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イライラが止まらない時|うつ病との関係「原因と対処法」
易怒性・易刺激性 / 非定型うつ病 / うつ病
公開日:2025.03.28更新日:2025.03.29
うつ病とイライラの関係
うつ病と聞くと、「落ち込む」「元気がない」「無気力」といったイメージが強いかもしれません。しかし、実際にはすべてのうつ病患者がそのような症状を示すわけではなく、なかにはイライラしやすくなったり、怒りっぽくなったりするうつ病のケースもあり、感情のコントロールが難しくなり、小さなことにも過敏に反応しやすくなることが特徴的です。
こうしたイライラや怒りは、本人だけでなく周囲との関係にも悪影響を及ぼしやすいため、適切な対処が不可欠です。この記事では、うつ病とイライラの関連性、具体的な原因、そしてその対処法について詳しく解説していきます。
そもそも「イライラ」とは?
私たちは日常生活の中で、多かれ少なかれ「イライラ」を感じることがあります。これは、自分の思い通りに物事が進まないときや、ストレスが溜まったときに生じる心理的な反応です。
医学的には、イライラしやすい状態を「易怒性(いどせい)」、ちょっとした刺激に過敏に反応する状態を「易刺激性(いしげきせい)」と呼びます。これらの特徴が強く表れると、普段なら気にしないような出来事に強い怒りを感じたり、他人とのトラブルを招いたりすることがあります。
➡「イライラするのは性格?それとも病気?ストレスと脳のメカニズム」についての記事はこちらから
うつ病の症状としてのイライラや怒り
うつ病に関連したイライラや怒りは、一般的なストレスによるものとは異なり、長期間にわたって持続する傾向があります。以下のような特徴が見られることが多いです。
- 些細なことに強く反応する➡普段なら気にならないようなことに対して、過剰に苛立ちを感じる。
- 敵対的な態度を取ることが増える➡周囲に対して攻撃的になりやすく、怒鳴る、物に当たるなどの行動が見られる。
- 突然の怒り発作➡何の前触れもなく強い怒りが湧き上がり、衝動的に行動してしまう。
- 怒りの後に後悔や罪悪感を抱く➡自分の感情をコントロールできなかったことに対して、自己嫌悪に陥る。
このような症状が続くと、人間関係が悪化するだけでなく、仕事や日常生活にも大きな影響を与えるため、適切な対応が求められます。
うつ病によるイライラの原因
では、なぜうつ病になるとイライラしやすくなるのでしょうか?主な原因として以下のようなものが考えられます。
(1) 神経伝達物質のバランスの乱れ
うつ病では、セロトニンやドーパミンといった脳内の神経伝達物質の働きが低下することが知られています。これらの物質は、気分を安定させる役割を持っていますが、不足すると感情がコントロールしにくくなり、イライラや怒りっぽさが強まることがあります。
(2) 睡眠不足や疲労
うつ病になると、不眠や過眠などの睡眠障害が起こることが多く、慢性的な疲労を感じやすくなります。十分な休息が取れない状態が続くと、心の余裕がなくなり、些細なことにも敏感に反応してしまいます。
(3) ストレスの蓄積
仕事や人間関係のストレスが溜まり続けることで、うつ病の症状が悪化しやすくなります。ストレスを発散する手段がないと、怒りが溜まり、突発的に爆発してしまうこともあります。
(4) 自己評価の低下
うつ病になると「自分はダメな人間だ」「何をやっても上手くいかない」といった否定的な思考が強まりやすくなります。その結果、周囲の何気ない言動に過敏に反応し、イライラしやすくなるのです。
➡「イライラを引き起こすストレスとその影響を理解する」につい紹介しています
イライラを予防・対処する方法
うつ病によるイライラや怒りを抑えるためには、以下のような対策が有効です。
(1) 生活習慣を整える
- 睡眠の質を向上させる:規則正しい生活を心がけ、リラックスできる環境を作る。
- 適度な運動を取り入れる:ウォーキングやストレッチを行うことで、ストレスを軽減できる。
- 栄養バランスの取れた食事を心がける:セロトニンの分泌を促す食品(バナナ、乳製品、ナッツ類など)を意識的に摂る。
(2) 環境を変える
- ストレスの原因から距離を置く:可能であれば、一時的にストレスの元となる環境から離れる。
- リラックスできる時間を作る:趣味や好きな音楽を楽しむことで、気持ちを落ち着ける。
(3) 誰かに相談する
- 信頼できる人に話す:家族や友人に悩みを打ち明けるだけでも、気持ちが軽くなることがある。
- 医療機関などを利用する:専門家に相談することで、適切なアドバイスをもらえる。
(4) 医療機関の受診を検討する
- 精神科・心療内科の診察を受ける:症状が重い場合は、薬物療法や精神療法を取り入れることも考慮することは必要です。
まとめ
イライラや怒りは、うつ病の症状の一つとして現れることがあります。特に、些細なことに過敏に反応したり、突発的に怒りが爆発したりする場合は、感情のコントロールが難しくなっている可能性が高いです。
生活習慣の見直しやストレスの軽減、適切なサポートを受けることで、イライラを抑えることができる場合もあります。
しかし、日常生活に支障をきたすほど強い怒りや苛立ちを感じる場合は、精神科や心療内科,メンタルクリニックなどの医療機関に相談することをおすすめします。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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