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知的発達症・知的能力障害とは

2024.05.312024.06.11

知的発達症群

知的発達症・知的能力障害とは

知的能力障害とは、知的発達の障害のことをいいます。一般的に、IQ(知能指数)が特定の基準以下であり、日常生活や社会での適応に困難を経験する状態です。今回は、知的能力障害について定義や特徴、原因、知的能力障害の社会の対応と支援の変遷、重症度について解説します。

定義と特徴

知的能力障害は、IQが通常よりも低い基準(一般的には70未満)であることが特徴です。しかし、IQのみで判断されるわけではなく、日常生活の機能や社会的適応性、学習能力などについても総合的に判断されます。主な特徴としては、学習や社会的スキルの習得に遅れが見られ、コミュニケーションや日常生活の自立などに支障をきたすことが多い傾向です。

米国知的発達障害学会によると、知的能力障害は18歳までに現れる明らかな知的機能(推論・学習・問題解決能力)障害と適応行動(概念化能力・生活を送る能力)障害の両方を伴う障害と定義されています。

原因

知的能力障害の原因はさまざまで、遺伝的要因、母体の健康状態、出生時の問題、脳損傷、感染症、環境要因などが関与することがあります。また、胎児期や幼児期の脳の発達に影響を与える要因も関連しています。

知的能力障害の社会の対応と支援の変遷

知的能力障害の社会の対応と支援は、過去から現在にかけて大きく変遷してきました。ここでは、その変遷を時代ごとにまとめました。

施設主義(1800年代)

過去、知的能力障害者は施設に収容され、社会から切り離された環境で生活させることが一般的でした。知的能力障害者は「特別な」存在と見られ、社会から孤立した状態におかれていたのです。

脱施設化(1960年代後半)

知的能力障害をもった子どもに対して、施設を活用するという方法は1900年代半

にピークに達しました。その後、施設の環境的な問題があり、1960年代後半以降は、知的能力障害をもつ子どもが施設に入ることはほとんどなくなりました。

ノーマライゼーションの考え方(1980年代)

「完全参加と平等」をテーマとした国際障害者年(1981年)などの制定は、日本の障害者施策に大きな影響を与えました。1970年代から1980年代にかけて、ノーマライゼーション(正常化)の考え方が台頭しました。これは、障害者も一般社会で自立して生活し、社会的な権利を享受すべきだという考え方です。障害者が施設に収容されることなく、自分の選択に基づいて生活できるようにすることが重視されました。

インクルーシブ教育の普及(1990年代以降)

1994年の「サラマンカ宣言」の影響によって、インクルーシブ教育の考え方が広まりました。日本では、2010年に文部科学省から正式にインクルーシブ教育理念の方向性が示され、インクルーシブ教育が推進されてきました。これは、障害者を特別視するのではなく、一般の学校に通いながら必要な支援を受けるというアプローチです。障害者も一般の教育環境で学び、社会とのつながりを築くことを目指しています。

個別支援と包括的なアプローチの推進(現代)

現代では、知的能力障害者に対する個別支援が充実しつつあります。教育や雇用分野においては、個々のニーズに合わせた支援やプログラムが提供され、日常生活での自立支援や社会参加支援も強化されています。

また、個別支援だけでなく、包括的なアプローチも推進されています。これは、障害者の生活全般にわたるサポートを提供し、自立した生活を送るための支援を総合的に行うという考え方です。専門家や家族、地域社会と連携しながら、障害者が豊かな人生を送るための環境を整備することが重視されています。

知的能力障害への支援は施設主義からノーマライゼーション、インクルーシブ教育、そして個別支援や包括的なアプローチへと変遷してきました。社会全体がより多様性を尊重し、障害者も自立して社会に参加できる環境が整備されてきたと言えます。

知的能力障害の重症度

知的能力障害は、症状の重さに応じた重症度の分類がされています。一般的に、アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)に基づいています。

軽度知的障害

軽度知的障害は、一般的にはIQが約50から70程度の範囲にあり、学習や社会的なスキルの獲得に遅れが見られることはあります。しかしながら、学校や職場でサポートを受けて、比較的自立した日常生活を送ることが可能な場合があります。

中等度知的障害

中等度知的障害は、IQが約35から49程度の範囲にあり、日常生活や社会での適応において困難を経験する状態です。認知能力や学習能力において明確な遅れが見られ、自立生活や社会参加に支障をきたすことがあります。言語能力やコミュニケーション能力にも制限があり、一般的な学習や社会活動において、専門的な支援や施設でのケアが必要とされることが多い傾向です。熟練をあまり必要としない仕事を適切な監督のも とで行うことができるようになる可能性もある。

重度知的障害

IQが約20から34程度で、認知能力や学習能力に非常に大きな遅れがあり、基本的な日常生活やケアにおいて高度な支援が必要とされます。言語やコミュニケーション能力が限られており、 自己表現や他者との関わりが難しいことが特徴です。重度の知的障害を持つ人々は、基本的な自己ケアや生活スキルを習得することが困難で、自立した生活を送ることが難しい場合があります。専門的な施設や個別のケアが必要な状態です。

最重度知的障害

IQが20未満であり、認知能力や学習能力が非常に低く、基本的な日常生活やコミュニケーションなど、ほぼ全ての領域で支援が必要です。言語の理解が非常に限られており、言葉を使ってのコミュニケーションが困難で、日常生活のほとんどの側面で高度な支援やケアが必要となります。また、行動や感情の制御も難しいことがあります。特別な施設や専門的なケアが必要です。

これらの重症度による分類は、個々の障害者の能力や必要な支援に応じて調整されることがあります。医療や福祉の専門家が総合的な評価を行い、知的能力障害の重さや特性を理解し、適切な支援やケアを提供するための基準として利用されます。

まとめ

知的能力障害について定義や特徴、原因、知的能力障害の社会の対応と支援の変遷、重症度について解説しました。知的能力障害では、日常生活や社会での適応に困難を経験する状態で、軽度~最重度の4つの重症度に分類されています。知的能力障害への支援は、施設主義からノーマライゼーション、インクルーシブ教育、個別支援や包括的なアプローチへと変遷してきました。社会全体がより多様性を尊重し、障害者が社会参加する環境が整備されつつあります。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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