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Hidamari Kokoro Clinic
不安神経症
不安神経症
公開日: 2022.05.06 更新日:2024.11.02
[ Index ]
不安神経症とはなにか
不安神経症とは、不安症(AD)・神経症の分類の一種
ICD-9 においては存在していた不安神経症の記載が、ICD-10では不安神経症の記載がなくなったのを境に。
現在の臨床では全般性不安障害(不安神経症)の概念も含んだ疾患として用いられるだけではなく、全般性不安障害(GAD)以外にも、パニック障害(PD)などを含んだ不安に関連疾患した病状を『不安神経症』として扱われています。
不安神経症における≪不安≫とは
不釣り合いな不安と、緩和したい&避けたいという感情
不安神経症とは『状況や事柄に対する不釣り合いな不安症状や不安感情が強く出てしまう』ことが特徴です。
その結果、『その出現した強い不安感情をどうにかして緩和したい、あるいは避けたいと感じて行動に支障を来してしまう』のが不安神経症の疾患なのです。
抑うつや不安症状に関連する疾患も関連しやすい
また、他の精神疾患との関連や合併も多く、そのような強い不安症状が出ることにより、恐怖に感じてしまうこと・できていたことができない支障が出てしまうことで、他の不安症やうつ病を合併していることも多く、治療の経過を注意深くフォローしていく事が必要な疾患なのです。
DSM-5・ICD-10にもある全般性不安障害(GAD)や不安神経症とは
疾患に伴う”不安とは”
不安神経症・全般性不安障害(GAD)では、日常のあらゆることが心配で不安になってしまいます。
心配事と、その事実がかけ離れていても、不安がとまらない
なお不安となる事柄の対象の一例には、“可能性が低い心配事でもずっと続いてしまう”という点が特徴的です。
- 「(兆候はなくても)家が壊れてしまうかもしれない・予期せぬ破滅的なことが起こるかもしれないと不安」
- 「(検診結果が良くても)何か別に自分が病気にかかっているのではないか・とんでもない病気になっているのではないか不安」
- 「(家族が元気でも)身内が死んで一人残されてしまったらどうしよう」
- 「(予期せぬ事件や事故を想定して)お金が無くなってしまったらどうしよう」
これらの心配は、その時の状況に応じて、適切な不安感情の持続と程度が出現するものですが
不安神経症や全般性不安症においては、事実の程度に釣り合わない、不安感情が”湧きあがってきて、それがずっと長く続いて”しまうというのが特徴なのです。
不安神経症の症状について
精神面の症状
- 漠然とした不安が続いている
- 気持ちを集中させることができなくなった
- 周囲が気になり、緊張が続いている
- 神経が敏感になった感じがする
- 落ち着きがなくなった
- イライラしたりすることが増えた
身体面の症状
- 肩や筋肉の凝り
- 頭痛・頭重感
- 動悸がする
- めまい・ふらつき
- 胃腸の不快感
- 疲れやすさ・倦怠感
- 発汗・ほてり
- 冷え・震え
上記のような症状が出た結果
上記のような症状が
長引くと…
-
1 . 家事や仕事など日常生活ができなくなった
不安や恐怖が継続してしまうと、外出や買い物・通勤・会議などが制限されてしまい、社会生活・日常生活が送りづらくなってしまいます。 -
2 . 集中力が下がってミスが増えた
不安や緊張が継続してしまうために、普段ならミスしないことでも間違いを起こしやすくなってしまいます。 -
3 . 周りからなかなか気づいてもらえない
不安な気持ちや恐怖の感情の強さや困り度をなかなか理解してもらえずに、“気の持ちよう”“心配しすぎだ”などと周りから説得を受けることが更に、自分の中にある不安感情との葛藤となり、心のバランスを崩してしまいがちになってしまうことも。
不安という感情を引きずってしまいやすい、不安神経症・全般性不安障害(GAD)とは
不安感情の存在は、危機管理として必要な感情
不測の事態に対しては皆さんが日常的に心配したり、不安になる事柄ではありますが、それでも日常生活を維持するために、ある程度の不安感情を許容しながら生活をしている方も多いはずです。
ある程度の不安感情が、許容できないままだと日常生活がとまってしまう
しかし、不安神経症の方たちは自らの不安感情をコントロールできず持続してしまい、不安のために毎日が眠れなくなったり、不安が強くて食事や外出ができなくなったり、不安の感情がずっと付きまとって仕事に集中できないなどの、生活や身体面に影響を及ぼしてしまうのです。
「不安すぎて困る」という感情はなかなか共有されにくいことも
神経質・心配性という区分がハッキリせず、「不安すぎて困る」状態が理解されにくい時も
不安の感じ方は人それぞれあるものの、多くの方は自分の不安の尺度に当てはめて捉えようとしてしまうため、
不安神経症・全般性不安障害の症状のつらさが、相手になかなか伝わらず、周りからは”心配性”・”気にしすぎ”と指摘されてしまうことにより、周囲に相談できずに我慢しすぎてしまったりしてしまうことも多いのです。
不安という感情は、誰しもが持つ感情だからこそ、困りごととして、お互いに共有されにくい面を持っていることも特徴なのです。
不安の症状。実は身体症状への影響にもつながりやすい
毎日のように慢性的な不安を感じると、倦怠感や緊張感が生じ、頭痛や肩こり、しびれや痛みなどの身体症状をも不安神経症では呈しやすいという点はとても重要です。
特徴的な症状としては、パニック発作&パニック障害のように、強い緊張や不安が一気に高まると、動悸や呼吸の苦しさ・息切れといった症状が強く出てしまい、そのような強い身体症状のために日常生活が送れなくなってしまったり、勤務が継続できないなどの症状が不安神経症でも出現してしまうのです。
不安神経症の治療について
薬物療法や精神療法など
不安神経症・全般性不安障害(GAD)は薬物治療だけではなく、認知行動療法(CBT)や暴露療法などにも治療効果があるとされています。しかし全般性不安障害(GAD)では不安対象が明確にはっきりしないこともあるために、様々な精神療法を組み合わせて治療を行うことが多いのです。
また、不安神経症だけでなく、合併してしまったうつ病症状に対しては、抗うつ薬などのSSRIに治療効果があるといわれており、抗うつ薬を主体とした薬物療法を併用することもあります。当院は漢方などの治療もご提案しておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
我慢しすぎてしまう前に相談してみませんか?
特に、不安症状の強さというのは本人にしか表現できがたい部分があり、他者から共感されづらく「心の弱さ」と周囲からも指摘されてしまう事もある為に、しばしば自己否定感が強く抑うつ状態に至ってしまっていることも多いのです。もし、不安神経症かもと感じられましたら、お早めに医療機関へのご受診をお勧めいたします。
周囲の方の、対応の仕方について
不安神経症や全般性不安障害(GAD)でお困りの方の、ご家族様や周囲の方たちはどのように対応をしたら良いのでしょうか?
共感のしすぎや、否定のし過ぎではなく、本人の困りごとに対する理解やサポートとケアを
不安や心配事が、実際の現状と不釣り合いな場合、やはり過度な「不安」や「心配事」への協調や共感のし過ぎは禁物です。
あらゆることが心配になってしまう事が不安神経症・全般性不安障害(GAD)の特徴でもありますので、心配事は次々と浮かんできてしまうからです。しかし、”それは心配のし過ぎ”、”気にしない方が良い”などと否定してしまうこともかえって孤立感や分かってくれないという気持ちを強めてしまうのです。
まずは、本人が困っていることを理解しつつ、つらく不安な毎日の中でもできていること、取り組めていることへの理解を身近な人の立場として一緒に考えてみると同時に、医療機関へも相談してみることなど、疲れやすさや気になってしまいやすさへの対応方法のアドバイスも大切です。
野村紀夫 監修
ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など