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Hidamari Kokoro Clinic
『ボンディング』パート1
アタッチメント理論
公開日:2025.04.24更新日:2025.08.30
ボンディングってなに?
ボンディングとは、人と人との間に生まれる深いつながりや信頼関係を指します。家族や友人、恋人、同僚など、さまざまな関係においてボンディングは重要な役割を果たし、安心感や絆を強める要素となります。
今回は、パート1でボンディングの意味やその形成過程、心理学的背景、ボンディング形成の促進要因について解説します。パート2では、ボンディング形成の阻害要因、ボンディング不足による影響について解説します。
ボンディングとは、人と人との間に築かれる強い絆や愛着の形成を指します。特に、親子関係や恋愛関係、職場のチームワークなど、人間関係において重要な役割を果たします。心理学や発達学、社会学など幅広い分野で研究されており、人間の幸福感や精神的な安定にも影響を与える概念です。

ボンディングの形成過程
ここでは、親子のボンディングを例に挙げてお話しします。親子のボンディングは、親から子への感情面での絆のことであり、出生前から長期的に存在し、赤ちゃんが生まれてすぐの時期に重要です。
母親または養育者と赤ちゃんのスキンシップ(抱っこ、授乳、語りかけなど)を通じてボンディングが形成されます。安定したボンディングが形成されると子どもは安心感を持ち、健全な成長を遂げるとされています。
しかし、ボンディングが不足すると、子どもの情緒が不安定になりやすく、社会性の発達に影響を与える可能性があります。大人になっても人間関係に対する不安を持ちやすくなり、人とうまくかかわることが難しくなります。
特徴
- 強い承認欲求➡相手の愛情や関心を強く求め、些細なことでも「嫌われたのでは?」と不安になる。
- 過度な依存➡相手に依存しやすく、一人でいると強い孤独感や不安を感じる。
- 拒絶への過敏さ➡小さな変化や些細な言葉でも「見捨てられるのでは」と感じやすい。
- 感情の起伏が激しい➡愛情を感じると安心するが、不安を感じると過剰に反応し、怒りや悲しみが強くなる。
原因
- 幼少期の親との関係➡甘やかす時と冷たくする時がある
- 親の愛情が不安定
- 親の注意が他に向く
- 過干渉
恋愛や対人関係での影響
- 恋愛では相手に執着しやすく、嫉妬や不安が強くなることがある。
- 友人関係でも「嫌われたかも」と不安になり、過剰に気を使うことがある。
克服するには
自分の不安を認識し、冷静に受け止める
自己肯定感を高める(「自分は一人でも大丈夫」と思えるようにする)
安心できる人間関係を築く(信頼できる相手と少しずつ距離を調整する)

ボンディングの心理学的背景
ボンディングに関連する心理学的な背景、理論を紹介します。
オキシトシンの役割
別名「愛情ホルモン」「きずなホルモン」と呼ばれ、スキンシップや信頼関係を通じて分泌されるホルモンです。楽しいと思える人と一緒にいるとき、ペットや恋人、親子のスキンシップの他、リラックスしているときに分泌されます。
オキシトシンの効果
- 安心感を高める
- ストレスを軽減する
- 信頼を強化する
- 共感力を向上させる
愛着理論
ジョン・ボウルビィが提唱した理論で、幼少期の愛着がその後の人間関係に影響を与えるということを説明した理論です。安定した愛着を持つと、健全な人間関係を築きやすいとされています。不安型・回避型の愛着があると、人間関係に対する不安や距離感の問題が生じることがあります。
ボンディングと愛着
日本助産学会の資料1)によると、「ボンディングとは、親から子への感情面での絆であり、出生前から長期 的に存在するものをいう」とされ、「アタッチメントとは、アタッチメント対象(主養育者、親等)に対する子どもの結びつき(絆)をいう。 子どもの内部にある感情と行動システムをさす」と述べられています。
さらに、アタッチメントとボンディングの違いは、その方向性にあります。アタッチメントは子から親へボンディングは親から子へという方向性を示しています。日本語の愛着という言葉は、ボンディングとアタッチメント双方の意味合いを持つことが多い傾向です。

ボンディング形成の促進要因
ボンディングを促す要因には、生理的・心理的・環境的な要素があり、以下のようなものが挙げられます。
身体的接触(スキンシップ)
抱っこ・授乳・マッサージ:赤ちゃんと親が肌と肌を触れ合わせることで、オキシトシンが分泌されます。オキシトシンは、「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれ、安心感が生まれます。赤ちゃん以外でも、パートナーや友人間のハグや手をつなぐ行為も、同じくオキシトシンを分泌し、心理的な結びつきを強めます。
一貫した応答的な関わり
赤ちゃんが泣いたらすぐにあやす、目を見て話しかけるなど、相手のニーズに敏感に反応することで、安心感と信頼感を育むことにつながります。大人同士でも、相手の話をしっかり聞き、相手の気を尊重し共感を示すことが、ボンディングの効果を強めることになります。
また、定期的に感謝を伝えることも重要です。
目を合わせること(アイコンタクト)
親子のアイコンタクトは、赤ちゃんに「守られている」「安心していい」というメッセージを伝えることができます。恋人同士や友人同士でも、アイコンタクトは信頼関係を深める重要な要素となります。
ポジティブな言葉や感情の共有
「大好きだよ」「よく頑張ったね」などの肯定的な言葉が、相手の安心感と自己肯定感を高めます。また、笑顔や表情のやりとりも、ポジティブなボンディングを形成することに有効です。
質の高い時間を一緒に過ごす
親子の場合は、遊び、読み聞かせ、歌を歌うなど、一緒に楽しめる時間が、安心感を育むことが可能です。パートナーや友人関係でも、スマホを見ながらの会話ではなく、相手を見て会話に集中する時間が大切です。
共通の経験や困難を乗り越える
一緒に何かを達成したり、困難を乗り越えたりすると、相手との絆が深まる。例えば、旅行、趣味、イベントなど一緒に新しいことに挑戦すること。スポーツ、仕事のプロジェクトなど共通の目標を持つことを一緒に行うこと。困難を乗り越える経験を共有することなどです。

まとめ
パート1では、ボンディングの意味やその形成過程、心理学的背景、ボンディング形成の促進要因について解説しました。ボンディングは、親子関係や恋愛関係、職場のチームワークなど、人間関係において重要な役割を果たします。パート2では、ボンディング形成の阻害要因、ボンディング不足による影響について解説します。
【参考文献・引用文献】
1.日本助産学会 「助産用語特別検討委員会案」
https://www.jyosan.jp/uploads/files/journal/josanyougo.pdf
2.精神経誌2002第124巻別冊
https://fa.kyorin.co.jp/jspn/guideline/kG108-113_s.pdf
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など






