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社交不安症・社交不安障害(社交恐怖)
社交不安症・
社交不安障害(社交恐怖)
公開日: 2022.04.21 更新日:2024.10.01
[ Index ]
社交不安症・社交不安障害(社交恐怖)とは
社交不安障害・社交不安症・社交恐怖とは、どのような病気を指しているのでしょうか?
社交不安症・社交不安障害(Social anxiety disorder)では、誰かに注目される状況下で、強烈な不安や恐怖が起きてしまうことを指しています。
強烈な不安や恐怖の結果として、具体的には、震えたり・顔が赤くなってしまったり(赤面)、発汗、言葉に詰まるなどの症状が起きてしまうとされています。
社交不安障害・社会不安症・社交不安症の症状とは
典型的な症状の一例として、
人前で発表できない、人と会話するのが緊張する怖い、人から注目される場面で汗をかいたり赤面してしまう、人がいるところで電話で話ができない、人がいる場所で食事ができない、人に見られている状況では文字が書けない、人がいるところではトイレに行けない、人から視線を感じる場面が大変不安である。などの症状があります。
以下ではさらに詳しく症状とその行動について説明をいたしております。
強烈な不安や恐怖の症状がもたらす影響とは
赤面や震え、発汗、言葉に詰まるなどの、そのような強烈な不安や恐怖の症状のために、他者からの評価が低下してしまうかもしれないという恐怖を抱き、さらに強く症状の出現への恐れを高めてしまうのです。
評価の低下の懸念としては、退屈だ・つまらない・卑怯だ・好きではないなどの内容も含まれます。
社交不安障害の症状が出る状況を常に恐れ、回避するように行動を起こしてしまう
社交不安障害では、誰かに注目される状況下で強烈な不安や恐怖が起きてしまうのが特徴ですが、そのような注目され、そして恐怖や不安の症状が起きてしまう状況下が訪れることを常に恐れたり、回避をしてしまう行動をとってしまうのです。
発表などの予定日の前から、発表について心配をしたり、回避をしたいと思ったり、何度も練習を繰り返すなどの行動を起こしてしまうのです。
社交不安障害・社交不安症のために、社会活動が制限されてしまうことも
発表の場をできるだけ避ける学校や職業を選んだり、人前での注目にされされる場面での目を合わせない、出席を拒否してしまうなどの影響が出てしまうことがあります。
またその結果、怠惰だ上手ではない、協調性がないといったその人の評価に結びついてしまっていることもあり、社会的な機会を損失してしまっている可能性も否定できません。
社交不安障害・社交不安症の診断基準とは
社交不安障害の診断基準A
他者の注目を浴びる可能性のある、社交場面にて著しい恐怖または不安がある
ここでいう他者の注目を浴びる可能性のある社交場面とは、知らない人にあったり、雑談をしたり、食べたり、飲んだりなどの、会話・見られること・動作をすることが含まれます
社交不安障害の診断基準B
不安症状や恐怖症状を見せることが否定的な評価を受けることにつながるのではないかと恐れたりする
否定的な評価への恐れとは、恥ずかしい・迷惑になるかもしれない・がっかりさせてしまうかもしれない・恥をかくかもしれないなどです。
社交不安障害の診断基準C
その社交的状況があるときはほとんど常に、恐怖または不安を誘発する
社交不安障害の診断基準D
社交的状況を回避したり、強い恐怖または不安を感じながら耐えている
社交不安障害の診断基準E
出現する恐怖や不安は、社交的状況から想定される程度に釣り合わない
社交不安障害の診断基準F
不安や恐怖の症状の出現や回避は継続的であり、6か月以上続く
社交不安障害の診断基準G
会社や学校・家庭など、社会的・職業的や重要な領域における機能の障害を引き起こしている
社交不安障害の診断基準H~J
薬物などの物質に伴う、影響やパニック障害や自閉症スペクトラムなどの他の精神疾患、および身体的な器質疾患では説明ができない。
上記のA~Jを参考に、社交不安障害・社交不安症の診断を組み立てていきます。
公衆の面前のみでの話したりの動作をすることにより恐怖や不安が出てしまう、パフォーマンス限局型の社交不安障害もございます。パフォーマンス限局型に関する詳しい説明はこちらもご参照くださいませ
社交不安障害の”性格的な特徴”とは
社交不安障害の方は、比較的従順で、あまり自分を多く話さない、内気で視線をあわせることが苦手、極端に小さな声で話すことがあります。また、硬い姿勢や硬い話し方や赤面してしまうなどの特徴もあります。
小児期の傾向とは
小児期は内気、あまり話したがらないなどの社会的抑制などを呈していることもあります。
もちろんあくまでも傾向や特徴という点ですので、すべての特徴に当てはまる必要はなく、これらの特徴に一つも当てはまらない方も社交不安症や社交不安障害の診断に合致する方もいらっしゃいます。
【傾向について】社交不安障害の方は、社交活動の結果による否定的評価を過大評価している傾向が大きいことも
社交不安症・社交不安障害の方は、社交活動や社交場面での行動を、否定的な評価に結びつけやすい傾向があるとされています。
このような行動は周りから見たら「失敗だと思われるかもしれない」、「変だと思われるかもしれない」「できないと思われるかもしれない」と強く結びつけやすい傾向、あるいは自分の行動を失敗だと結び付けやすい傾向が強い面も大きいと言われているのです。
いったん他者や相手の立場にとって、”大したことではない”と思われてしまうことも、”失敗だ”・”どうしようもないやつ”と思われるかもしれないと、認識して結び付けてしまうことで、より社交活動の結果に対する恐怖や不安が強く生じやすくなってしまいます。
その場合、相手からの自分の否定的評価への”恐怖”や”不安”という認識が、”実は釣り合っていない”という自覚が生まれることは、社交不安障害や社交不安症を治療していく上でもとても大切な考えとなりうる時もあるのです。
社交不安障害や社交不安症の”年齢”につ
社交不安障害や社交不安症の年齢は、米国では8歳から15歳における発症が多いと言われています。
特に、学校での変化や、昇進や結婚などのタイミングで発症することも多いことが特徴です。学校での発表の機会や、昇進に伴う評価の変化、異性との交流などのタイミングで、否定的評価に繋がるかもしれない恐怖を感じてしまうエピソードや場面において、震えや赤面・発汗などの社交不安症・社交不安障害の症状に繋がってしまうことがあるのです。
また、これらの学校や会社の変化、結婚などのタイミングで、これまでの社交不安障害の症状が逆に改善するということもあります。
つまりは、症状の強さが、周辺の環境に大変依存しやすい疾患であると、社交不安障害や社交不安症は言えます。
社交不安障害・社交不安症の原因とは
ドパミンの再取り込みが減少している、ドパミンの機能障害が起こっていると考えられています
社交不安障害・社交不安症の治療について
社交不安障害の薬物療法
社交不安障害や社交不安症の治療には、SSRIなどの抗うつ薬を用いた薬物療法や精神療法が効果があります。
SSRI などの抗うつ薬は、不釣り合いな不安や恐怖症状を整える作用があります。
社交不安障害の精神療法
また、精神療法では他者の否定的な評価に結び付けやすい・他者の否定的な評価を過大評価しがちな考え方について見直す機会にもつながります。
もちろん精神療法では、日々の通院やお薬を使った症状のコントロールも含めた治療経過が、次第に不安症状があっても、人前で過ごすことができたといった少しづつの前向きなステップに繋がり、不安や恐怖へ陥りやすい考え方を変化させていくことでもありますので、”考えを変えなければならない”・”改善しなければ”と意気込むよりも、治療の経過に応じて不安に強く傾いてしまっている考えと向き合っていく”つもり”という方が良いかもしれません。