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広場恐怖症

広場恐怖症

公開日: 2022.06.15 更新日:2024.10.01

広場恐怖症とは

広場恐怖症では、すぐに逃げ出せない場所や状況下で恐怖や不安が高まってしまいます。

その為、そのような逃げ出せない場所に対する恐怖や不安のために、外出ができないなどの社会的な支障を呈してしまうのが広場恐怖症なのです。

パニック障害との関係について

広場恐怖症では、パニック症を併発している方も多くいらっしゃいます。

パニック症の特徴である、「パニック発作」は大変苦痛や恐怖を伴う症状です。そのため、そのような強い症状が外出先で出たらどうしよう、誰も助けてくれなかったり、助けを得られにくい場所で発作が起きたらどうしよう、という広場恐怖症が発症してしまいやすいからです。

もちろん、パニック症を伴わない広場恐怖症もあります。

DSM-5においては、広場恐怖症はパニック症から独立した疾患概念となっていることも特徴の一つです。

広場恐怖症の頻度とは

広場恐怖症は珍しい病気ではありません。

生涯有病率は約3%ともいわれており、またパニック症とも併発しやすいことからも、決して珍しい疾患ではないと言えます。

広場恐怖症の診断基準とは

広場恐怖症の診断基準はA~Iまであります

広場恐怖症の診断基準A:

以下の5つの状況のうち2つ以上について著明な恐怖あるいは不安がある

  1. 公共交通機関の利用について(電車やバス、船・自動車・飛行機)
  2. 広い場所にいること(駐車場・公園・橋)
  3. 囲まれた場所にいること(映画館・店)
  4. 列に並ぶまたは群衆の中にいること
  5. 家の外に一人でいること

広場恐怖症の診断基準B:

パニック症の症状や、耐えられない、あるいは当惑するような症状が起きた時に、逃げられないと感じ恐怖を感じる。

例)トイレに行きたくなったらどうしよう、ここで倒れてしまったらどうしよう

広場恐怖症の診断基準C:

ほとんどいつも恐怖や不安を誘発している

広場恐怖症の診断基準D:

広場恐怖症の状況は積極的に避けられるか、強い不安や恐怖を伴って耐えられている

また、しばしば仲間の存在を必要としている

広場恐怖症の診断基準E:

その恐怖や不安は、現実的な背景や状況からも不釣り合いな程度である

広場恐怖症の診断基準F:

不安や恐怖は継続的で、6か月以上続く

広場恐怖症の診断基準G:

恐怖や不安に対する回避や反応は、社会的な生活に支障をもたらす

広場恐怖症の診断基準H:

他の医学的な疾患の合併を考慮しても、不安や恐怖が過剰であると考えられる

広場恐怖症の診断基準I:

他の精神疾患の症状ではうまく説明ができない

精神面の症状

  • この空間ではすぐに逃げ出すことができないかもしれないという強い不安・恐怖
  • ここで倒れてしまったら誰も助けてくれないかもしれないという強い不安・恐怖
  • トイレに行きたくなってもすぐに場を離れることができないかもしれないという強い不安・恐怖

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身体面の症状

  • 震え
  • 発汗
  • 息のしづらさ・のどのつまり
  • 血の気が引く・失神する感じがする

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治療について

薬物療法について

広場恐怖症の薬物治療は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが有効とされています。

特に広場恐怖症を含めた不安症状では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)にて不安症状が緩和され、再発の予防にもなり得ます。

ただし、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、飲み初めのタイミングで吐き気や下痢などの胃腸症状などが生じやすく、効果の立ち上がりにも時間がかかることには注意が必要です。ですが、飲み初めの副作用は次第に改善し、効果も2~3週間で得られるようになるなどの特徴があります。

精神療法

通院などの精神療法を通して、不安や恐怖について少しづつ理解を深め、不安の状況を少しづつ客観的に把握することも重要です。実際の環境や状況よりも不安や恐怖を関連しやすい傾向があるなどの理解だけではなく、不安や恐怖を乗り越えられる状況があれば、そのような状況を医師とともに確認できることは本人の自信にもつながりやすくなります。

特に、不安が起きてしまうかもしれない状況は恐怖を伴うことが多いために、一人で耐えなくてはいけないと無理しすぎてしまうこともありますので、通院による治療を継続してゆきながら症状の理解を深めていくことは大変重要です。

広場恐怖症にかかってしまった時の家族の対応とは

広場恐怖症とは、強い不安や恐怖が出やすく、外出先で不調が生じやすいです。

もし広場恐怖症に伴うパニック発作が起きてしまった時には、周囲の方たちの付き添いや寄り添いは本人の苦痛を緩和するきっかけになることもあります。

しかし、否定したり・無理して連れ出そうとすることは、逆効果になりやすいので注意が必要です。

本人のペースに合わせながら、通院や生活のリズムを整えてみることを一緒に考えてみることも大切なことです。