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ADHD・注意欠陥多動性障害

ADHD・注意欠陥多動性障害

公開日: 2022.05.09 更新日:2025.01.20

注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは

注意欠陥・多動性障害(ADHD)は発達障害の一つで、特に「不注意」「多動」「衝動」という特徴的な症状が現れます。

これにより、日常生活や仕事、家庭内で困難を感じることがあります。しかし、ADHDのある人々は、興味を持つ分野においては高い集中力を発揮し、創造的で独自の視点を持つことができるため、その才能を活かして社会で活躍できる場合も多いです。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の頻度と、幼少期の症状とは

ADHD(注意欠陥・多動性障害)や発達障害は、通常、幼少期から現れる症状が特徴です。

ADHDと診断された子どもの多くは、青年期に入ってもその症状が続くことがあり、その割合は約70%~80%と言われています。また、成人期にまで症状が継続するのはおおよそ60%程度とされています。しかし、残りの40%は、思春期や成人期初期に症状が軽減したり、改善したりすることもあります。

というのも、成長過程で自分なりの対策を考えながら問題に向き合い、みずから症状をコントロールしようと努力したり工夫することで気を付けることとルールを習得していくことが一般的には多いからです。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の診断と、大人になること

ADHDは多くの場合、子ども時代から症状が現れますが、大人になってから初めて診断されることもあります。

ADHDの症状は、成長過程において自分なりの対策を考えながら問題に向き合い、みずから症状をコントロールしようと努力したり工夫することで気を付けることとルールを習得していくことが一般的には多いことは先にも説明をしました。

しかしながら、大人になって、新しい環境や社会生活に適応する際には、過去の工夫や対策が十分に通用せず、不注意や衝動、対人関係の問題が再び浮き彫りになることもあります。その結果、大人になって初めてADHDとして診断されることもあるということなのです。

ADHDが原因で、職場で上手くいかずうつ病や不眠症といった精神的な問題を引き起こすこともありますので、ADHDの疑いがある場合は早めに専門家に相談することが重要でもあります。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状とは

ADHDの症状

ADHDでは、以下のような症状が見られます。

  1. 不注意
    • 重要な作業や期限を守れない
    • 物事に集中できず、順序立てて物事を進められない
    • 忘れ物や必要なものをなくすことが多い
  2. 多動性
    • 手足を頻繁に動かす
    • じっと座っていることができず、常に動き回る
  3. 衝動性
    • 思ったことをすぐに口に出す
    • 衝動的に物を買ったり、計画性を欠いた行動を取る
    • 予期しない出来事に対してイライラしやすい

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の多動性・衝動性優位型とは

ADHD・発達障害の多動性・衝動性優位型は、一般的に「じっとしていられない」という特徴が強調されるタイプです。

このタイプは、最もよく認識されているもので、例えば授業中に立ち歩いたり、教室内や廊下を歩き回ったりすることが多いです。また、座っていても絶えず体を揺らしたり、手足を動かしたりすることが「多動性」として現れます。さらに、「衝動性」の特徴としては、感情のコントロールが難しく、すぐに怒ったり、興味を持ったものに瞬時に手を出したりすることがよくあります。

また、待つことが苦手で、順番を守れなかったり、思いついたことをすぐに行動に移してしまうことも特徴的です。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の不注意優位型とは

ADHD・発達障害の不注意優位型とは、注意が散漫になりやすく、物事に集中し続けることが難しい特徴を持っています。日常生活では、物を忘れたり、うっかりミスをしたり、指示を聞き逃してしまうことが頻繁にあります。
また、周りの人よりも反応が遅れがちで、動き出すタイミングが遅れることも見られます。このタイプは、多動性や衝動性が強いタイプに比べて、比較的静かで目立たないことが多いため、周囲に気づかれにくいことがあります。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の診断とは

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の診断は、単一のテストやチェックリストだけでは確定できません。診断には慎重な評価といくつかのステップが必要です。以下は、一般的な診断プロセスの概要です。

  1. 問診と面接 ADHDの診断は、医師が患者との診察などを通して、症状の詳細、発症時期、これまでの経過、家庭や学校での状況など、幅広い情報を収集することから始まります。特に、症状が幼少期から続いているかどうかが重要な要素となります。
  2. 診断基準の確認 診断には、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)やICD-10(国際疾病分類)など、標準的な診断基準が使用されます。DSM-5では、ADHDの主要な特徴として「不注意」「多動性」「衝動性」を挙げ、これらの症状が少なくとも6ヶ月間続き、日常生活に支障をきたしていることが診断の条件となります。
  3. 評価ツールの使用 診断を支援するために、医師はチェックリストや質問票を用いることで、ADHDに関連する症状を確認し、診断を裏付けます。また、職場での行動や学校での通知表などの情報を集め、さらに詳しく評価することもあります。
  4. 除外診断 ADHDと類似した症状を持つ他の疾患(例:うつ病や不安障害に伴う集中力の低下、学習障害など)を除外するために、それらの可能性も慎重に評価されます。ADHDの症状が他の疾患によるものではないことを確認することが大切です。
  5. 検査や評価 ADHDを診断するための特別な検査が行われることもあります。例えば、注意力や集中力を測る心理テストや神経学的な評価が行われる場合があります。ただし、ADHDは医学的な検査のみで診断できるわけではなく、主に医師による臨床的観察と評価が中心となります。
  6. 診断と治療計画の策定 診断が確定した後、医師は治療方法を提案します。治療は、薬物療法(刺激薬や非刺激薬など)や行動療法、認知行動療法が含まれることがあります。さらに、生活習慣の改善やストレス管理、社会技能訓練なども治療計画に取り入れられることがあります。

ADHDの診断には慎重な判断が求められ、自己診断に頼らず、専門家による適切な評価を受けることが非常に重要です。また、過度な不安を避け、適切なサポートを得るためにも、信頼できる医療機関を訪れることをおすすめします。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の原因について

ADHDの原因

ADHDの原因は完全には解明されていませんが、主に脳の機能に関連するものとされています。以下の二つが主な要因として考えられています。

  1. 前頭前野の機能異常 大脳の前頭前野は、人間の思考、計画、判断、自己抑制、注意などに関わる重要な領域です。ADHDの人は、この前頭前野の機能が偏ることによって不注意や多動、衝動的な行動が見られるとされています。
  2. 神経伝達物質の不足 脳内の神経細胞間にある「シナプス」と呼ばれる隙間で、神経伝達物質が情報を伝える重要な役割を果たしています。ADHDの人々は、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の量が少ないとされ、これが情報伝達に影響を与え、注意や衝動のコントロールに問題が生じると考えられています。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療:薬物療法

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療は、症状の管理と患者の生活の質を向上させることを目的としています。ADHDの治療方法は、個々の症状や生活環境に合わせて調整することが重要です。主に、薬物療法、行動療法、教育支援、そして生活習慣の改善が行われます。

1. 薬物療法

ADHDの治療に使用される薬は、大きく分けて以下の2種類です。

  • 刺激薬(例:メチルフェニデート、アンフェタミン系薬物)
    刺激薬は、ADHD治療で最も効果が期待できる薬とされています。これらは脳内で神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリン)の働きを調整し、注意力を高め、衝動的な行動を抑えることができます。
  • 非刺激薬(例:アトモキセチン、グアンファシン)
    刺激薬が合わない場合や副作用が気になる場合には、非刺激薬を選択することがあります。アトモキセチンは、神経伝達物質の再取り込みを抑制し、注意力を向上させる効果があります。グアンファシンは、特に小児に使用され、衝動性や多動性を抑える作用があります。

薬物療法は個々の患者に合った薬を見つけるため、調整が必要になることもあります。治療を進める際は、医師と十分に相談することが大切です。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療:行動療法

2. 行動療法

ADHDの症状を効果的に管理するために、行動療法が活用されます。主な方法としては以下があります。

  • 認知行動療法(CBT)
    認知行動療法は、ADHDの患者に対して効果的な治療法とされ、思考パターンの改善を目指します。これにより、衝動的な行動や不注意が減り、日常生活の管理がしやすくなります。
  • 親子療法
    親子療法では、親がADHDの子どもに対する適切な支援方法を学びます。例えば、ポジティブな行動を強化する方法や、子どもに対する規律の立て方を教えることが含まれます。
  • ソーシャルスキルトレーニング
    ADHDの子どもや大人が対人関係のスキルを学び、衝動的な反応や誤解を減らすことを目的としたトレーニングです。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療:教育支援

3. 教育的支援

ADHDの子どもには、学校での支援が重要な役割を果たします。効果的な学習環境を提供するために、以下の方法が有効です。

  • 学習環境の調整
    学習場所を静かなところにしたり、定期的に休憩を入れたり、課題を細かく分けて進めるなど、学習環境を調整することで、集中しやすくなります。また、視覚的な手がかりを活用することも効果的です。
  • 個別教育計画(IEP)
    特別な支援が必要な場合、個別教育計画(IEP)を策定することがあります。これは、学習面での支援が必要な子どもに対して、個別に対応するための計画です。

ADHDの治療は、症状を管理し、生活の質を向上させることを目指します。個別のアプローチが必要であり、治療方法も患者に応じて柔軟に調整されるべきです。治療には時間を要することもありますが、根気よく取り組むことが回復への道につながります。

生活面や家族のサポート

生活習慣の改善

ADHDの症状を和らげるためには、生活習慣を整えることも重要です。以下のような習慣が役立ちます。

  • 規則正しい生活
    睡眠の質を向上させるため、一定の時間に寝て、一定の時間に起きることが効果的です。食事や運動も整えることで、注意力や集中力を高める助けになります。
  • 時間管理スキルの向上
    時間感覚が鈍くなりやすいADHDの人には、スケジュール管理やアラームの活用など、時間の使い方を学ぶことが有効です。
  • ストレスの管理
    ADHDの症状を改善するためには、ストレスを減らすことが大切です。リラクゼーション法や趣味を活用することで、心身をリフレッシュできます。

家族と周囲のサポート

ADHDの治療には、家族や周囲のサポートが欠かせません。家族がADHDに対する理解を深め、適切な対応をすることが患者の生活の質を向上させる大きな助けになります。周囲の支援と協力が治療において重要な役割を果たします。

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野村紀夫 監修

ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業

保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など

所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

よくあるご質問

FAQ

双極性障害と言われ、お薬を飲んでいますが、日常生活(職場や学校、家庭、人間関係で)で上手く行きません。

日常生活の支障やメンタルの不調には、いくつかの疾患の合併も考慮されます。

例えば、双極性障害(躁うつ病)だけではなく、ADHDなどの併存の可能性も考えられ、日常生活がより不調を感じやすいなどの傾向を抱いている方もいらっしゃいます。一度当院にご相談下さいませ。

ADHDって何ですか?

ADHDは(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder = AD/HD)は、別名には注意欠陥多動性障害とも呼ばれ、不注意(集中力がない・気が散りやすい)、多動性(じっとしていられない・落ち着きがない)、衝動性(順番を待てない・考える前に実行してしまう)の3つの要素がみられる発達障害のひとつです。

ADHDの診断には幼少期の行動がポイントになると書いて有りました。子供の頃は、取り立てて問題がなかった様ですが…?あまり 覚えていません。

思い出せればどんな些細な事でも結構です。お聞かせ下さい。

もし可能でしたら、親御さんやご主人、身近な方からのエピソードや、当時の様子を記載した内容や母子手帳や学校の連絡帳や通知表などありましたらお持ちくださいませ。

ADHDの治療のゴールって何でしょうか?

ADHDの治療の目標としては、「治す」というより、「元々持っているご自分の特性や個性を活かして豊かに生きる。」という考え方も一つにはあります。

また職場や学校、家庭での悪循環が調整されたり、あるいは好転することにより、自信を持って貴方の特徴と折り合え、社会生活を送ることができることを目指していく事でもあります。

ネットを見ていたら、自分の子どもがADHDでは、と思います。

一度診察にお越しいただけましたらと思います。

初めて受診するときには、お子さんの日頃の行動や様子を具体的に記録したメモや書面を持参いただけると良いです。また、母子健康手帳、保育園時や幼稚園時の連絡帳、小学校の通知表やお子さんの自筆によるノートなども参考になります。

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