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新型うつ病・非定型うつ病

新型うつ病・非定型うつ病

公開日: 2024.11.15 更新日:2024.11.15

どうして『新型うつ病』と呼ばれているの?

新型うつ病・非定型うつ病とは何でしょうか?

新型うつ病や非定型うつ病というのは、従来のうつ病とは異なるということで使われている名前であり、医学的に正式な名称ではありません。

つまり、新型うつ病は正式な病名ではありませんが、現代社会で非常に多くの方たちが、今までの病状の経過と少し違うように感じる、うつ状態を呈する『うつ病』にかかられているので、「新型うつ病」・「非定型うつ病」と呼ばれるようになっております。

いわゆる、現代の様相、今風といった特色を現したうつ病であるともいえるかもしれません。そのため、従来のうつ病パターンとは異なる様相を示しているために、「非定型」と表現されています。

特に、昔のうつ病イメージとして、”根を詰め込みすぎてしまったり”・”几帳面で我慢が強い人がかかりやすい”というイメージを持っている人もいるため、現代に多くなってきている「うつ病」の背景や状況を「新型うつ病」・「非定型うつ病」として捉え認識しなおす過程で出てきた病名でもあるのです。

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『新型うつ病・非定型うつ病』、従来のうつ病との違いについて

従来の”うつ”と、具体的にどんな違いがあるのか

新型うつ病や非定型うつ病は、うつ病の一種ですが、従来のうつ病とはちょっと違っていて、どんな時でもずっとふさぎ込んでしまっているのではなく。

週末・休日は社会生活を送ることができる、ストレスを感じにくい場面では比較的楽しめる、あるいは一見として元気に見える。

などなど、”抑うつ状態”や”社会生活への支障”の症状に、場面に応じて『ムラ』が出ているように見える鬱といえます。

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『新型うつ病』の症状の”まだら”・”アップダウン”とは

特に新型うつ病・非定型うつ病では、強いストレスがかかる場で、心身のバランスを崩して憂鬱な気持ちや落ち込み、不安の症状が出てしまいます。

しかし、ストレスが少ない場面である、週末や休日などの社会生活や、趣味や楽しい出来事等では、ひどく落ち込むことなく、楽しめたりするのです。あるいは少しだけ『空元気』・『一見として元気』に見えることもあるのです。

新型うつ病や非定型うつ病では、周囲の環境や状況、更には日やストレスの少なさによって、不調の程度が大きく変動する、気分の落ち込みと、時に少々のアップダウンということが特徴的であるとも言えます。

新型うつ病や非定型うつ病では「さぼり」であると誤認されてしまいやすい

このように新型うつ病や非定型うつ病では、症状や抑うつがストレスの程度や環境に応じて”まだら”に出現するために、周りからは

  • 「さぼりではないのか?」
  • 「仕事だけ避けているのでは?」
  • 「本当に病気なのか?」
  • 「怠けているなら、しっかりしろ」

などどいった言葉を浴びてしまうことがあります。

しかし、実際に新型うつ病の方は、他者からの評価に特に敏感であることが多いため、そのような周囲の問いかけに、更に落ち込んだり恐怖や不安を感じてしまうのです。

新型うつ病では時に”甘え”として映ってしまうことも

新型うつ病は甘えではありません

新型うつ病では、強いストレスに対して心身の症状として、不安症状や憂鬱な気分が強く出てしまう一方で、精神症状や身体症状が出にくくなる低いストレスで生活をすることでは支障を感じにくいという傾向もあります。

その為、周囲からは行動を好んで選択しているように見られがちですが、実際は過食や甘いものを食べすぎてしまったり、仮眠や倦怠感などの症状が強くみられている場合が多々あり、決してストレスが低い場面でも無症状というわけではないのです。

あくまでも不調を来している、うつ病であるということです。

元気な時もあるけど。それでも「うつ病」なのか

元気な時を見ていると「本当にうつ病なのか?」と、言われてしまう?

一見として元気そうな時を見ていると「本当にうつ病なのか?」と、周囲は考えてしまうこともあるかもしれません。

しかし、新型うつ病や非定型うつ病のように、週末などの抑うつが少なく見える時であっても、じつは落ち込みや不安などの不調が多少なりとも継続している場合もあります。

また、明らかな元気な様子・ハイテンションと表現できる状態であっても、そのような状態が長くは続かず、少し無理している印象を周囲に与えるときもあります。

新型うつ病も、うつ病の診断基準や診断項目を満たしている

従いまして、新型うつ病や非定型うつ病は、うつ病の診断基準にもある、ほとんど毎日・一日中の抑うつや落ち込み、興味の減退などを含め、体重や食欲睡眠の変化などのうつ病の診断項目を満たしているのです。

新型うつ病・非定型うつ病は治りにくいって本当なのか

従来のうつ病のように、新型うつ病や非定型うつ病も薬物療法に一定の効果があります。

しかし、従来のうつ病と比較すると、薬物療法による効果が得られにくい人たちも多く、「新型うつ病」と「非定型うつ病」では精神療法などの両方を薬物療法とともに組み合わせることが治療では大切です。

また、非定型うつ病や新型うつ病ではパニック症や不安症などの他のメンタルの疾患を合併していることも多く、また背景には発達障害やパーソナリティー障害などの合併も少なくないために、抗うつ薬だけにとどまらない多角的な治療が必要となります。

新型うつ病や非定型うつ病で陥りやすい傾向について

「新型うつ病」と「非定型うつ病」で陥りやすい傾向について

  • マイナス思考
  • 周りの人からの評価に敏感
  • 自分を無理に良く見せようとしてしまう傾向がある
  • 他人のせいにしてしまう傾向がある
  • 自分の事には没頭できるが役割意識が苦手
  • 楽しい事や、辛いことに対してある程度切り替えができるが脆い

などの傾向や陥ってしまいやすい特徴があります。

従来のうつ病には

  • マイナス思考
  • 責任感が強く抱え込みやすい
  • 真面目で周囲への配慮が強い
  • 自責的になりやすい傾向
  • 辛いことを引きずりやすい

などの傾向や、陥りやすい特徴があります。

その為、新型うつ病や非定型うつ病での治療では、薬物療法だけではなく、対人面における認知面の取り組み・ストレス耐性の低下の回復・訓練も意識した精神療法や支援なども大切なのです。

つまり、従来のうつ病通りに薬物治療を行うだけではなく、就労支援や、生活支援・日常生活の取り組みなどの活動が治療する上でより重要な効果を持っているのが、新型うつ病なのです。

もちろんお一人お一人の症状の様子や特徴に応じて治療は組み立てられますが、薬物療法が新型うつ病や非定型うつ病よりも比較的従来のうつ病のタイプに効果が得られやすいと言われて理由の一つでもあります。

新型うつ病・非定型うつ病の症状について

精神面の症状

  • 気分の落ち込み
  • 楽しいことは多少は楽しめる
  • 良いことがあると気分が晴れやすいが長続きしない
  • 相手の反応次第で落ち込みが強くなる
  • 回避的・相手のせいにしてしまう傾向も

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身体面の症状

  • 身体が鉛のように重い
  • 過眠
  • 過食(甘いものをたくさん摂るなど)
  • 体重増加

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一方、≪従来のうつ病≫では”精神面の症状”として

  • 趣味だったものや楽しい事が楽しめなくなった
  • 自己否定感が強い
  • 自責的になりやすい

≪従来のうつ病≫での、”身体面の症状”として

  • 食欲が下がる
  • 体重が減少する
  • 睡眠が減る

などの傾向があるなどがあり、新型うつ病や非定型うつ病との違いもあります。

非定型うつ病や新型うつ病の結果

上記のような症状が
長引くと…

  • 1 . さぼっているのではないか?とみなされてしまう

    ストレス耐性の低下状態でもある、週末など楽しめる状態を指して、仮病である・さぼっているのではなどの誤解を生みやすい
  • 2 . 周囲からの評価が厳しくなってしまうことも

    周囲の環境や状況に応じた症状の変化により、周囲との人間関係がよりぎくしゃくしてしまうことも
  • 3 . 周囲の人間関係に敏感で、安定的な人間関係が築きづらくなってしまう

    周囲の人間関係や評価にさらに敏感になってしまい、安定的な人間関係が築きづらく他責的になってしまう時も

新型うつ病や非定型うつ病の治療について

『新型うつ病』は従来のうつ病より、就労支援や生活支援などのサポートも重要

新型うつ病ではうつ病同様に、抗うつ薬であるSSRIや抗不安薬の薬物療法だけではなく、ストレス耐性の低下の回復・訓練が特に重要になってきます。

病気の初期は、休職や自宅療養が必要な場合もありますが、辛い症状が落ち着いてきたタイミングでは、日常生活のリズムを整えたり、外出や運動・買い物・図書館などの活動を定期的に行えるような体調づくりと準備を始めることが大切です。その後は、電車に乗る、試験的に出社をしてみるなどの社会の関りを増やしていく事を目指していきます。

社会復帰へのプロセスとして、体力づくりや生活のリズム作りを継続することも重要

ストレス耐性についても、考慮した生活リズムの維持を

特に新型うつ病の方たちにとって、会社などのストレス下に対して非常に敏感になっていたり、他の人の評価や発言に敏感であるために、日常生活の回復までの過程はスムーズでも、会社復帰となると体調がすぐれなくなったり、復帰しても休職を繰り返しやすくなってしまっている傾向が出やすいといわれています。

特に現代社会では、外出しなくても買い物ができてしまったり、家で過ごすしていてもインターネットやそれを介した相手との会話が成り立ってしまうので、退屈に感じたりすることがなくなっているからです。そのために、さらにストレスが低い生活に慣れてしまいやすく、そのような状況が継続しすぎてしまうとストレス耐性が更に低下してしまい、病気の治療に時間がかかってしまいやすくなってしまうのです。

復帰へ向けて、社会福祉サポートをしっかりと利用することも大切

社会福祉サポートや、専門サポートの大切さとは

新型うつ病の方のストレス耐性の低下の回復には特に生活スタイルの細かい支援や、生活指導の段階調整が必要となることが多く、リワークや、就労継続・就労移行、また訪問看護などの専門サポートをしっかりと組み立てることが重要であると考えられます。

また、自己否定感や、失敗に対する恐怖や、周囲への過度の敏感さ、また自己決定できない、自発性に欠けるなどの面を併せ持っていることも多いので、考え方のクセの見直しに取り組んでみたり、医師との精神療法や支持療法などの通院治療を併用しながら、就労へ向けた支援や活動・治療を継続していく事も大切なのです。

新型うつ病における”周囲の見守り”・”対応の違い”とは

「新型うつ病」に大切な、見守りとサポートとのバランスとは

家族をはじめとした周囲の人たちのサポートとしては、うつ病の症状を否定や軽視しすぎず、寄り添うことが求められます。

もちろん周囲の人たちの寄り添いサポートだけではなく、特に新型うつ病では特に意識すべきサポートもいくつかあります。

医療専門職をはじめとしたサポートや各種のプログラム活動を元に、寄り添いながらも患者様本人の活動を上げ、適応力を調整できるように見守り促していくという点が「非定型うつ病」や「新型うつ病」では非常に重要になるからです。

新型うつ病?非定型うつ病かな?と思ったら

新型うつ病?非定型うつ病かな?と思ったら

特に新型うつ病では最初は適応障害や急性ストレス症との関連も指摘され、のちに適応障害や急性ストレス症といった疾患だと分かることも少なくありません。

また最初はうつ病や新型うつ病と診断されたりすることもあるかもしれませんが、のちに双極性障害や躁うつ病といった疾患の診断となったり、一部の人にはパーソナリティー障害や、幼少期の人格形成期における親子の問題を抱えている場合もあります。

新型うつ病でも非定型うつ病においても、ストレス耐性の低下や、物事の判断や、課題にぶつかったときの対処法に偏りが指摘されており、ショッキングな出来事や本人にとって耐え難いことがあると、その状況を引きずってしまいやすく、精神的な不調にもつながりやすいのです。

新型うつ病?非定型うつ病かな?と思ったら、自己判断なさりすぎず、精神科,心療内科,メンタルクリニックなどの医療機関までご相談ください。

ひだまりこころクリニック名駅地下街サンロード院は看護師や検査技師、また精神保健福祉士や心理士も常勤で複数名在籍をしておりますので、お気軽にご相談くださいませ。

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野村紀夫 監修

ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業

保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など

所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

よくあるご質問

FAQ

うつ病が再発するおそれはありますか?

うつ病がぶり返しやすい病気であるため、再発を予防することが大切です。

抑うつ症状が改善し、気分が軽くなってきたと感じるタイミングでは、「(良くなっているから)治療をやめたい」と思う方も多くいらっしゃるかと思います。

しかし、処方する薬には「症状の改善、状態をよくする」という働きに加えて、『状態を維持する』という効果もあります。

個人差はありますが、症状の改善がみられても『状態を維持する』ために、およそ半年から1年間は薬の服用を続ける必要があります。また、うつ病になりやすい「ものの見方・考え方」など自分の考え方のクセを知ることで、自分なりにものの見方を調整して、過ごし方や関わり方を見直しながら再発を予防することも大切です。

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