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反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害とは?

反応性アタッチメント障害 / 心理面・思考

公開日:2025.04.24更新日:2025.07.07

反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害とは?

  • 周りの人は仲良くできているのに、なぜわたしだけ仲良くできないのだろう?
  • 気づいたら避けられていることも多い…

このように人間関係で悩んでいませんか?

周囲の人と良好なコミュニケーションをとり、仕事をスムーズにこなしたいですよね。

人と良い関係を築けない原因の一つに、幼少期の養育環境による愛着障害が関係している可能性があります。

この記事では、愛着障害のうち「反応性アタッチメント障害」と「脱抑制型愛着障害」について詳しく解説します。

原因や特徴、関わり方を知ることで自分自身の過去を振り返ってみましょう。

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愛着障害の愛着とは

愛着とは、医学的には特定の人と心の絆を結ぶことをさします。[1]

特定の人とは、親や養育者だけではありません。

子どもは生まれたばかりの頃は誰でもよいので人を求めますが、生後2か月~6か月ごろになると特定の人の声や顔に反応を示し、1歳ぐらいまでに愛着を形成します。

特定の人と愛着を築くことで、子どもは「安全・安心・探索」ができるようになります。

  • 安全➡怖いことや悲しいことから守ってもらえると感じる
  • 安心➡一緒にいると落ち着く、ほっとする
  • 探索➡特定の人から離れても、安心して戻ることができる

愛着障害の原因には、虐待やネグレクトなどさまざまな要因があります。 愛着が形成されなかった子どもは、人と心の絆を築けず人間関係で問題を抱えやすくなります。

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反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害とは

愛着障害は医学的に、以下の2種類に分類されます。

  • 反応性アタッチメント障害(RAD)
  • 脱抑制型対人交流障害(DSED)

これらの障害の原因は、子どもが十分な養育環境を得られなかったことです。

たとえば、保護者が子どもを無視する「ネグレクト」や、日常的な暴力があると愛着の形成が阻害されます。

このような環境では、子どもは保護者と安全・安心な関係を築けません。

その結果、不安定な愛着が生まれ子どもは「保護者のそばにいたいけれど、安全ではない」と感じるようになるのです。

こうした不安定な愛着は、大人になってからも以下のような影響を及ぼします。

  • 自分の感情を抑えることが難しい
  • 周囲の人と関係を築くことが難しい

共通の特徴

反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害の、共通点は以下のとおりです。[1]

  • 理由もなくウソをつく
  • 自分や他人を傷つける
  • 体調不良を起こしやすい
  • 大人を試すような行動をとる
  • 小食で身体が小さいことが多い

ある研究では、これらの障害を持つ子どもは以下のような傾向があると明らかになっています。

  • 行動上の問題を抱えやすい
  • 知的能力が低い傾向がある
  • 複数の精神疾患を併発しやすい

ただし、知的能力の程度は、自閉症スペクトラム症の子どもよりも比較的軽度です。

違い

反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害の違いは以下のとおりです。[1]

🔳反応性アタッチメント障害(RAD)

  • 警戒心が強い
  • 人に頼ることが苦手
  • 自己肯定感が低い
  • 周囲の人を信用できない
  • 人の言葉に傷つきやすい

🔳脱抑制型対人交流障害(DSED)

  • 誰にでも甘える
  • 落ち着きがない
  • わがままな言動が多い
  • 人に対してなれなれしい
  • 周囲の注目を浴びるために大声を出す

脱抑制型対人交流障害の子どもは、新しい養育者や友人との関係を築くのがとくに難しいとされています。

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大人になったときの影響

適切な愛着を築けないまま成長すると、感情が不安定になり人間関係に悩むことが増えます。

たとえば、以下のような行動や言動です。

  • 人を試すような行動をとる
  • 自分の失敗を認めない
  • 「どうせ無理だ」「できない」と考えがち

大人の愛着障害の特徴は以下のとおりです。[1]

  • 人と上手く関われない
  • 情緒が不安定になりやすい
  • 自分の存在意義が分からずに不安を感じる

このような問題を抱えるため、反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害の子どもへの早めの治療的介入が大切です。具体的な治療法については次で解説します。

反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害の治療法

愛着障害の治療には、まず「安全」の確保が最優先されます。

どのような治療を優先するかは、子どもの身体状態や精神状態によって変わります。

たとえば、虐待やネグレクトにより身体状態が悪い場合は、第一に保護者と離すために入院や児童保護施設での保護が第一優先です。

治療には、保護者と子どもの両方が関与することが重要です。

保護者と子どもの関係を良くするために、以下の3つの心理療法があります。

    1.子どもに適切な人間関係のスキルを身につけさせる
    2.保護者と子どもの交流を改善するため、第三者が介入する
    3.子ども個人への心理療法を行う

とくに、保護者と子どもを同時に支援する方が、心の成長に効果的とされています。

反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害の子どもにしてはいけない対応

愛着障害の子どもに対して、以下の対応は避けましょう。

  • ムシする
  • 強く叱る・注意する
  • 不適切な行動の理由を尋ねる

愛情を示さない対応をすると、不適切行動が増える可能性があります。

また、「なんでそんなことをするの?」と理由を聞いても、子ども自身も理解できていないため、追い詰めることになります。また、強く叱ったり注意をしたりすると、子どもは追い詰められてしまうため、肯定的で前向きな言葉への言い換えが大切です。たとえば、「そんことしちゃダメ!」と注意するのではなく「こうするともっと上手くできるよ」と伝えてみましょう。

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まとめ

反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害は、幼少期の養育環境が影響し、人との関係を築くことが難しくなる障害です。

愛着障害が医学的に反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害に分類されます。

それぞれの障害には違いがあり、発達障害や精神疾患を併発することも多くあります。

子どもの安全を確保し、保護者と子どもが適切な関りを持てるように治療を行うことで、愛着を形成することができるでしょう。

参考文献

愛着(アタッチメント)|厚生労働省 令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 日本総研

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/column/opinion/detail/202304_mhlwkodomo_another21.pdf