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身体化障害について
身体症状症・身体表現性障害・心気症 / 身体化障害 / 身体表現性障害
公開日:2024.05.11更新日:2024.05.11
身体化障害
身体化障害とは、器質的には問題ないにもかかわらず、色々な身体症状が繰り返し生じてしまうという精神疾患です。
どんな症状が現れやすいのか
身体化障害では身体症状が見られますが、特に見られやすい症状としては、消化器系(嘔吐、痛み、悪心)、皮膚感覚系(かゆみ、痛み、しびれ)、できもの、月経などの症状が挙げられます。症状はあるけれども身体的な原因はないのでどうしようもできないため、慢性的で動揺性(症状が揺れ動くこと)の経過をとることが多いです。
病院にかかったり、詳細な検査を求めることも
症状が継続することにより、病院にかかって、詳細な検査を求めることもあります。また、検査で異常がないことを確認でき、医者からの説明や説得もあって、最初は数週間は結果を受け入れることができても、しばらくすると頑なに拒否をしてしまうことが特徴です。
周囲の人との人間関係も崩れてしまいやすい
そのため、「また嘘をついている」と家族から理解されない、仕事を転々とせざるを得ないなど、社会・対人関係・家族など広範囲で問題を抱えることになることもあります。
身体化障害の診断基準について
ICD-10ではF45にて身体表現性障害、さらにF45.0での身体化障害について記載をしております。
ここでは、身体化障害の診断基準について紹介をいたします。
診断基準A
2年以上に及び、身体症状の訴えが存在している。かつその身体症状を説明する身体的な障害が存在しない
診断基準B
身体化症状へのこだわりが強く、3回以上医師への相談・受診を繰り返してしまう
診断基準C
身体的原因となる異常がハッキリ認められないことを、医師から説明を受けたり、結果から証明されても、数週間は納得できるが、その後にすぐにまた、何か病気などがあるはずであると強固に拒否をしてしまう。
診断基準D
以下の症状群を2系統以上満たし、合わせて6つ以上の症状を認めている
◆消火器症状
1)腹痛
2)悪心
3)腹満感
4)口内違和感
5)嘔吐・逆流
6)腸蠕動の亢進や下痢
◆循環器症状
7)安静時の息切れ
8)胸痛
◆泌尿器症状
9)排尿困難または頻尿
10)生殖器の不快感
11)膣分泌の変化と以上
◆皮膚と疼痛症状
12)皮膚のシミや変色
13)手足・上下肢、間接の痛み
14)不快なしびれやひりひりする感覚
診断基準E
統合失調症や気分障害やパニック障害などでは説明できない
上記A~Eを満たすことが「身体化障害」の診断には大切です
身体化障害と心気障害では以下の2つの違いがあります
不安を抱く対象は、身体化障害では「身体症状の存在」が大きいですが、心気障害では「◎◎という病気ではないか」と具体的に思い込んでいる疾患自体の存在と今後どうなるかです。
そのため、身体化障害では症状への治療と改善を求めるのに対して、心気障害ではまずは疾患を確証するための診断や検索を行うことが比較的に強く、多いと言われています。
身体化障害では苦痛を感じる症状が変化しますが、心気障害でとらわれる身体疾患は、確信的には少なくとも1つ、持続的には複数つまりは2つ以上であることになります。
最後に
今回は身体化障害について解説をいたしました。身体症状の継続や、その内容、更には医師への相談受診と、検査結果による説明にも抵抗感が出てしまう特徴のある疾患でもあります。周囲の人間関係ともぎくしゃくしてしまいがちですが、身体症状の存在により本人自身が強く悩まれている事実があるということにも十分な配慮が大切です。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など