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強迫症ってどんな症状のタイプがあるの?

強迫性障害

公開日:2024.05.14更新日:2024.11.14

強迫性障害について紹介をしています

強迫症は、自分ではやめたいと思っているのにその行為を自分で止めることができないことです。「手を何度も洗ってしまう」などが代表的です。ここでは、強迫症について病気の傾向や症状の他、強迫症・強迫性障害の症状のタイプ、さらには治療、受診の目安、家族はどのように接したらよいかなどについてお話します。

強迫性障害とはどんな病気?

強迫症の症状を紹介します。何度も手を洗うことなど、自分の行動をばかばかしいと感じているのに、手が汚れているのではないかと気持ちが落ち着かずやめられません。本人も苦しい思いをしています。

◆強迫観念:不快な思いを断ち切ることができないこと

◆強迫行為:不快な思いを解消するために繰り返す行動のこと

強迫症の特徴とは

発症年齢の他、人数の割合、症状のでかた、治癒率などについて解説します。

強迫症の平均年齢について

強迫症の発症の平均年齢はおよそ20歳、 男性では平均約19歳、女性は平均22歳です。 全体の2/3の患者は25歳以上に発症し、15%未満は35歳以降に発症します。

強迫症になる割合

ひとりの人が一生のうちで強迫症になる割合は、2~3%と推定されています。精神患者の外来患者のおよそ10%にこの病気があるという研究報告もあります。

強迫症の症状のでかた

50~70%は妊娠、性的問題、近親者の死亡などのストレスフルなできごとの後に発症することが多い傾向です。患者の多くは、自分の症状を隠しながら対処しようとしてするため、症状が現れてから受診するまでに遅れが生じる可能性があります。

強迫症の治癒率

20~30%の患者では症状が著しく改善しますが、40~50%は中等度の軽快にとどまります。残りの20から40%の患者では病気がそのまま持続するか、症状が悪化する傾向です。

【強迫症の症状のタイプ】主な6種類を紹介!

強迫症の症状には様々なタイプがあります。次に紹介する6種類のタイプのほか、数を数える、ドアの出入りや階段の上り下りを繰り返す、生活からかけ離れた過剰な祈りなどのこだわりが見られることがあります。

【強迫症の症状のタイプ1】汚染恐怖・不潔恐怖

強迫症の中で最も多く見られるタイプです。本人が不潔だと感じるものに対して、回避しようとする行動をとります。恐怖の対象となるものは、便・尿・埃・虫などです。手を洗いすぎて手が荒れてしまったり、虫や埃などが怖くて家を出ることができなかったりすることもあります。最も多い反応は不安ですが、正常を逸脱するような嫌悪感もよく見られる傾向です。本人は、ほんのわずかでもそれらに触れるだけで、汚染はものからものへ、人から人へと広がると信じてしまいます。

【強迫症の症状のタイプ2】加害恐怖

「誰かに危害を加えたかもしれない」という不安が消えず、そのことが頭から離れません。自分のことを警察に通報してしまうこともあります。

【強迫症の症状のタイプ3】確認行為

「ストーブを消し忘れたかもしれない」「鍵をかけ忘れたかもしれない」といった不安から、それを確認するために何度も家に戻ってしまいます。本人は、常に「あることを忘れてしまった」「何かをしてしまった」という罪悪感を感じ、そのことがいつも頭から離れない状態です。

【強迫症の症状のタイプ4】不完全なものへの感覚

不完全なものや対象的ではないものに対する特別な感覚があります。おさまりが悪い感じが気持ち悪く、何度も片づけるなどの同じ行動を繰り返します。例えば、何時間も時間をかけて食事をしたりひげを剃ったりすることなどです。

【強迫症の症状のタイプ5】儀式行為

自分が決めた順番で家事や仕事などを行わないと気持ちが落ちつきません。そうしないと、よくないことが起きるのではないかと気持ちが落ち着かず、臨機応変に考えられないのです。

【強迫症の症状のタイプ6】数字へのこだわり

不幸を招く数字や幸運な数字ついて、縁起が良い・悪いという範囲を超えてこだわります。

他の疾患との関連は?

脅迫症のおよそ3分の1にうつ病が認められます。また、強迫症患者の方が、長期的に病状が継続してしまったり、重傷な症状になりやすいなどの、良くない経過をたどる要因として、次のことが挙げられます。

◆強迫行為に没頭してしまっていること
◆小児期の発症
◆奇妙な強迫行為
◆入院の必要があること
◆うつ病の合併
◆妄想的信念

強迫症の治療

強迫症の主に次のような治療方法があります。

薬物療法

はじめに、抗うつ剤のSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)を使用して、強迫症状や抑うつ、不安などの状態を安定させることが多いです。服薬量はうつ病よりも高用量かつ長期の服用が必要となります。状態が安定したら、そのあとで認知行動療法を行います。

認知行動療法

一般的に、薬物療法と合わせて認知行動療法(暴露反応妨害法)を行います。やめたいと思っていても自分でやめられない行動の不安に対して、その行動をしないように促し我慢してもらうのです。例えば、「不潔と感じているものを触っても手を洗わない」などです。このような治療を続けていくと、不安が弱まり手を洗わなくても苦しくなくなっていきます。

ですが、急にこれらの治療方法をとることは逆効果にもなりかねません。あくまでも症状が少しづつ越えられそうな場面や体調の状態で取り組むのが大切です。

強迫症の受診の目安

受診の目安は、何らかの「強迫観念」と「強迫行為」の症状があり、本人や家族がストレスに感じていたり日常生活に影響があったりする場合です。このようなときには、受診を検討してみてください。

周囲の人はどのように関われば良いですか?

患者の指示に従うのではなく、治療への理解や協力を

強迫症状が強かったり長期間にわたったりする場合、周りの人々にも影響を及ぼします。部屋のすみまでアルコールで拭いたり、家族が少し触ったものでも不潔に感じて自分では触れなくなってしまったりすることがあります。そのため、家族にもストレスとなり、家族の関係性に悪影響を与えるのです。1日何回もしつこく「大丈夫かな」と言われるため、家族の方が疲弊してしまいます。

強迫症の治療は、家族の理解と協力が不可欠です。しかし、それは患者に従うということではありません。強迫症は病気であること、本人もやめられずにその感情に苛まれていること、症状の改善のためには専門家のアドバイスに沿った対処が必要であると理解することが大切です。

強迫症は意思の弱さから来るものではありません

強迫症は意思の弱さなどから起こっているものではなく、脳の伝達物質の働きが何らかの異常を起こして起こる病気です。治療には時間がかかるため、家族にはあせりや戸惑いがあるかもしれません。周囲の人は、自分の心身の健康に留意し、患者の苦しみを理解して見守るようにできるといいでしょう。

まとめ

強迫症について、傾向や症状のタイプの他、治療、受診の目安、家族はどう接したらいいかなどについて解説しました。やめたいのに自分でその行為や考えをやめることができず、日常生活に影響がある場合は、一度受診してみましょう。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など