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【人間関係リセット症候群とは】セルフチェック、3つの特徴、改善方法を解説
うつ病 / 人間関係リセット症候群
公開日:2024.05.10更新日:2024.05.10
[ Index ]
- 1 SNSや人間関係をリセットしたくなる時はありませんか?
- 2 人間関係リセット症候群とは?
- 3 【人間関係リセット症候群】3つの特徴とセルフチェック
- 4 【人間関係リセット症候群の特徴1】本音をいえる人が少なく、1人でいる方がが安心する
- 5 【人間関係リセット症候群の特徴2】人からどう思われるかを気にする
- 6 【人間関係リセット症候群の特徴3】0か100かの極端なストレス対処をしやすい
- 7 【メンタル疾患との関連にも】注意が必要な人間関係リセット症候群のタイプ
- 8 【うつ病と人間関係リセット症候群】罪悪感から関係をリセットしてしまう
- 9 【発達障害と人間関係リセット症候群】人の言動を極端に受け取ってしまう
- 10 【境界性パーソナリティ障害と人間関係リセット症候群】見捨てられるのが怖く、相手を翻弄させてしまう
- 11 人間関係リセット症候群の原因と改善方法とは?
- 12 【対処法1】嫌な人を無理に忘れようとしない
- 13 【対処法2】自分軸で考える
- 14 【対処法3】SNSを放置しておく
- 15 人間関係をリセットする前に別の方法がないか考えてみましょう
- 16 さいごに
SNSや人間関係をリセットしたくなる時はありませんか?
「本音をいえなくて人と関わるのがしんどい…」
「人間関係が嫌で、SNSのアカウントを消去してしまう」
生きていく上では、誰かしらと関係しており、関係の中ではストレスを抱えることもあるでしょう。上記のように、人間関係でストレスを抱えて、関係を急にリセットしてしまうことは「人間関係リセット症候群」と呼ばれます。
本記事では、人間関係リセット症候群の3つの特徴と改善方法について解説していますので、人間関係に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
人間関係リセット症候群とは?
人間関係リセット症候群とは、関わりのある人との関係を急に絶ってしまう現象を指します。
衝動的に連絡先を消去したり、SNSを退会したりするなど、人間関係のリセットを繰り返してしまうものです。
酷くなると、人間関係がうまく行かずに転職を繰り返したり、複数回の離婚を繰り返したりするケースもあります。正式な病名ではありませんが、背景に何らかの精神疾患や特性上の問題が影響している場合もあるでしょう。
【人間関係リセット症候群】3つの特徴とセルフチェック
人間関係リセット症候群は、どのような特徴があるのでしょうか。
原因や行動の特徴には次の3つに分けられます。
- 本音をいえる人が少なく1人が安心する
- 人からどう思われるかを気にする
- 0か100かの極端な対処をしやすい
3つの特徴について詳しく解説していますので、あなたにも当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。
【人間関係リセット症候群の特徴1】本音をいえる人が少なく、1人でいる方がが安心する
- 本心をいえる相談相手がいない
- 人をあまり信用できない
- 食事や遊びなどは1人行動の方が楽だ
信用できる人が少ないと、本音を話すことに抵抗やハードルが高くなる
人をあまり信用できないと、「本音を話しても分かってくれないだろう」と感じやすくなります。
そのため、心を許せる相談相手がおらず、人間関係でのストレスをため込みがちです。そして、時間が経過する程に、周囲との関係は自然と成熟していくものです、そのためいったんストレスが限界に達すると、気持ちを内に秘めたまま関係を切ってしまうのです。
【人間関係リセット症候群の特徴2】人からどう思われるかを気にする
- 人から嫌われていると感じやすい
- 自分の意見をおさえてしまうことが多い
- 人にどう思われているかが気になりすぎる
自分の意志よりも人からどう思われるかを気にしてしまう「他人軸」の考え方は、人間関係上のストレスをためやすいでしょう。
周囲からのどう見られているのか、これまでの振舞に疲れてリセットしてしまう
人に気に入られようとして、自分の言いたいことを我慢したり、今までの自分の振舞と相手の評価とのストレスに、急に嫌気が差して関係を切ってしまうことがあります。
【人間関係リセット症候群の特徴3】0か100かの極端なストレス対処をしやすい
- 我慢できなくなると、投げやりな行動をとりがち
- 曖昧な状態が苦手で白黒つけたくなることが多い
- 嫌なことがあるとSNSのアカウントを削除してしまう
人間関係が嫌になるというストレスに対して、極端な対処を取ってしまうことが人間関係リセット症候群の特徴です。
ゼロイチという考え方が、リセット癖にも繋がりやすい
「連絡先を消去して一切関わらないようにする」「SNSのアカウントを消去して情報をシャットダウンする」などの行動が挙げられます。
極端な対処を取るのは、「嫌いなのにまだ関係がある」という曖昧な状態が苦手というところが影響していることも多いです。「嫌い=関係を切る」「何らかの理由で飽きた/困った=ゼロから別でやり直す」という極端な対処になることで、リセット癖につながります。
【メンタル疾患との関連にも】注意が必要な人間関係リセット症候群のタイプ
メンタルの疾患の影響により、「人間関係リセット症候群」が引き起こされていることも
人からの評価を気にするあまりストレスをためやすく、極端な対処をとりがちなのが人間関係リセット症候群の特徴です。しかし、「人間関係リセット症候群」が精神疾患や特性のアンバランスさによって生じているケースもあります。
以下の項目に心当たりがある場合は、精神科・心療内科の受診やカウンセリングなどの専門的治療が必要なケースもあるので注意が必要です
【うつ病と人間関係リセット症候群】罪悪感から関係をリセットしてしまう
うつ病とは、気分の落ち込みを主症状とする精神疾患です。
うつ病で罪悪感が強くなり、周囲との人間関係にも敏感になってしまう
気分が落ち込むと、「迷惑をかけている」「自分はいない方がいいのでは」と過度な罪悪感を抱くことがあります。そのため、うつ病の症状としての罪悪感から関係をリセットしてしまうことがあり得ます。
うつ病の他の症状にも注意が必要です
罪悪感から人間関係をリセットしてしまうことに加えて、以下のような症状がみられる場合は、うつ病の可能性があります。
- 興味がなくなる、喜べなくなったなどの気分の落ち込みが2週間以上続いている
- 体重が減った/増えた
- 食欲がなくなった/増えた
- そわそわして落ち着かない
- 考えがまとまらず、集中が続かない
- やる気がわかず、疲れやすい
- 自分に価値がない感覚や罪悪感が強い
- 死について繰り返し考えてしまう
抑うつエピソードのある双極性障害も関連性が
またうつ病と同様に、双極性障害の抑うつエピソードでも同様に「人間関係リセット症候群」との関連もあります。
【発達障害と人間関係リセット症候群】人の言動を極端に受け取ってしまう
『親しい間柄ゆえの、冗談やたとえ話』が、意図しない解釈になってしまうことも
ASD(※)やADHD(※)などの発達障害の特性がある場合、人間関係のストレスを抱えやすく、極端な対処を取ってしまうことがあります。
ASDの特性として、言葉通りに受け取りやすい傾向があります。そのため、人の言動を極端に解釈してしまい、ストレスに感じることが多くなるでしょう。また、ADHDの特性が強いと、衝動的に関係を切ってしまうことにもつながりやすいです。
極端な解釈により人間関係でストレスをためやすく、お互いの認識の齟齬や、一時的な感情で関係をリセットしてしまいやすい状況が起きやすくなってしまうことがあります。
※ASD:自閉スペクトラム症
※ADHD:注意欠如多動症
【境界性パーソナリティ障害と人間関係リセット症候群】見捨てられるのが怖く、相手を翻弄させてしまう
見捨てられてしまう前に、自分から離れようと関係を切ってしまうことも
境界性パーソナリティ障害とは、気分の不安定さや極端な判断をしてしまう傾向などを特徴とするパーソナリティー障害の1つです。物事の捉え方に偏りがあり、感情や衝動をうまくコントロールできないため、安定した人間関係をうまく築けません。
境界性パーソナリティー障害の背景には、「見捨てられ不安」という人に見放されることへの強い不安があります。そのため、仲良くなっても「この人は自分を見捨てるのではないか」という不安を感じてしまうのです。
そして、何かトラブルが生じると、「見捨てられる前に自分から離れよう」と関係を切ってしまうことがあります。自分から離れれば、見捨てられ不安を感じなくて済むからです。
見捨てられ不安を感じないように自分を守ろうとして、人間関係をリセットしてしまうことが特徴といえます。
人間関係リセット症候群の原因と改善方法とは?
【原因】自分が合わせすぎることや、相手が自分に無理して合わせているのではないかという不安に耐えきれない
人間関係をリセットしてしまうのは、曖昧な状態に耐えるのが苦手なことが原因だといえます。
自分は嫌いなのに関係を続けているということに耐えられなかったり、相手が無理しているのでは自分と過ごすことでどう感じているのかという不安に耐えきれなくなって、関係を切ってしまうのです。
曖昧な状態に白黒つけず、「ゆるく」対処することが大切でしょう。具体的な3つの心がけや改善方法を解説します。
【対処法1】嫌な人を無理に忘れようとしない
人間関係を全てリセットしてしまうのは、嫌いになった人を無理に忘れようとする行動の一つでもあるからです。少しでも嫌いな人と触れる機会があると、嫌な感情が湧き上がってきてしまうため、遠ざけてしまいます。
敢えて「ゆるく」繋がっておくと、曖昧な状態でもやり過ごせる、自分のすべきことに目を向けられる状態に
嫌いな人を無理に忘れる必要はありません。かといって、我慢して仲良くしなくてもよいでしょう。「知り合い以上友達未満」くらいの関係性で、「ゆるく」つながっておくことがベストです。
「ゆるく」つながっているうちに、嫌いな人の記憶は徐々に薄れていきます。そして、曖昧な状態でも、多少なら自分の感情をコントロールしながら見過ごせるという状態や、人にとらわれるのではなく、自分が頑張るべきことに力を注げれば、少しづつ自分の成功体験として積み重ねていくことができます。
【対処法2】自分軸で考える
相手の気持ちを基準に考えるような他人に軸がある状態だと、ネガティブな気持ちに巻き込まれやすいでしょう。
自分の事を良く思われていないのではないか?自分に無理して合わせているのではないか?
特に、「迷惑をかけているのではないか?」「させられているのでは?」「我慢しているのでは?」「相手からは良く思われていないかもしれない」と思って嫌気が差しがちです。
自分に軸があり、達成したいと思う目標があれば、「他人は他人、自分は目標に向かって頑張ろう」と思えます。自分に軸があると、納得しながら進められるため、人間関係でのストレスを抱えにくくなるでしょう。
まずは、「自分の気持ち」「自分のペース」とは何か、悩んだ時こそ、少し振り返ってみることは大切です。
【対処法3】SNSを放置しておく
SNSは、アカウントを消去すればすぐに関係を切れるため、人間関係のリセットが起きやすいといえます。一度リセットすると癖になりやすいので、リセットしたくなっても一旦放置しておく方がよいでしょう。
リセットではなく、SNSに振れる時間を減らしてみる
「通知をオフにする」「SNSを見ない時間を作る」など、SNSから一時的に離れるようにして、影響を受けないようにすることが大切です。
人間関係をリセットする前に別の方法がないか考えてみましょう
人間関係リセット症候群は、人を信用できないことや顔色を気にしてしまう傾向など、さまざまなきっかけが原因で、ストレスを抱えて関係を切ってしまうものです。
「リセットする」「消去する」という手法をとって、人間関係でこれ以上傷つかないために、心の安定を守るための方法ともいえますが、関係を切ってしまうこと以外にも、対処方法や見つめなおしてみる考えもいくつかあります。
関係をリセットしたくなったら、一度立ち止まって別の方法がないか考えてみましょう。
ただし、暴力やハラスメントといった被害が及んでいる場合など、本当に離れた方がよい人からは離れる勇気も必要です。
さいごに
人間関係リセット症候群はメンタル疾患とも関連性も高いです。安定した人間関係が築けないと悩んでしまったり、心の不調を感じる場合には、精神科や心療内科,メンタルクリニックを受診し、医師に相談してみましょう。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など