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「自己否定について」責めすぎてしまうのは、心の負荷からかもしれません
内的批判・自己否定 / うつ病 / 不安症・不安障害
公開日:2025.06.27更新日:2025.06.27
[ Index ]
心への負荷から現れる、「自分への厳しさ」「自己否定について」
同じミスをしても、他人には「大丈夫だよ」と言えるのに、自分には「何やってるの、またか」と責めてしまう。
「まだ頑張れていない」「もっとやれるはず」と、休むことを許せない。
こうした“自分にだけ厳しい”思考を持つ人は、一見すると意識が高く、真面目で責任感が強いと評価されがちです。しかし、その内側では慢性的な心の疲労や自己否定感が深く進行していることもあります。
こころの不調や疲労が大きく関係している時には、「自分への厳しさ」や「自己否定について」が上手くコントロールできないことも少なくありません。
ここでは、「自分への厳しさ」「自己否定について」解説を行っております。
“内なる批判の声”とは何か
心理学では、自分自身を強く責め続けるような内面の言葉を「内的批判者(inner critic)」と呼びます。これは単なる反省ではなく、過度に厳しい評価や否定的な自己対話を意味します。
たとえば
- 「うまくいかないのは自分の努力不足」
- 「あの程度で疲れるなんて甘えている」
- 「ミスをするなんて価値がない」
こうした言葉を、自分に向け続けていないでしょうか?
自己批判が強い人に多い傾向
内なる批判が強い人には、以下のような傾向がみられることがあります。
◉ 完璧主義
成果や他人からの評価に強くこだわり、「ベストを尽くせなかった自分」を受け入れにくい。
◉ 成育歴の影響
「もっと頑張れ」「失敗しちゃダメ」と育てられた経験や、家庭での無言のプレッシャーが、無意識の自己評価基準として残ることがあります。
◉ 自尊感情の低さ
自分に対してポジティブな評価ができず、「頑張らなければ価値がない」という条件付きの自己肯定感に陥ることがあります。
◉ HSP・ASDなどの特性
感受性が高く、物事の細部や周囲の反応を敏感に受け取りすぎる結果、「自分の至らなさ」に目が向きやすい傾向があります。
自分への厳しさが生む“心の落とし穴”
過度な自己批判は、以下のような心理的・身体的影響をもたらします。
- 疲れても休めない(強制的な頑張り)
- 些細なミスでも過剰に反省し、自信を失う
- 他者の評価に極端に敏感になる
- 成功しても「まだまだ」と満足できない
- うつ・不安障害のリスクが上がる
- 睡眠障害や胃腸の不調など、身体症状が現れることも
常に「もっとやらなきゃ」と脳と心にムチを打ち続けている状態は、本人が気づかないうちに限界を超えていることも少なくありません。
では、どうすれば“内なる批判”を弱められるのか?
① “根拠のない基準”に気づく
「ちゃんとしなきゃ」「迷惑をかけたら終わり」など、自分の中にある【無意識のルール】に気づくことが第一歩です。それは本当に絶対必要なルールでしょうか? それとも、過去の経験や思い込みによるものではないでしょうか?
② 自分への言葉を“他人にも言えるか”で確認する
失敗した自分にかけている言葉を、親しい友人が同じミスをしたと仮定して「親しい友人」にも投げかけられるか考えてみてください。言えないのであれば、それは批判ではなく過剰な攻撃でもあります。
③ “自分への共感”を学ぶ
マインドフルネスやセルフ・コンパッション(自分への思いやり)といった心理的スキルは、内なる批判を鎮めるための有効な方法でもありますす。
「今の自分を責めるのではなく、まず理解してみる、共感できるところを考えてみる」ことが、疲弊からの回復の一歩になります。
④ 専門家のサポートを受ける
自己批判の背後には、長年形成されてきた思考パターンや心の傷があることも少なくありません。またそれらをきっかけとして、心の不調や疾患に繋がっていることも少なくありません。
心療内科や精神科では、精神療法や認知行動療法などを通じて「責める以外の選択肢」を身につけるサポートや、心の不調に対する治療やケアをご提供しています。
「厳しさ」よりも、「適切な評価」が心を守る
自分に厳しいことは、短期的には成果を出す原動力になることもあります。しかし、常に自分を責め続けていては、どれだけ成功しても「まだ足りない」という終わりのない苦しみに陥ってしまいます。
本当の意味での成長とは、失敗や休息を許しながら、自分の状態に合った判断ができる力を育てることでもあります。
「厳しすぎる自分」「否定的な自分」に気づいたときが、見直すタイミング
- なぜ自分だけをこんなに責めてしまうのか
- どこまでやれば満足できるのか
- 疲れているはずなのに、なぜ休むことに罪悪感があるのか
こうした疑問が浮かんできたら、それは“内なる批判”が日常を支配しているサインかもしれません。
「自分を甘やかしてはいけない」という声の裏にある、過去の経験や無意識の不安や葛藤に目を向けることは、心の健康を取り戻すための大切なステップです。
名古屋ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院は名古屋駅から徒歩1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックです。お気軽にご相談くださいませ。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など