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パニック発作は怖くない?脳の誤作動を優しく解説します
不安症・不安障害 / パニック症・パニック障害 / パニック発作
公開日:2025.03.15更新日:2025.04.03
[ Index ]
パニック発作のメカニズムについて
突然の激しい動悸、息苦しさ、手足の震え、そして「このまま死んでしまうのでは?」という強烈な恐怖…そんなパニック発作を経験すると、誰でも怖くなってしまいますよね。
でも、実はパニック発作そのものは命に関わるものではなく、脳の「誤作動」が引き起こしている現象でもあるのです。今回は、その仕組みをやさしく解説し、恐怖心を和らげるためのヒントをお伝えします。
そもそもパニック発作とは?
パニック発作は、何の前触れもなく突然起こる激しい不安や恐怖を伴う発作です。具体的には次のような症状が現れることが多いです。
- 激しい動悸、心拍数の増加
- 息苦しさや過呼吸
- 冷や汗、震え、めまい
- 胸の痛みや圧迫感
- 手足のしびれや感覚異常
- 「このまま死んでしまうかも」という恐怖感
- 現実感喪失や、自分が自分でないような感覚
これらの症状が一気に襲ってくるので、「心臓発作かも?」「呼吸ができない!」と思ってしまう人も少なくありません。
パニック発作の正体:脳の誤作動とは?
パニック発作の背後には、脳の「誤作動」があります。具体的には、脳の扁桃体(へんとうたい)や視床下部といった、不安や恐怖を司る部分が過剰に反応してしまうのです。
本来、脳は私たちを危険から守るために「闘争・逃走反応」を発動させます。例えば、突然猛獣に襲われそうになったとき、心拍を早めて酸素を体中に送ったり、筋肉を緊張させたりして「戦うか、逃げるか」の準備をする仕組みです。
ところが、パニック発作では、実際には危険がないのに脳が「今すぐ逃げろ!」と誤った警報を鳴らしてしまいます。その結果、動悸や息苦しさといった「戦闘モード」が起きてしまうのです。まるで火事もないのに火災報知器が大音量で鳴ってしまうようなものですね。
「死んでしまうのでは?」その恐怖も脳の仕業
パニック発作が怖いのは、身体の症状だけでなく、圧倒的な恐怖や絶望感も伴うからです。でも、これも脳の仕組みを知ると、少し安心できるかもしれません。
発作時に脳内では、ノルアドレナリンという「危険だ!」と判断させる物質が大量に放出されます。これが心拍数を上げ、呼吸を速めるだけでなく、強い恐怖感や「自分が壊れてしまう」「助からない」という極端な考えを引き起こすのです。
でも、これらの感覚もあくまで一時的なもので、脳の誤作動が落ち着けば元に戻ります。身体に後遺症を残すこともないので、決して「自分が壊れてしまう」ことはありません。しかし、これらの一連の発作に伴い、恐怖や不安といった感情面はより強く刷り込まれていってしまうのです。
発作が起きたときの対処法
パニック発作は怖くない…そう頭で理解しても、いざ発作が起きると冷静でいられないのが普通です。そこで、発作中でも実践しやすい対処法をいくつかご紹介します。
「これはパニック発作だ」と自覚する
「今起きているのは脳の誤作動。危険ではない」と繰り返し自分に言い聞かせましょう。頭では分かっていても…どうにも辛い時には、敢えて声に出して、つぶやいてみるのも手です
呼吸をゆっくり整える
息苦しさを感じるとつい早く呼吸してしまいますが、逆に酸素を取り込みすぎて過呼吸を引き起こしてしまいます。4秒吸って、4秒止めて、4秒吐くリズムを意識すると落ち着きやすくなります。
体を動かす・感覚を変える
足踏みをする、手を冷たい水で洗う、ガムを噛むなど、意識を身体の他の感覚に向けるのも効果的です。
パニック発作を繰り返さないために
発作を経験すると「また起きたらどうしよう」と考えてしまいがちです。この「予期不安」が新たな発作を引き起こす原因になることもあります。
そんなときは無理をせず、心療内科やメンタルクリニックで相談するのも大切です。薬物療法や認知行動療法、精神療法を受けることで、発作の頻度を減らしたり、不安を和らげたりすることができます。
まとめ
パニック発作は決してあなたを壊すものではなく、脳の誤作動による一時的な現象です。怖く感じるのは当然ですが、「これは脳の誤作動による一時的な現象」と知ることで、少しでも恐怖を和らげることができるはずです。
しかし我慢しすぎたり、一人で抱え込みすぎず、必要なときは精神科・心療内科などの専門家に頼りながら、治療ケアを進めることも大切です。