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休職中の状態報告のやり取り、復帰にあたり職場メンバーへのうつ病の説明
抑うつ / うつ病
公開日:2025.02.06更新日:2025.09.12
休職中の状態報告のやり取り、復帰における説明
うつ病で休職している時、職場や関係者への定期的な状態報告が必要になる状況は意外と多いものです。とはいえ、どのぐらいの頻度でどんなことを伝えればよいかなど、状態報告は分からないことだらけだと思います。また、復帰したときに職場メンバーに以前と同じように接してもらえるのか、うつ病や自分についてどう話せばよいか。こういった悩みを抱えている患者さんは多くいます。
この記事では、休職中の状態報告のやり取りや、復帰にあたり職場メンバーへのうつ病の説明をテーマに説明しています。
休職中の状態報告について
休職中の状態報告についても、症状把握や治療の観点からも医療機関の主治医やスタッフに相談することは重要です。ほかにも、デイケアや障害者職業センターなどの復職支援施設に通っている場合は、そちらのスタッフに相談するのもよいでしょう。会社に産業医がいる場合は産業医に相談するのもひとつの手です。
会社側への報告の頻度については、どのくらいで状態報告すればよいかも産業医から指定してもらえます。
状態報告や復職のやり取りをするにあたり、上司や人事とのコミュニケーションでは思っていた以上に疲れを感じてしまうことも多いです。体調に応じては、連絡を最小限にするべき時期もありますが、復職を考えてみるタイミングでは、復帰後をイメージしたトレーニングのひとつとして会社との連絡に取り組んでみることも大切です。
復帰にあたり職場メンバーへの病気の説明
職場メンバー全員に自分の症状をすべて説明する必要はありません。仕事と並行して治療を続けるうえでどういったことをサポートしてほしいか、自分の事情を理解するのに必要な情報を伝えることが大切です。
説明で大事になるのは、客観的事実に基づいた説明と、必要とする具体的なサポート
病気を説明するときには、客観的事実に基づいた説明や、必要とする具体的なサポートの説明が大事になります。例えば、「疲れた時には、頭の中に薄いもやが溜まってぼんやりする」と伝えても、職場メンバーにはその状況を想像したり、理解することができない場合もあります。その感覚は、実際にうつ病を体験しないと、その症状の辛さや悩みを理解することはできないこともあるからです。
職場メンバーに分かりやすい説明をするうえでのポイントは、主治医から受けた説明を自分がどんなふうに理解したかです。残業の有無や業務量の軽減の程度、状態表現や医学用語を噛み砕いて実態に沿ったアドバイスと説明をすることが大切になります。
また、自分の言葉で症状を説明しようと改めて考えたとき、症状について分からないことが出てくるかもしれません。その場合は、主治医やスタッフなどに改めて尋ねてみるとよいでしょう。
冷静な説明をしたり症状をコントロールできていれば、職場メンバーは不安に感じにくい
たとえ復職できるほど回復したとしても「自分の病気のことで部下や後輩が不安になるのではないか」と考えることもあると思います。「うつ病は治らない」「うつ病だから仕事ができない」といったうつ病への偏見を持っている方は、現在も少なからずいます。
この場合、できるだけ客観的な・冷静な説明をこころがけることが大切です。症状のコントロールができていることや、病気を前向きに受けとめていることなどを伝えることができれば、職場の部下や後悔の不安も軽減されると思います。そもそも、高血圧や花粉症をはじめ、会社には持病を抱えた人が多くいます。
会社にとって大事なのは、どんな病気を抱えているかではなく、最終的に職場として仕事がうまく回ることです。いまの自分の状態でどういうことができるか、配慮があればどこまでできるかなどを伝えることが大事になります。職場メンバーや、必要なら他部門のサポートを借りるなど、自分だけで仕事をしていると考えるのではなく、チーム全体で仕事をしていると考えると、心が軽くなるかもしれません。
休職中に上司が変わったら
休職中に人事異動が起きて上司が変わることもあります。前の上司や人事部に相談すれば、新しい上司に自分の情報はある程度引き継がれます。とはいえ本人不在となると、正しい情報を引き継ぐのは難しいものです。そのため、復職してからでも十分なので、新しい上司とコミュニケーションを取ることが大切になります。病気の経緯を書面に用意したり、個人的に面談を申し込んだりすることで、新しい上司に必要な情報を伝えましょう。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など







