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もしかして腸の不調とうつは関係ある?脳腸相関から考える心と身体のケア
脳腸相関 / 抑うつ / うつ病
公開日:2025.04.24更新日:2025.06.01
[ Index ]
もしかして腸の不調とうつは関係ある?脳腸相関から考える心と身体のケア
- 「気分が沈んで何もやる気が出ない」
- 「ストレスでお腹の調子が悪い」
このような症状に悩んでいませんか?
うつ病は心の問題と思われがちですが、最近の研究では「腸内環境」と深く関係していることが分かってきました。
腸内環境を整えることで気分が安定し、ストレスに強くなれるかもしれません。
食事や生活習慣を見直し「脳腸相関」を意識することで、心の健康をサポートすることができます。
腸内環境を整えるためには、発酵食品や食物繊維を意識的に摂取したり、規則正しい生活を送ったりすることが大切です。
また、ストレスを軽減するためのリラックス習慣を取り入れることで、脳と腸のバランスを整えやすくなります。
この記事では、脳腸相関とうつ病の関係について詳しく解説します。
あなたの心が少しでも軽くなり、毎日を穏やかに過ごせるきっかけとなれば幸いです。
脳腸相関とは?脳と腸がつながっている仕組み
脳と腸が密接に関係していることを「脳腸相関」と呼びます。
腸は「第二の脳」ともいわれ、多くの神経や細胞が存在しています。近年では、腸内環境も注目されるようになりました。[1]
腸内環境は免疫力とも深く関係しています。
たとえば、ストレスが溜まるとお腹が痛くなったり、風邪を引きやすくなったりすることがあります。これは、免疫細胞の約70%が腸内に存在し、ストレスによって腸内環境が変化するために起こる現象です。
さらに、腸からの情報は神経や細胞を通じて脳へ伝わり、抑うつや不安感などの心の調子にも関わっています。
また、行動面にも腸内環境が関係しており、ある研究では、多動性や強い不安、高い攻撃性が、腸内環境の是正によって正常化されたという報告があります。
このように、腸内にはさまざまな神経経路や細胞があり、それらが相互に作用しながら脳とも関係しているのです。
うつ病と脳腸相関の関係
現在、腸内環境とうつ病やうつ状態の関与を証明した研究報告はありません。しかし、世界的にも注目されており、さまざまな研究が進められています。
うつ病の原因に関係するストレスや、幸せホルモンのセロトニンに腸内環境が大きく関わっているのです。それぞれ詳しく解説します。
脳腸相関とストレスは相互に関係している
腸の動きは自律神経によりバランスを保たれています。自律神経とは、活動的な交感神経と、休憩を促す副交感神経のことです。
自律神経は、ストレスによりバランスを崩すしやすく、下記のように腸の動きに作用します。[2]
- 交感神経➡腸の動きが弱くなり便秘になる
- 副交感神経➡腸の動きが活発になり下痢になる
腸の働きはストレスにより変化しますが、逆に腸内環境がストレス反応を和らげることができるという研究結果もあります。
つまり、腸内環境を改善するとストレスによる負担を和らげることができ、心の健を保ちやすくなるのです。[2]
セロトニンの90%は腸で作られている
うつ病になると、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌が少なくなり、そのため、気持ちが沈んだりやる気が出なかったりというという状態になるという考えや、セロトニンは、腸内環境とも関係しているとされています。[2]
うつ病によい腸内環境を整える食事
セロトニンは、トリプトファンを摂ると体内で作られます。
ただし、トリプトファンを多く摂っても腸内環境がバランスよく存在しないと、脳のセロトニンは増えません。[2]
これは、脳へセロトニンを運ぶ役割を腸内環境が担っているためです。
うつ病によい腸内環境を整える食べ物は以下のものが挙げられます。[3][2]
- 穀物
- 野菜
- 豆類
- 果物
- 発酵食品
- 食物繊維
うつ病になると食欲がわかなくなりやすいですが、バナナはトリプトファンを多く含んでおり、他にも納豆、キムチ、ヨーグルトなどもお勧めです
脳腸相関を意識したセルフケア
腸内環境を改善することで、心と身体の健康に役立ちます。
そのためには、自律神経のバランスが乱れない生活習慣が大切です。[4][5]
- 生活リズムを整える
- 軽い運動を習慣にする
- 朝起きたら日光を浴びる
夜更かしや短い睡眠時間は身体にストレスを与えます。
睡眠時間は6時間以上を目安にしたり、ほかにも、朝起きたら窓を開け朝日を浴びることで、体内時計が調節されます。[5]
軽い運動とは、散歩や軽いランニング、ヨガやストレッチです。[4]
1日20分ほどを目安にして、身体がぽかぽかする程度に続けられるペースで取り組むことも、ストレスとうまく付き合っていくためにも大切です。
心の健康のために腸内環境にも注目しよう
うつ病やストレスによる不調は、心だけでなく「腸」とも深く関係しており、最近の研究では、脳と腸が密接に関わる「脳腸相関」が注目されています。
腸内環境が整うと、毎日を前向きに過ごしやすくなったり、気持ちが安定しやすくなったりすることが期待されています。普段の生活の中で腸内環境を意識することもまた、心の健康をサポートする一歩にも繋がりやすいです。
今回は、腸内環境を整える考え方や、食べ物について紹介いたしました。ムリのない範囲で、できることから少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか?
ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院は名古屋駅から徒歩1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックです。お気軽にご相談くださいませ。
【参考文献】
[1]第2の脳、「腸」の運動を探る|堀 正敏
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/pr-yayoi/53f1.pdf
[2]こころとからだの免疫学 ─腸内細菌の働きを中心に|藤田 紘一郎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/8/2/8_69/_pdf
[3]食品成分データベース|文部科学省
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
[4]こころもメンテしよう 若者のためのメンタルヘルスブック|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/docs/book.pdf
[5]こころの健康気づきのヒント集|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000561002.pdf
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など