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Hidamari Kokoro Clinic
広場恐怖症
広場恐怖症
公開日: 2025.01.11 更新日:2025.01.11
広場恐怖症とは
広場恐怖症では、不安が高まったときにすぐに逃げ出せない場所や状況、またすぐに助けを得られないような場所で恐怖や不安が高まってしまいます。
その為、そのような逃げ出せない場所に対する恐怖と不安のために、そのような特定の場所に行くことに苦痛を感じたり、その場所を避け・外出ができないなどの社会的な支障をも呈してしまうのが広場恐怖症なのです。
広場恐怖症の頻度とは
広場恐怖症は珍しい病気ではありません。
生涯有病率は約3%ともいわれており、またパニック症とも併発しやすいことからも、決して珍しい疾患ではないと言えます。
パニック障害との関連について
広場恐怖症では、パニック症やパニック発作を併発している方も多くいらっしゃいます。
パニック症の特徴である、「パニック発作」は大変苦痛や恐怖を伴う症状です。最初は予期しないパニック発作であっても、パニック発作のような強い症状が外出先で出たらどうしよう、誰も助けてくれなかったり、助けを得られにくい場所であの発作が起きたらどうしよう、という広場恐怖症をも合併発症してしまいやすいからです。
もちろん、パニック症にすべて広場恐怖症を伴うことを示唆しているわけではありません。
DSM-5においては、広場恐怖症はパニック症から独立した疾患概念となっていることも特徴の一つであり、しかしながらお互いに合併しやすい疾患であるということは大切です。
広場恐怖症の診断基準とは
広場恐怖症の診断基準はA~Iまであります
広場恐怖症の診断基準A:
以下の5つの状況のうち2つ以上について著明な恐怖あるいは不安がある
- 公共交通機関の利用について(電車やバス、船・自動車・飛行機)
- 広い場所にいること(駐車場・公園・橋)
- 囲まれた場所にいること(映画館・店)
- 列に並ぶまたは群衆の中にいること
- 家の外に一人でいること
広場恐怖症の診断基準B:
パニック症の症状や、耐えられない、あるいは当惑するような症状が起きた時に、逃げられないと感じ恐怖を感じる。
例)トイレに行きたくなったらどうしよう、ここで倒れてしまったらどうしよう
広場恐怖症の診断基準C:
ほとんどいつも恐怖や不安を誘発している
広場恐怖症の診断基準D:
広場恐怖症の状況は積極的に避けられるか、強い不安や恐怖を伴って耐えられている
また、しばしば仲間の存在を必要としている
広場恐怖症の診断基準E:
その恐怖や不安は、現実的な背景や状況からも不釣り合いな程度である
広場恐怖症の診断基準F:
不安や恐怖は継続的で、6か月以上続く
広場恐怖症の診断基準G:
恐怖や不安に対する回避や反応は、社会的な生活に支障をもたらす
広場恐怖症の診断基準H:
他の医学的な疾患の合併を考慮しても、不安や恐怖が過剰であると考えられる
広場恐怖症の診断基準I:
他の精神疾患の症状ではうまく説明ができない
精神面の症状
- この空間ではすぐに逃げ出すことができないかもしれないという強い不安・恐怖
- ここで倒れてしまったら誰も助けてくれないかもしれないという強い不安・恐怖
- トイレに行きたくなってもすぐに場を離れることができないかもしれないという強い不安・恐怖
- ここで強い不安発作が起きたら、対処も周囲への助けも得られないかもしれないという恐怖
身体面の症状
- 震え
- 発汗
- 息のしづらさ・のどのつまり
- 血の気が引く・失神する感じがする
治療について
薬物療法について
広場恐怖症の薬物治療は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが有効とされています。
特に広場恐怖症を含めた不安症状では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)にて不安症状が緩和され、再発の予防にもなり得ます。
ただし、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、飲み初めのタイミングで吐き気や下痢などの胃腸症状などが生じやすく、薬剤効果にも2~3週間程度かかることには注意が必要です。ですが、飲み初めの副作用である胃腸症状は次第に改善するなどの特徴があります。
精神療法
通院などの精神療法を通して、不安や恐怖について少しづつ理解を深め、不安の状況を少しづつ客観的に把握することも重要です。実際の環境や状況よりも不安や恐怖を関連しやすい傾向があるなどの理解だけではなく、不安や恐怖を乗り越えられる状況があれば、そのような状況を医師とともに確認できることは本人の自信にもつながりやすくなります。
特に、不安が起きてしまうかもしれない状況は恐怖を伴うことが多いために、一人で耐えなくてはいけないと無理しすぎてしまうこともありますので、通院による治療を継続してゆきながら症状の理解を深めていくことは大変重要です。
広場恐怖症にかかってしまった時の家族の対応とは
広場恐怖症とは、強い不安や恐怖が出やすく、外出先で不調が生じやすいです。
また症状の起きやすい外出の場所として
- 公共交通機関の利用(電車やバス、船・自動車・飛行機)
- 広い場所(駐車場・公園・橋)
- 囲まれた場所(映画館・店)
- 列に並ぶまたは群衆の中
などがあります。
そのため家族や友人の方による外出先での付き添いなどは、本人にとってもとても重要な意味を持つことがあります。
特に広場恐怖症に伴うパニック発作が起きてしまった時には、周囲の方たちの付き添いや寄り添いは本人の苦痛を緩和するきっかけになることもあるからです。ただし、否定したり・無理して連れ出そうとすることは、逆効果になりやすいので注意が必要です。
本人のペースに合わせながら、通院や生活のリズムを整えてみることを一緒に考えてみることも大切なことです。
よくあるご質問
FAQ広場恐怖症とパニック症の関係について
広場恐怖症の頻度について教えてください
広場恐怖症では、毎年、成人の約1~2%の人が広場恐怖症と診断されており、女性の方が男性よりも2倍広場恐怖症を経験しているとされています。
広場恐怖症の身体症状の特徴を教えてください
広場恐怖症の特徴とは何ですか?
広場恐怖症の特徴は、様々な状況にさらされたり、暴露されたりあるいはその可能性がある状況で、”逃げられないかもしれない”・”助けをすぐに得られないかもしれない”、という不安や恐怖が著しく高まってしまうことです。
駐車場や公園・駅・バス・タクシー・電車、映画館、列に並ぶこと、人ごみの中など出現しやすい状況については人それぞれです。