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Hidamari Kokoro Clinic
双極性障害・躁うつ病
双極性障害
躁うつ病
公開日: 2025.01.20 更新日:2025.01.21
[ Index ]
双極性障害とは
双極性障害(Bipolar Disorder)は、気分の極端な変動を特徴とする精神的な障害で、躁状態と呼ばれる非常に高揚した状態と、うつ状態と呼ばれる非常に沈んだ状態が交互に現れます。
これにより、個人の感情や行動、思考に大きな影響を及ぼし、日常生活における機能に支障をきたすことがあるのが、双極性障害です。
双極性障害の症状について
双極性障害の主な症状
双極性障害は、主に次の2つの状態が交互に現れることが特徴です:
- 躁状態(そう状態):
- 強いエネルギーや自信にあふれ、活動的になりすぎることがあります。思考が非常に速く、話すペースも早くなります。
- 睡眠時間が少なくても疲れを感じにくく、無謀な行動(無計画な買い物、過度な社交行動など)が見られることもあります。
- 自分の能力を過信して現実離れした計画を立てることがあり、リスクを顧みず行動することがあります。
- うつ状態(うつ状態):
- 気分が沈み、無気力で何事にも興味を感じなくなります。思考が遅くなり、物事を判断するのが困難になります。
- 食欲や睡眠に変化が見られ、エネルギーが欠如することがあります。自己評価が低くなり、無価値感や絶望感にとらわれることがあります。
- 深刻な場合には、自傷行為や自殺を考えることもあります。
双極性障害のタイプとは
双極性障害のタイプ
双極性障害にはいくつかのサブタイプがあります
- 双極性障害I型:
- 躁状態が7日以上続き、深刻なうつ状態も見られることが特徴です。躁状態は重篤で、入院を必要とする場合もあります。
- うつ状態も長期間続き、生活に大きな影響を与えることが多いです。
- 双極性障害II型:
- 軽度の躁状態(軽躁状態)と長期的なうつ状態が特徴です。I型ほど重篤な症状は現れませんが、うつ状態がより顕著です。
- サイクリック障害:
- 双極性障害I型またはII型の特徴を持ちながら、気分の変動が短期間で繰り返すことがあり、症状の急激な変化が見られます。
双極性障害の原因について
双極性障害の原因
双極性障害の原因は完全には解明されていませんが、複数の要因が影響していると考えられています
- 遺伝的要因:家族に双極性障害を持つ人がいる場合、発症するリスクが高まります。
- 生物学的要因:脳内の神経伝達物質の不均衡が障害の発症に関与していると考えられています。
- 環境的要因:生活の変化やストレス、トラウマが発症や再発を引き起こすことがあります。
双極性障害の診断について
双極性障害の診断
双極性障害の診断は、精神科医が行います。患者の症状や病歴、発症時期やその持続期間をもとに診断が下されます。診断には、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)を基にした基準や国際疾病分類(ICD-10)を参照して判断します。以下に、診断における重要な要素を説明します。
1. 症状の評価とDSM-5の診断基準
DSM-5に基づいて、これらの症状の持続期間や日常生活への影響が評価されます。
双極性障害は、躁状態(過度に活発な気分やエネルギー)と、うつ状態(気分の落ち込みや無気力)を交互に経験するのが特徴です。診断時には、これらの状態がどの程度現れるか、またその影響がどれほどかを見極めます。
アメリカ精神医学会が定めたDSM-5を基に診断されることが一般的です。双極性障害の診断においては、以下の要素が重視されます:
- 躁状態:過度に高揚した気分やエネルギーの増加、行動の衝動性、日常生活に大きな支障をきたす。
- うつ状態:深い悲しみや無力感、自己評価の低下、社会的・職業的な機能の低下。
そしてSDSM-5に於いては、双極Ⅰ型障害と診断するためには、躁病エピソードについての基準が該当することが重要です。また双極Ⅱ型障害の診断では、現在または過去の軽躁病エピソードを満たすこと、および現在および過去の抑うつエピソードの基準を満たすことが必要となっています。
2. 症状の持続期間と重症度
双極性障害の診断では、躁状態とうつ状態の症状がどれくらい続いたかも重要な要素です。
- 躁状態は通常、7日以上続く必要があり、場合によっては入院が必要なほど重篤になることもあります。
- うつ状態は、2週間以上持続することが多く、症状が生活全般に影響を与えることが求められます。
これらの状態が一時的に現れることもありますが、診断時には症状が持続する期間とそれによる影響の大きさが重要な指標となります。
3. 他の疾患との区別
双極性障害の症状は他の精神的な疾患と似ていることがあり、これらと区別することが重要です。例えば、うつ病や注意欠陥多動性障害(ADHD)、統合失調症などと似た症状が現れることがあるため、患者の症状や病歴を詳しく調査し、診断を確定させることが求められます。
診断する上で大切な情報とは
問診と評価
診断には、患者との面接を通じて、以下のような情報が収集されます:
- 症状の詳細(躁状態と自覚しているか、うつ状態の期間や程度など)
- 生活や仕事への影響(職場や家庭での支障)
- 家族歴や過去のエピソード
- 心理的・社会的な背景(ストレスや過去のトラウマ)
- 現在の薬物使用状況や健康状態
また、場合によっては、心理的評価や血液検査、脳の画像診断が必要になることもあります。
双極性障害の診断は、精神科医が患者の症状や生活状況を詳細に評価し、DSM-5の基準に基づいて行われます。適切な診断が行われることで、患者は効果的な治療を受け、症状を管理しながら安定した生活を送ることができます。
双極性障害の治療方法について
治療方法
双極性障害は適切な治療を受けることで症状のコントロールが可能ですが、治療は長期的な管理が求められます。主な治療方法は以下の通りです:
- 薬物療法:
- 気分安定薬(リチウム、バルプロ酸など):躁状態とうつ状態を予防し、気分を安定させる役割を果たします。
- 抗精神病薬:躁状態や幻覚、妄想などの精神症状を抑えるために使われます。
- 抗うつ薬:うつ症状を軽減するために使用されますが、躁状態を引き起こすリスクがあるため、慎重に使用されます。
- 認知行動療法(CBT):
- 認知行動療法は、思考や行動パターンを改善し、気分の波を管理するために効果的です。特にうつ状態の際には、思考の歪みを修正するために役立ちます。
- ライフスタイルの調整:
- 規則正しい生活、睡眠の質を向上させ、ストレス管理を行うことが症状の改善や予防に効果があります。また、運動も重要です。
- サポート体制:
- 家族や友人からの支援が、患者の回復に大きな役割を果たします。治療に対する理解と共感が重要です。