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うつ病の人がとる行動の特徴とサインとは?
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公開日:2025.03.28更新日:2025.03.30
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うつ病は行動に現れる?
「うつ病」と聞くと、多くの人が「気分が落ち込む」「やる気が出ない」といった症状を思い浮かべるかもしれません。しかし、うつ病は単に気分の問題ではなく、行動や言動にもさまざまな変化をもたらします。職場や家庭での振る舞い、人とのコミュニケーションの仕方、さらには表情にまで影響を与えることがあるのです。
そして、うつ病は、本人が気づかないうちに行動に現れ、周囲の人が先に変化に気づくことも少なくありません。本記事では、うつ病の人にみられる特徴的な行動や言葉、表情の変化を解説し、どのように対応すればよいのかについて記事で紹介いたします。
職場・家庭・日常で現れるサイン
うつ病のサインは、生活のさまざまな場面で現れます。特に、以下のような行動変化が見られる場合は注意が必要です。
職場での変化
✅ 遅刻や欠勤が増える
✅ 仕事のミスが多くなる
✅ 以前に比べてパフォーマンスが低下
✅ 急に仕事への意欲を失い、出社を拒む
「ただの怠け」と見られがちですが、うつ病が原因である可能性もあります。特に、職場の人間関係や過度なストレスが背景にある場合は要注意です。
家庭での変化
✅ 会話が少なくなる、返事をしなくなる
✅ 以前は楽しんでいた趣味をやめる
✅ 家族との関わりを避け、部屋に閉じこもる
家庭では「疲れているのかな?」と見過ごされることが多いですが、これらの行動が長期化する場合は注意が必要です。
日常生活の変化
✅ 外出を避ける
✅ 食事の量が極端に減る、または増える
✅ 睡眠パターンの乱れ(不眠、過眠)
✅ 身だしなみに無関心になる
日常生活の中で、明らかに行動が変わってきた場合、うつ病が関係している可能性があります。
うつ病の人が発する言葉の特徴・傾向
言葉の使い方にも、うつ病のサインが隠れていることがあります。以下のような言葉が頻繁に出る場合は、心理的な負担が大きくなっている可能性があります。
「不幸だ」「もう終わりだ」
うつ病の人は、極端にネガティブな表現を使うことが多くなります。「どうせうまくいかない」「何をやっても無駄」といった言葉が増えるのは、自己評価が低下している証拠です。
「絶対」「すべき」「しなければならない」
「完璧でなければならない」「失敗してはいけない」など、極端な思考パターンに陥ることが特徴です。これは、認知の歪みの一つであり、理想と現実のギャップがストレスとなっています。
「僕は」「私が」「自分からすると」
一人称を多用し、自分の考えに閉じこもる傾向があります。周囲への関心が薄れ、コミュニケーションが減っていく兆候でもあります。
顔の表情にもサインが?
うつ病は言葉や行動だけでなく、表情にも影響を与えることがあります。
✅ 無表情が増える
✅ ぼんやりしていることが多い
✅ 作り笑いが増える
✅ 悲しそうな顔をしている
✅ 顔色が悪い、疲れた印象がある
これは、心のエネルギーが低下し、感情表現が乏しくなるために起こる現象です。
じゃあどうすればいい?適切な対応方法
うつ病の人に接するときは、「励まし」や「叱咤激励」は逆効果になることが多いです。代わりに、以下のような対応を心がけましょう。
🔹 相手の話を否定せずに聞く
🔹 「頑張れ」と言わず、「大変だったね」と共感する
🔹 無理に会話を続けようとせず、そっと寄り添う
🔹 生活リズムが整うようサポートする(食事や睡眠を整える)
🔹 必要ならば医療機関への受診を勧める
無理せず、早めのご受診を!
「ただの疲れ」「気の持ちよう」と思い込んで放置すると、うつ病は悪化することがあります。特に、生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
また、本人が受診をためらう場合は、家族や友人がサポートしてあげるのも大切です。うつ病は以前は「心の風邪」と言われるほど誰にでも起こりうるものであり、その病気への社会的な理解も適切に進んできています。つらいと思った時は、我慢しすぎたり自分で抱え込みすぎず、精神科や心療内科,メンタルクリニックなどの医療機関での治療や診療を受けることも大切です。
参考文献
- 厚生労働省「こころの耳:うつ病の症状と対処法」https://kokoro.mhlw.go.jp/
- 日本精神神経学会「うつ病診療ガイドライン」https://www.jspn.or.jp/guideline/
- 世界保健機関(WHO)「Mental health: Depression」https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/depression
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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