悪の悪循環を断ち切る第一歩を踏み出してみましょう。
もし、このアプローチを一人で試みても難しいと感じた場合は、専門家のサポートを受けることも考えてみてください。但し、体調に応じて進めるペースを整えることは大切です。また、認知行動療法に限定するのではなく精神療法や治療として、病気や疾患への理解を促し、生活面や人間関係における助言などの併用も大切だからです。