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セルフコンパッションとは?「自分を優しく受け入れる3つのこと」
セルフコンパッション
公開日:2024.10.03更新日:2025.01.27
[ Index ]
自分を責めてしまう時…
「自分を責めてしまってなんだか生きづらい…」「セルフコンパッションってどういうものなのかな?」
セルフコンパッションとは、自分自身に向ける優しさや思いやりのことです。
日常生活の中で、失敗や苦しみに直面することが多くあります。そのときに自分を責めるのではなく「誰でも失敗することあるよね!」「この失敗を次に生かそう!」と大切な人を励ますように、自分自身を思いやることが大切なのです。
この記事では、セルフコンパッションの考え方や、セルフコンパッションで得られる効果について解説します。
自分自身に優しくすることで、より幸せな毎日を手に入れましょう。
セルフコンパッションとは
セルフコンパッションとは、自分に対して優しさや思いやりをもち、自分の人間性を認め受け入れてあげることです。[1]
誰もが心の中に理想の自分をもっています。
理想の自分に近づくために、ときにはムリをしたり上手くいかなかったときに自分を責めたりするでしょう。
自分の作り上げた理想に近づくために、自分の中で目標を立てることは悪いことではありません。
ただし、その目標を達成できなかったときに、落ち込んだりイライラしたりが続くとストレスになります。
もし、困難な状況や目標を達成できなかったのがあなたではなく、あなたの大切な人だったら肯定的な言葉や励ましの言葉をかけるでしょう。
たとえば、「そんなときもあるよ!」「大丈夫!またチャンスはあるよ!」「少し休みなさいってことかもだよ」など、ありのままの状況を受け入れて励ましの声をかけます。
このように、大切な人に向ける気持ちを自分自身に向け、ありのままの自分を認めることがセルフコンパッションなのです。
セルフコンパッションの効果
セルフコンパッションには、心身を健康にするさまざまな効果があるといわれています。
とくに、下記のような効果が挙げられます。[1]
- 幸福感が高まる
- ストレスが軽くなる
- ポジティブな感情をもてる
セルフコンパッションを実践すると、不安・抑うつ感・ストレスの低さなどに効果があるとされています。
セルフコンパッションが高い方は、心が安定しているためストレス状況にもうまく対応できるのです。そのため、ストレスによって引き起こされる頭痛、身体のだるさ、めまいなどの身体的な健康にも効果があります。
自分自身が幸せでポジティブだと、人間関係や仕事効率などにも良い影響を与えるでしょう。
セルフコンパッションを構成する3つの要素
セルフコンパッションは、ポジティブな側面とネガティブな側面が対になって以下の3つの要素で構成されています。[2]
- 自分への優しさ‐自己批判
- 共通の人間性‐孤独感
- マインドフルネス‐過剰な同一化
それぞれ具体例も一緒に解説します。
自分への優しさ‐自己批判
1つ目は、自分への優しさと自己批判です。
ポジティブな側面の自分への優しさとは、大切な人が困難な状況になったときに優しい言葉や思いやりを自分自身にかけることです。ただし、ストレス発散のための暴飲暴食のような身体によくないことは、甘やかしなのでセルフコンパッションではありません。温かい気持ちであるがままの自分を受け入れることが大切です。
一方で、ネガティブな側面の自己否定とは、自分の悪いところにばかり目が向き、自分自身を責めることです。
人は失敗したときに失敗した原因を考えます。
考えることによって、改善すればよいのですが「あのときこうしておけばよかった」「ここができていたら」と自分を責めるきっかけにもなります。
自己否定を続けると気分が落ち込んだりイライラしたりすることが増えるのです。
■自分への優しさ
そんなときもあるよね!
次は大丈夫だよ
ドンマイ自分!
■自己批判
なんでいつも自分はこうなんだ!
こんな自分がイヤになる
もっと自分ができていれば…
共通の人間性‐孤独感
2つ目は、共通の人間性と孤独感です。
ポジティブな側面の共通の人間性とは、人は誰でも完璧ではなく失敗することがあると気づくことです。
たとえば、大事なプレゼンで緊張してうまく話せなかったり、仕事が忙しすぎてパートナーとのコミュニケーションがうまく取れずに別れてしまったりなど、自分を責めてしまいがちですが、このような経験は誰にでも起こります。
一方で、ネガティブな側面の孤独感とは、自分だけうまくできないと感じることです。
たとえば、ひとりで残業しているときに「なんで自分だけ業務時間内に仕事が終わらないんだ」と感じるでしょう。たまたまあなたの今日の仕事量が多かったり、手間のかかる仕事ばかりだったりの可能性もあります。
しかし、孤独感を感じていると「なんで自分ばかり」と自分を責めてしまうのです。その結果、気分が落ち込んだりイライラしたりして自己肯定感がさがるきっかけになります。
■共通の人間性
誰にでも起きることだよね!
みんな経験してきたはず
■孤独感
なんで自分だけこんな目にあうの…
他の人はうまくいっているのに、わたしだけなんで失敗したんだろう
マインドフルネス‐過剰な同一化
3つ目は、マインドフルネスと過剰な同一化です。
ポジティブな側面のマインドフルネスとは、その物事に対して自分自身の感情を受け入れることです。
たとえば、散歩をしているときは「風が気持ちいいな」「花がキレイだな」と今目の前の出来事に集中し感じることをいいます。
一方で、ネガティブな側面の過剰な同一化とは、不安や悲しみの気持ちを長く引きずってしまうことです。
たとえば、失敗や困った場面では「なぜあんなことをしてしまったんだ」「こんな結果になって悲しい」と嫌な気持ちを引きずり混乱してしまうことをいいます。
長く悩み考えすぎることで、徐々に気持ちが沈んでいき心の健康が保てなくなってしまうのです。
■マインドフルネス
今の時間を大切にしよう
目を閉じて今、この瞬間にいる自分を感じてみる
■過剰な同一化
「わたしはダメだな」と思い込み混乱してしまう
まとめ
人は、自分ではなく大切な人が困難な場面に直面したときには優しくなれます。
その相手に対する優しさを自分に向けることがセルフコンパッションです。
セルフコンパッションは、自分に対して優しく接することでストレスや不安を軽くし、自己評価を高めるのに有効な方法です。
セルフコンパッションを行うことで、ポジティブな心の状態を保つことが可能になります。困難な状況に直面した際には、自分に優しい言葉をかけることで、今の自分を受け止めてあげ、穏やかな心で日常生活を送りましょう。
参考文献
[1] マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC)とは何か:展望と課題|大宮 宗一郎 ・富田 拓郎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/64/3/64_388/_pdf/-char/ja
[2] セルフ・コンパッションと「あるがまま」|日本心理学会